イノベ亡国論

坂巻教授の発言の中で「医療ニーズをかなり満たしている領域」の解釈が問題となる.(他の多くの人々と同様)坂巻教授も生活習慣病治療薬を典型例に挙げているが,これに対し,「自分たちが用済みとは何事か!?」と猛反発するのは,もちろん製薬企業ではない.生活指導利権にしがみつくお医者様達の集まり(医師会・生活習慣病関連学会)である.曰く,高血圧症は,まだまだ未治療のまま放置されている.曰く,糖尿病は,まだまだ未治療のまま放置されている.曰く,脂質異常症は,まだまだ未治療のまま放置されている.以下同様.医者が用済みになるのは,誰にとっても幸いなことなはずなのに.そしてお医者様に来てもらいたいというところは,日本中,世界中,どこにでもあるのにね.
-------------------------------------------------------------------------------------------
医療ニーズ充足領域は薬価引き下げを  坂巻教授、財源は再生医療などへ  「イノベ亡国論」を懸念 日刊薬業 2019/2/25

 東京理科大の坂巻弘之教授は、すでに医療ニーズが一定程度満たされている領域では、既存品も新規収載品も薬価を引き下げるべきとの考えを示した。生活習慣病治療薬などの領域から財源を確保し、再生医療製品などに回すことを念頭に置いている。25日に開かれたレギュラトリーサイエンス学会シンポジウムで述べた。

 坂巻氏は講演で、かつての「医療費亡国論」になぞらえ、現在の高額薬剤バッシングを「イノベーション亡国論」と揶揄。その上で「個別のイノベーションをきちんと評価せず、一方的に薬価を下げると、日本からイノベーションはなくなる。そこを考えてほしい」と述べた。

 その上で「医療ニーズをかなり満たしている領域では、極端に言えば、新規作用機序の医薬品でも、特許期間中のものであっても、薬価を引き下げることが必要ではないか。その浮いた財源をイノベーションに回していく。そういう議論をしなければ、財政とイノベーションの両立は不可能になる。製薬企業は、薬価で評価する部分と、その代わりに我慢する部分があることを覚悟しなければならない」と指摘した。

 さらに国内の生活習慣病治療薬市場が1兆4000億円という市場調査を引き合いに出し、「アンメットメディカルニーズの充足度を考慮しながらになると思うが、そちら側(生活習慣病治療薬など)の市場で節約しなければ、これから再生医療製品などの財源は出ないというのが私の主張だ」と述べた。
-------------------------------------------------------------------------------------------
目次へ戻る