はじめに:これまでの冤罪事件と決定的に違う点
真犯人は他にいるのだが、誰が真犯人かはわからない。それでも、有罪判決の根拠となった証拠は間違っているから再審で無罪が言い渡された。それがこれまでの冤罪事件です。その点、北陵クリニック事件では、唯一の物的証拠だった筋弛緩剤の鑑定がでっち上げだったことが明らかにされた上、さらに真犯人がわかっています。真犯人は人間ではなく病気でした。し
かもその真犯人(病名)
は、警察の捜査が始まるずっと前からわかっていました。その意味でこの事件は、日本の裁判史上初の、特別な冤罪事件です。だからといって、この事件を理解するために専門的な知識が必要というわけではありません。このページを読めば質量分析や病気の知識がなくても、北陵クリニック事件のことが理解できるように書いてあります。
Q そもそもなぜ「筋弛緩剤点滴事件」と呼ばないのですか?
A それは、筋弛緩剤はこの「事件」とは何の関係ないからです。ですから、「事件」が起こった場所にちなんで、北陵クリニック事件と呼んでいます。実は「事件」でさえもなく、被害者も存在しないのです
Q えーっ、「事件ではなくて被害者もいない」って、それは一体どういうことですか?
A そもそも、殺人とか殺人未遂とか、犯罪自体が存在しなかったのです。それが他の冤罪事件との決定的な違いです。守大助さんは、1人の殺人と4人の殺人未遂を犯したと言われ、現在も千葉刑務所で無期懲役で服役中ですが、その被害者と言われている5人の人たちは、全て病気が原因で亡くなるか(1人)、状態が急変した(4人)のです。その病名も症状経過も、北陵クリニックあるいは仙台市立病院で患者さんを担当した医師が書いた診療録(カルテ)に明記されています。さらに、その診療録は書き換えのない状態で証拠保全(裁判所による差し押さえ)されており、私はその全てを検証し、5人の患者さんの病気の診断に間違いはないと明言し、その意見をインターネット上で公開しています。どの患者さんの病名も筋弛緩剤中毒とは似ても似つかぬ病気であり、どの患者さんにも、筋弛緩剤中毒を疑う症状もありませんでした。それどころか、筋弛緩剤中毒では決して説明できない症状ばかりが見られました。
Q え??警察は遺体や意識不明で重体の被害者を捜査したんじゃなかったのですか?
A 全く違います。そもそも「被害者」なんていなかったのですから。どの患者さんも入院していたり、外来受診していたのです。しかも警察が筋弛緩剤中毒だと言い出したのは、どの患者さんについても、医師の診断が確定し診療も終了してから1か月以上も後でした。5人の患者さんは、全員、他の一般の患者さんと何ら異なることなく、診断と治療を受けていました。誰一人として筋弛緩剤中毒を疑われていませんし、診療録にある病気も5人全てで筋弛緩剤中毒とは全く異なる診断を受けています。心筋梗塞で亡くなった患者さんにしても、他の病気を疑って解剖されたわけではありません。さらにこの患者さんの担当医は「心筋梗塞の診断に間違いはない」と法廷で明言しています。しかし裁判官はそんな医師の証言さえも無視して事件をでっち上げたのです。
Q では、一体、誰が筋弛緩剤による殺人・殺人未遂だと主張したのですか?
A 法廷で筋弛緩剤中毒だと言ったのは,5人の患者さんを一度も診察したことのない,一人の麻酔科医でした.2004年3月30日に守さんに無期懲役の判決を出した仙台地裁での第一審で、当時東北大学医学部麻酔科学教授だった橋本保彦というお医者さんが,検察側証人として担当医の診断を全面的に否定して、筋弛緩剤中毒説を主張したのです.
A子さんについて言えば、橋本氏はミトコンドリア病を見逃してしまったわけですが、それは仕方のないことでした。なぜなら、ミトコンドリア病は神経内科、あるいは小児科でも小児神経を専門としている医師でないと診断は不可能だからです。橋本氏の専門は麻酔科で患者を診ないお医者さんですから、ミトコンドリア病のことなど何も知りませんでした。だから診断できないのは当たり前だったのです。そして橋本氏亡き今、筋弛緩剤による殺人・殺人未遂だと主張している医師は、もうこの世には一人もいません。医学界ではすでにA子さんがミトコンドリア病だとい事実認定に争いはありません.
Q そもそも全く患者さんを診ていない橋本保彦医師が、なぜ担当医の診断を否定して筋弛緩剤中毒と診断できたのですか?
A 実は5例全てで橋本氏は担当医の診断を否定できませんでした。なぜなら、彼は意見書あるいは鑑定として、自分の主張の証拠文書を全く残していないからです。医師が裁判で自分の意見を主張する時には、本来ならば,自分の考えを意見書あるいは鑑定書として残す必要があります。文書として残して初めて証拠として認められるからです。
ところが橋本氏は自分の主張を何一つ文書として残していません。彼が筋弛緩剤中毒説を主張したのは法廷の証言の中だけです。証言というと大げさに聞こえますが、医学を全く知らない検察官や弁護士とのやりとりに過ぎません。誤解をしている人が非常に多いのですが、法廷で医師同士が激しく議論を戦わせたわけではありません.さらに,橋本氏の専門は麻酔科学であり、5人の患者さんのそれぞれの病気はどれも全くの専門外だったのですから、担当医の診断をひっくり返せるわけがありません。私は彼の証言も詳細に検討しましたが、全く病気の診断になっていませんでした。ところが裁判所は彼の主張を認めてしまったのです。ここにも北陵クリニック事件の冤罪性がよく表れています。
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病気を犯罪と取り違えたのはどうして?:メディア・警察・検察による「毒殺シナリオ合作」の背景
Q 病気を犯罪と取り違えるとか、事件性がないとか、とんでもないことだということはわかりましたが、そもそもそんなひどいことを警察や検察がやるものでしょうか?
A 北陵クリニック事件や袴田事件を含めて、冤罪事件を理解するには、警察・検察の体質とメディア(マスコミ)との「共存共栄」関係を 理解しておく必要があります。まず、警察・検察は、政治家を刑務所に入れるどころか、死刑=法令に基づく司法殺人ができる最強の国家権力であることを、どうか忘れないでください。
いつの時代、どこの国でも、強大な国家権力は報道機関を利用してその権力維持に努めます。 軍部がクーデターを起こした時、真っ先に占拠する施設が放送局であることを考えてみてください。ナチのプロパガンダや大日本帝国時代の大政翼賛報道がその典型例です。日本の戦後は警察・検察が軍部に取って代わっただけの話です。北陵クリニック事件が、ガダルカナル島の戦いやミッドウェー海戦に相当する警察・検察の致命的な敗北であることがわかると、この事件に対するメディアの厳重な報道管制もすんなりと理解できるというものです。
Q 担当医が病気と診断をしていたにもかかわらず、なぜ毒殺シナリオを創作してまで事件をでっち上げる必要があったのでしょうか?
守大助さんを刑務所に入れて口封じすることによって、北陵クリニック事件の関係者が抱えていた以下のような様々な問題を隠蔽できたからです.
1.人体実験もどきの非倫理的な臨床研究
2.杜撰な医療安全管理体制と医療事故の多発
3.犬の実験に人間用の筋弛緩剤を横流す法令違反
1.
人体実験もどきの非倫理的な臨床研究:当時北陵クリニックで行われていたFESとよばれた臨床研究は、麻痺した手足に針金を何本も埋め込んで外側から磁石で動かす.それがリハビリテーションになって麻痺が治るという「研究」でした.人体実験もどきの非倫理的な未承認の治療法を試すために,20億とも30億とも言われる莫大な公的研究費が投入されたものの、全く成果が上げられなかったばかりか、副作用・有害事象,つまり患者さんが全く良くならずに,逆に傷つくだけの事例も多発していました。中でも北陵クリニック事件の中で筋弛緩剤中毒とされた4歳男児は実はFESの事故例です.小児を被験者にすること自体が重大な研究倫理違反ですが,北陵クリニック事件はこのような人体実験による事故を隠蔽するためにも大いに役立っているのです.
2.杜撰な医療安全管理体制:さらに火の車だった北陵クリニックでは、職員が次々と解雇された結果,杜撰な診療体制で急変・事故が多発していました。そんな中で、2000年12月11日、北陵クリニックの経営者だった半田康延東北大学医学部教授(当時)は、東北大学医学部法医学 舟山眞人教授を訪れ 、北陵クリニックで急変したミトコンドリア病女児例について、犯罪の可能性について相談したのです。
舟山教授は同日、自ら宮城県警察本部刑事部捜査1課に足を運び、捜査1課長に対し、「北陵クリニックの患者に何か薬物が入れられたような症状が出ており調べてほしい。それが筋弛緩剤のような薬剤であるとしたら、筋弛緩剤は血液から検出しにくいから注意せよ。」と伝えたのです。警察にとっては法医学教授の発言は絶対です。捜査1課長は、薬物が用いられた
犯罪の嫌疑有りとして、直ちに特殊犯係の3人の警察官による捜査班を編成し、同日中に北陵クリニックの捜査を開始しました。
3.犬の実験に筋弛緩剤を横流す杜撰な管理:そこで警察が注目したのが、北陵クリニックにおける筋弛緩剤の杜撰な管理です。実は、北陵クリニックでは前述の橋本保彦氏が率いる東北大学麻酔科学教室が犬の実験用にベクロニウムという筋弛緩剤を使っていました。大学の動物実験施設は管理が非常に厳しく法令で定められていて,動物や実験機器の搬入もひどく面倒な手続きを経なくてはなりませんでした。その点、北陵クリニックはうるさいことを一切言いません。
さらに筋弛緩剤は犬に全身麻酔をかけるのにも絶対に必要なのですが、これも薬剤管理が非常に厳しく、大学で筋弛緩剤を犬の実験用に使うには,これまたひどく面倒な手続きを経なくてはならなかったのです。ところが北陵クリニックではこれもそんなうるさいことは言われません。北陵クリニックで筋弛緩剤の管理が非常に杜撰だったのは事実で、これは半田康延氏自身も認めているところですが、それは東北大学麻酔科学教室員が犬の実験に筋弛緩剤を流用していたからであって、殺人に使われたわけではなかったのです。
東北大学医学部麻酔科学教室の責任者だった橋本保彦氏にとって,大学の外で犬の実験をしていたこと,さらに本来は人に使う筋弛緩剤を犬の実験に流用していたことは重大なスキャンダルでした.このスキャンダルを隠蔽するためにも,5人の患者さんは全員病気ではなく,「殺人鬼守大助の犯行の犠牲者」であるとでっち上げる必要があったのです.
Q 毒殺シナリオ合作におけるメディアの役割とは?
A
北陵クリニック事件の場合には、警察・検察が杜撰な捜査を隠蔽するために「遂に日本にも患者に毒薬を盛るような医療従事者が現われたか」とする連日(例えば朝日新聞は一面トップが6日続いた)、テレビ、雑誌等の他のメディアも巻き込み大キャンペーンが行われ、国民に「筋弛緩剤殺人」と「看護師犯人」が強く印象づけられました。
一方、警察や検察は普段からメディア(マスコミ)を捜査の道具・広報部として使っているので、メディアの論調に敏感です。そのメディアを通して「国民の皆様」がヒートアップして「こんな一大事に警察は何をやっているんだ!」との大合唱が伝わると、警察が暴走する可能性が非常に高くなるのです。その典型例が2014年に起こった、盲導犬「刺傷」騒動です。この「事件」でも、犬の膿皮症というありふれた病気を「刺傷事件」と取り違えた埼玉県警が犬の傷害事件では前代未聞の 30-40人の捜査体制を敷き、冤罪に至る寸前でした。
Q メディアがそれほど大々的にキャンペーンを行った背景には何があったのでしょうか?
A
当時、都立広尾病院事件(1999年2月)、横浜市立大病院事件(1999年1月)といった医療事故が相次ぎ、マスコミが医療機関叩き・医師叩きに狂奔していました。そんな時代背景があった中で,北陵クリニックは様々な問題を抱えていました。前述のように20億とも30億とも言われる莫大な公的研究費が投入されたものの、全く成果が上げられなかったばかりか、副作用・有害事象も多発した臨床研究、赤字のクリニックの経営、職員の解雇、その結果である杜撰な診療体制が生んだ急変・事故の多発.メディアは、こういった事情を抱える北陵クリニックに医療事故のにおいを嗅ぎつけていました。警察・検察も機会があれば医療事故を自分たちの手柄にしようと考えていました。北陵クリニック事件の狂った報道の嵐は、このような警察・検察の思惑とマスコミの暴走の相互作用によるものです。
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科学捜査で動かぬ証拠が出ているのでは?:科学捜査に対する迷信の数々
Q 患者の血液や尿から筋弛緩剤が検出された大阪府警科捜研鑑定(土橋鑑定)は動かぬ証拠ではなかったのですか?
A この鑑定の科学性は今や全面的に否定され、存在が公式に否定されたSTAP細胞同様、完全なでっち上げだということは,弁護側の志田鑑定により明らかになっています。それに対して,検察側は何の反論もできませんでした.STAP細胞と大阪府警科捜研鑑定は、実験結果の再現性がないという致命的な欠陥が共通しています。
Q 科学捜査研究所(科捜研)は、どんな悪をも逃さない一流の科学者をそろえた組織ではなかったのですか?
A 警察も検察も裁判所も、そういう純朴な信仰を守っている市民を隠れ蓑に使って,これまでのたくさんの冤罪事件から逃げ続けてきました。北陵クリニック事件で唯一の物的証拠となった大阪府警科捜研鑑定には科学性のかけらもありません。そもそも科捜研というのは、あんな杜撰な捜査をやった警察の内部組織そのものなのです。そんな組織に中立的な科学捜査などできるわけがありません.
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それで今はどうなっているの?
再審請求の現状と再審制度の問題点の数々
Q 再審請求で筋弛緩剤説を唱えた医師は誰ですか?
A 筋弛緩剤説を主張する医師は、もこの世に誰一人としていません。再審請求審では検察側から、国立精神・神経医療研究 センター 神経研究所の後藤雄一部長(専門はミトコンドリア病)の意見書が提出されましたが、その意見書に書いてあったのは,ミトコンドリア病の診断に関する注意点だけでした.そして「ミトコンドリア病は否定できない」と私の診断を支持する言葉もありました.さらに,ミトコンドリア病以外の病名も載っていませんでした.そして最も重要なことは,筋弛緩剤中毒を支持する意見は一言も書いてなかったのです。
筋弛緩剤中毒が完全なでっち上げであることを必死で隠そうとしているのは、もはや検察だけです.再審請求審では,家庭医学書レベルの医学知識さえも持ちあわせていない彼らは,何の根拠もなく,ひたすら私を藪医者よばわりするだけでした。現在行われている再審即時抗告審では,彼らは完全黙秘を貫き,私に対しても,藪医者のやの字も言えないところまで追い込まれています。
Q それだけでっち上げが明らかなのに、池田先生以外のお医者さんが声を上げないのはなぜですか?
A1 これは素晴らしい質問です。実は理由はいろいろあります。まず,北陵クリニック事件に関わった同クリニック理事長で東北大学名誉教授の半田康延氏、その妻で小児科医の半田郁子氏、舟山眞人氏(東北大学法医学教授)を始めとする東北大学のお医者さん達は、自分が冤罪作りを手伝ってしまった過去に触れたくない、触れられたくないと思っていますから、決して声を上げません。
また、北陵クリニック事件に直接関わってはいなくても、麻酔科、小児科、神経内科といった北陵クリニック事件に関連の深い診療科の、特に発言力・影響力を持っている教授クラスの偉い人達は、東北大学の麻酔科、小児科、神経内科のそれぞれの教授と仲良しだったりしますから、「遠慮」(庇い合いとも言いますが)しているのでしょうね。
その他の全国の大多数のお医者さんは、「たしかに冤罪は明らかだけれども、この忙しいのに面倒なことは関わりたくない」、「国家権力から睨まれるんじゃないだろうか」とか心配している人もいるでしょう。また純粋な第三者として、臨床現場で忙殺されながらも,私と検察・裁判所とのやりとりを楽しみにしてくれている医師も実はたくさんいます。
A2 ある有名なジャーナリストとお話ししていた時のことです。ここでは仮にお名前を「川井さん」としておきます。「たくさんのお医者さんの中で,どうして池田先生だけが北陵クリニック事件で冤罪を主張しているのですか?ほかのお医者さんはどうして黙っているのですか?」と素朴な質問を受けたことがあります.それはもちろん川井さんが,事件の本質を理解した上でのことです.
「川井さんは電車に乗ったとき,たまたまホームレスのおじさんが同じ車両に乗っていた経験がありますか」
「はい.2回ぐらい経験がありますけど」
「その時に,『臭いからたまには風呂にでも入ったらどうか』と面と向かって言ったりしませんでしたよね」
「ええ・・」
「私も言いません.ただしそれは相手がホームレスのおじさんだからです.市民の血税で養われている公務員のくせに,筋弛緩剤中毒だと真っ赤な嘘をつき,ミトコンドリア病の難病指定も治療も受けさせず,患者の人権を踏みにじるような悪臭紛々たる検察官に対しては,面と向かって「臭えんだよ!」って言っているだけです.他の医者も,検察官が放つ悪臭にもちろん辟易しているでしょうけれど,そんな奴に面と向かって「臭い」と言うのは時間の無駄だと思っているので言わないだけです.つまりサイレントクレーマーですね。私の場合は,「嘘つきは税金泥棒の始まり」だと面と向かって言っている分,検察官に対して他の医者よりもはるかに思いやりがある通常のクレーマーだということです」
このようにお医者さん達が黙っている理由はいろいろあるのですが、筋弛緩剤中毒の診断が間違っていることは誰の目にも明らかです。医師ならばなおさら、よくわかります。だから私のところに反論は一つも来ていません。その理由がどうあれ、全国のお医者さん達の沈黙は、私の主張に対する支持に他ならないのです。
Q では池田先生が声を上げているのは正義感からでしょうか?
A
正義感などという高級なものよりも、もっと切実な問題、検察官や裁判官による営業妨害を止めさせるためです。だって、脈の取り方もカルテの読み方も知らない検察官や裁判が、神経内科専門医である私を天下の藪医者呼ばわりするんですよ!!こんなひどい名誉毀損兼威力業務妨害の被害を受けたら、商売上がったりです。私はわかりやすい意見書を書いて正しい診断を彼らに教えてやりました。菓子折の一つも持ってきて礼を述べるのが常識ある社会人というものでしょう。なのに、こともあろうに、公文書中の公文書である検察官意見書と再審請求棄却決定で、嘘八百を書き並べて、私を嘘つき・藪医者呼ばわりしたのです。私は「嘘つきはお前らの方だろうが」って言っているだけです.
Q メディア(マスコミ)も池田先生の主張を取り上げませんし、再審請求の様子も全く報道しないのはなぜですか?
A それは当然です。この事件が冤罪であることが,誰よりもよくわかっているのが警察・検察ですから、北陵クリニック事件の再審請求については厳重な報道管制を敷いています。たとえこの事件に興味を持ったジャーナリストがいても、検察からは絶対情報が出て来ません。捜査を進める時はあることないこと垂れ流して、でっち上げだとわかってからは完全黙秘というのが,彼らの基本戦略です。
メディア各社にとって、警察・検察は、記事のネタをくれる大のお得意さんです。彼らも商売ですから、お得意さんのご機嫌を損ねるような馬鹿な真似は絶対しません。これだけひどいでっち上げなのに大手メディアが一切取り上げないことは、北陵クリニック事件が史上最大の冤罪事件である何よりの証拠なのです。
Q 冤罪ではなく、守さんが真犯人だとの主張もネット上では見られるようですが・・・
A そうですね.そして,そう主張する人は検察官以外全て匿名です.どんな意見を持ち、それをどこでどう表明するかは個人の自由です。この期に及んでまで北陵クリニック事件について「筋弛緩剤」云々を言うのは、自分は科学も医学も裁判も全く理解できない馬鹿でございますと公表していることに他なりませんから、匿名にする必要があるのです。ところが検察官や裁判官は国家公務員ですから,私を藪医者呼ばわりするにあたって,どうしても名前を出さなくてはなりません.税金から給料をもらっているのですから当然ですけどね.
Q A子さんは今どうしているのでしょう?
A子さんは、11歳の時(2000年)に、ミトコンドリア病による重症の急性脳症を起こしました。その後重い後遺症が残り、現在も在宅療養中と伺っています。最大の問題は、検察も裁判所も専門医としての私の診断を全面的に否定しているので、A子さんが国の難病指定が受けられないことです。ですからミトコンドリア病の治療も受けられないのです。ミトコンドリア病の治療は着実に進歩しているにもかかわらず、A子さんは15年以上にわたって診断も治療も受けられません.
さらにミトコンドリア病では,心臓の不整脈により突然死リスクがあります.再審が開始され,国の難病指定を受けられるまで,A子さんは突然死の恐怖の真っ直中に放置され続けることになります。これまでの冤罪事件と,北陵クリニック事件が全く異なるのがこの点です.検察庁と裁判所の両方が,冤罪に加えて神経難病患者の人権をも蹂躙している。これが北陵クリニック事件での二重の悲劇の一方を形作っているのです。
言葉の解説
ミトコンドリア病(みとこんどりあびょう) 体は無数の細胞からできています。 細胞の中にはミトコンドリアという 、顕微鏡でしか見えない微小器官が存在しており、細胞が生きるために必要なエネルギーを生み出すマイクロエンジンの役割を果たしています。ミトコンドリアに異常が起こると、細胞のエネルギーが 不足する結果、様々な症状が現われます
。なかでも大量のエネルギーを必要とする臓器である脳(神経細胞)や体の筋肉(骨格筋細胞),心臓の筋肉(心筋細胞)に異常が起こりやすいのです。
ミトコンドリア病で 、脳 、心臓 、筋肉といった重要な臓器の症状が出やすいのはこのためです。
世界の研究者が、それまで原因不明とされ、ときには死に至る多くの病気に、ミトコンドリア遺伝子の異常が関わっていることに気づくようになったのは、ようやく 1990年ころからです。このため、ミトコンドリア病は、まだ一般に知られておらず、しばしば原因不明の病気として見逃されてしまったり、間違った診断を受けている患者さんがまだまだ多いと思われます。
筋弛緩剤 (きんしかんざい) その名の通り筋肉を緩めて力が出ないようにしてしまう薬です。全身麻酔の時には、喉から肺へ入れた管を通して肺に空気を送り込む人工呼吸を行いますが、その際、人工呼吸器と人間の呼吸が喧嘩しないように、喉の筋肉と呼吸する筋肉の力を失わせて呼吸を止め、人工呼吸器だけで呼吸を調節する必要があります。筋弛緩剤はその時に使われます。北陵クリニック事件で問題とされた(しかし実は何の関係もない)筋弛緩剤の商品名はマスキュラックス,一般名はベクロニウムといいます.
質量分析 しつりょうぶんせき 微量の物質を見つけ出すための特殊な測定法。北陵クリニック事件で大阪府警科学捜査研究所(科捜研)の土橋均吏員がマスキュラックスを検出するのに使った方法ですが、土橋吏員の出した結果はSTAP細胞同様に,世界中のどこの研究室でも再現性が認められなかった方法による捏造でした。
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