そして反朝日もいなくなった
-沈黙には沈黙で対抗する:「報道しない自由」に対するサイレント・クレーマー達-

朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位 英調査
英国オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所が毎年行なっている国際的なメディア調査レポートの最新版『Digital NEWS REPORT 2018』によると、日本の新聞で読者の信頼度が高いのは1位が日経新聞、2位地方紙、3位読売新聞で、朝日新聞は産経新聞(4位)や毎日新聞(5位)より下の6位(最下位)となった。“日本で一番信頼できない新聞”という評価だ。しかし,問題は朝日に限ったことではない.むしろ「信頼できない」という反感が存在するだけましなのであって,日経の1位とは,反感がもたれていない=金儲けのことしか頭にないジジイ達だけを相手にしているメディアと見なされ,それ以外の人々からは相手にされていない ことを意味している.

普通の商売人は客が何を求めているかを考え,客の要望に合った商品を売ろうとする.新聞社も本来は,読者が何を知りたいか,読みたいかを考え,そういう記事を書ける人材を確保し,育てるのが新聞社の生命線の「はずだった」.しかしそんなことは思いもよらなかった.

ANAは2010年3月末で国内線一般席でのコーヒーの無料サービスを止めたが,12年6月から2年ぶりに復活させた.乗客からの要望が強かったためだ.一方,ANAとJALが国内線一般席と国際線エコノミーでの新聞配布を止めたのが2010年1月.それからもう8年以上経つが,もう誰もがそれを普通だと思っている.新聞の価値は今や紙コップに入ったコーヒーにも及ばない

それでも地方紙には,死亡記事を始めとして(葬式はどこの地域でも大切な行事だ),毎日の生活に欠かせない地域の情報が載っている.何よりスーパーを含め て地域の小売店のちらしや行政の広報誌も新聞と一緒に届けられる.地方紙が2位に入っているというのは,そういう意味だ.

新聞社がやってきたことと言えば,「インテリの我々が下々のお前達に,血友病HIVの真実,ロッキード事件の真実を教えてやる」と,法螺話を吹聴し,メディアリテラシーを搾取するだけだった.しかし,そんな時代も前世紀までだった.ネットの発達により,市民はメディアリテラシーを獲得した.新聞が搾取できる対象が消失したのである.

報道しない自由に対して,完全黙秘するどころか,それが未だにあたかも輝かしい業績かのごとく振る舞い続ける新聞.そんな新聞に対する 市民の姿勢は,信頼とか不信とか,好きとか嫌いとかという段階をもう,疾うの昔に通り越している.血友病HIVで,ロッキード事件で,「騙された」という恨みを持った市民は,決して新聞社に謝罪を求めたりはしない.新聞という媒体自体を見捨て立ち去るという,謝罪を求めるよりも遙かに実効性の高い形で,復讐を果たすサイレントクレーマー達.上記の記事はその結果を示しているに過ぎない.

底が抜けた人材と底なし沼
会社が潰れるとしても,災害のように,「その日が」突然やってくるわけではない.新聞各社も例外ではない.しかしこれだけ危機が明らかになって も,上層部・経営陣には危機感はない.自分が死ぬまでに会社が潰れなければ,後は野となれ山となれだからだ.だからといって,崩壊しつつある会社から既に 被害を受けている若い人達に危機感が強いわけでもない.被害者という自覚がないからだ.なぜ自覚がないのか?それは存在しないものを意識できないからだ. 検察・裁判所・マスメディアに共通して決定的に欠けていること,それが教育・人材育成である.いずれも「人を育てる」という概念が無い組織である.それで も検察官,裁判官の場合には,法曹資格という最低限の「底」があって,on the job training一辺倒の「自主研修」で辛うじて表向きだけは取り繕えるようになっている.マスメディアの場合には,始めから底が抜けている人材が,底な し沼で働くシステムとなっている.こんな会社で危機感を抱けという方が無理というものだ.

もう誰も心配していない・戻って来ないでは何処へ行ったのか?
新聞社の中にいる社員には危機感はない.危機感があれば今時新聞社の中になんか残っていない.そして新聞社の外にいる市民にも危機感はない.新聞社に対して,市民はもう,クレーマーでさえない.新聞社に文句をつけるのは暇人の証拠,時間の無駄に過ぎないと思っているからだ.「ニュース」を求める市民は,もう日本の新聞なんかには戻って来ない.では,市民は報道に何を求めているのだろうか?→Yahoo!ニュース 動画で「BBC」の配信をスタート(2018.07.18)

「BBCワールドニュースは世界200カ国以上で放送されておりますが、実は英語ではなくローカルランゲージ(現地の言語)の同時通訳をつけて配信されているのは唯一日本だけなんです」(BBCが日本人に向けてニュースを発信する理由)理由は簡単.それだけ真っ当な報道に飢えているってこと.

BBCを取り上げたからといって,別にsnobを気取っているわけじゃない.BBCの報道で自分の日常生活にフィードバックできることはいくらでもある.そこに気づけない・気づきたくない方々はずーっとそうしているがいい.

法的リテラシー