ただの配合剤じゃねえか

Sacubitril–Valsartan in Heart Failure: Why Are More Physicians Not Prescribing It? Ann Intern Med. 2016 Nov 15;165(10):735-6

おうっ,何度でも言ってやるぜ.ただの配合剤だろうが.それも,ディオバン様に手伝ってもらわなけりゃ独り立ちできなかったいわく付きの代物との組み合わせじゃねえか.そんなもん,わざわざ薬局に入れてやる必要なんか,これっぽっちもねえんだよ.だから売れねえんだよ.いくらアメリカの医者だって,そんなに馬鹿じゃねえってことさ.てめえがどんな宣伝文句を連ねようと,騙されるやつなんかいやしねえっての.

なのに,何だよ,費用対効果が聞いて呆れるぜ.それだけでも,おめえが医師免許を持ったMRだってことが一発でわかるってもんさね.こんな宣伝ビラ書いている暇があったら,年間たったの55ドルで済むところを,89,000ドルで売ろうとした会社のことを,なんで書かねえんだよ!

世の中にゃあなあ,しっかり見ている人間もいるってことを忘れちゃいけねえよ.ちったあ,お天道様に恥ずかしいと思ってみろってえの.
Controversy over Sacubitril–Valsartan in heart failure : A real breakthrough or just a small increment ?

患者にベネフィットをもたらす新たな手段が見つかることを医療の進歩と考えれば,医療が進歩すればするほど,その余白は小さくなる.つまり時代を経るにつれて画期的な治療法が見つかる可能性は低くなっていく.たとえ作用機序が新規であっても,そのパワー(わかりやすく言えばNNT)は既存薬よりもずっと劣る,なんて薬がゾロゾロ出てくる.特に生活習慣病領域では,有効性はプラセボと同じで副作用だけが一人前なんて薬が,誇大広告として刑事告発されるどころか,その領域でのトップセラーになる始末だから,この配合剤なんて可愛いもんだ.なあんて思ってもらいたいのかな,ノバルティスさん.

参考→正真正銘の誇大広告

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