アビガンが抱える訴訟リスク
承認されたってへいちゃらさ.だってアビガンを勧めるような破廉恥なお医者様はお断りすればいいだけなんだから
自分の命は自分で守ろう!!
適応外処方は薬を患者に投与するという介入を行うのだから,適応外処方の有効性,安全性を検討するための研究は,介入研究である.それを「観察研究」と呼ぶのは子供だましの嘘である.しかし訴訟を考える上では,呼称は関係ない.適応外処方には医薬品副作用救済制度が適用されない.治験と臨床研究法基づく適応外処方にはそれぞれの試験が契約している保険による補償があるが,そのいずれでもない適応外処方による副作用に対しては一切補償がなく,被験者・患者が自らの尊厳を守るためには(*)訴訟を起こすしかない.(*この場合,求めるのは金ではない.ましてや,真実を明らかにすることでもない.今時そんなことを裁判所に期待するほど(裁判真理教)市民は馬鹿ではない.「期待の新薬だと言っていたのに,保険もなかったなんて!騙された!」という怒り・怨念である)
新型コロナ感染症へのアビガン使用、医療機関要件を周知─4月下旬時点で2000例以上に投与で報じられている適応外処方は,臨床研究法ではなく,「医療法に基づく適応外処方」と明記されている.したがって,臨床研究法に則って行われる研究と異なり,損害賠償保険はない.
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(問2) アビガンを投与する前に、実施しなければならない医療機関内の手続きを教えてください。
(答)各医療機関において医療安全の観点から求められている、医薬品の適応外使用に係る手続き(通常実施しているもの)を実施してください。
〔参考〕医療法においては、未承認新規医薬品等を用いた医療の提供の実施の適否を確認する部門の設置等の措置を講ずることが定められています(特定機能病院及び臨床研究中核病院については義務、それ以外の病院については努力義務。医療法施行規則第9条の20の2第1項第8号等)。
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「努力義務」とのことなので賠償責任保険には加入する必要はない.一部の病院だけが賠償責任保険に加入することは被験者差別になるから,特定機能病院及び臨床研究中核病院を含む全ての病院が賠償責任保険に入っていないことになる.そもそも「臨床研究法に則っていない臨床研究」なのだから,保険を引き受ける会社など,あるわけがない.とんだ「観察研究」もあったものだ.既に4月下旬時点で2000例以上に投与しているとのことで,何らかの副作用は必ず生じているはずである.特に今回の適応外処方では承認用量よりも投与量が引き上げられており,また被験者の中での高齢者の比率が高いので,腎排泄のアビガンは血中濃度が高くなりやすく(*),用量依存性の副作用リスクが高まると考えられる.(* アビガンは,主に水酸化体として尿中に排泄される腎排泄性薬剤であり,1日1回の投与では血中濃度を保つことは難しい:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療候補薬アビガンの特徴)
さらに,死亡例があった場合,因果関係を否定するのが極めて困難となる.いくら「アビガンとは関係なく,状態が急変することはいくらでもある」といったところで,「2018-2019年の冬,季節性インフルエンザで亡くなったのが3325人なのと比べれば,COVID-19の方がはるかに死者数が少ない.にも関わらず,たかだか2000人余りの投与で死者が出たのだからアビガンの影響はあったと考えるべきである」という説明の方が裁判官に対して説得力がある.
以上の状況と薬害オンブズパーソン会議が既に意見書を提出したことを踏まえると,表題から「リスク」という言葉が削除される日に今から備える必要がある.これは脅かしでも何でもない.というのはイレッサの場合には効能効果に見合った適正使用だったのに対し,今回は適応外使用であり,さらに上記のように副作用リスクがより高くなる条件が揃っているので,被告(*)が圧倒的に不利である.もちろん,「マスコミがアビガンの効果を煽ったからだ」という責任転嫁は通用しない.被告はその煽りのおかげで集客できていたのだから.(*医療機関,医師個人,企業,国のいずれを相手取るかは原告の訴訟戦略如何によるから,「本番」ではどうなるかは全くわからない)
承認されたってへいちゃらさ.だってアビガンを勧めるような破廉恥なお医者様はお断りすればいいだけなんだから
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