薬と機械と臨床試験
ーRegulatory Literacyとは?ー
「医
療用」って規制当局がうるさいだけじゃん。要するに物が売れて、人々のお役に立てば、何も「医療用」という言葉にに拘る必要はないじゃん。「作業用」で十
分。実際に労働者の身体負担を軽減し、腰痛や転倒・外傷などの、労働力に大損害を与える病態を未然に防ぐとなれば、製品と企業の社会的貢献度も大である。
日
本での「大林組が建設現場に5台を導入」での当該規制当局は経産?/国交省?のどこぞの部署なんだろうか。それが介護現場になると担当規制当局はどこにな
るのか??「腰痛予防」なんて効能効果を謳わなければ、大林組と同じでいいだろう。「腰痛予防」なんてエビデンスがなくたって、それこそ健康食品と同じ
で、開発費ゼロの口コミで広がればこっちのもの。そう考えてみると、一体規制とは、規制当局とは、誰にとっての、何のために存在するのだろうかという本質的な疑問が見えてくる。
作
業支援用HALの問題は、薬と機械では有効性が発揮される対象が大きく異なることを示している。つまり、薬は病人に対してしか有効性を示せないが、機械
は、病の有無とは全く関係なく、人間の「弱点」を補い、「困り事」を解決・低減してくれる点だ。「そろばん」を考えてみればわかるように、「機械」といっ
ても、作業支援用HALや自動車の衝突回避支援システムのような高度なものとは限らない。では、その機械の価値はどのようにして検証されるのだろうか?
機械の場合には、医薬品の臨床試験のような、「おとぎ話」の世界でしか通用しない仮免許制度は存在しない。サーキットの中だけで通用する衝突回避
装置などに意味は無い。会社は、自らの責任で有効性と安全性を検証し、自らの責任で市場に出し、現実世界で、ユーザーから直接審査を受ける。父権主義的な
お役所がご親切にもand/orお節介にも間に立って守ってand/or邪魔してくれるような世界ではない。タカタのシートベルトで死者が出ても、経産省
を攻撃する間抜けはいない。
機械の有効性が発揮される対象者は、病気や患者といった明確な定義でくくられる、限定された集団ではない。現実世界を生きる人間そのものを対象と
する。そしてその有効性が発揮される状況は、医薬品の臨床試験のような「おとぎ話」の世界ではなく、現実世界そのものである。そしてその有効性の評価指標
は、必ず真のエンドポイントそのものでなければ意味が無い。代用エンドポイントなんてまだるっこしいものは誰にとっても意味が無い。さらに、安全性評価に
対する要求も、有効性評価と対するそれと全く同様だ。機械がそういう厳しい評価に晒されるのも、機械の有効性・安全性とその判断には、医薬品のような不確実性が許されないからだ。
裏
を返すと、医薬品の規制の意味が見えてくる。一つはよく知られているように、公的な機関が第三者として関わることによって利益相反の影響を回避すること。
しかしもう一つの意義は、ほとんど意識されていない。それは、機械に比べて製品の有効性・安全性があまりにも不確実なのに命に関わるという医薬品の特殊性
に根ざす。つまり、新薬の製造販売企業だけに責任を負わせると、そんなヤバイ仕事、誰もやらなくなるから、有効性・安全性の判断に対して国が責任持ちま
しょうってこと。お役所の単なる利権や父権主義じゃないんですね。会社でも、オンブズパーソンでも、お医者さんでも、ここのところをわかっていない人、多
過ぎ!!
法的リテラシー legal literacyとともに、regulatory literacyはhealthcare professionalsにとって必須アイテムですぞ!
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サイバーダイン、重労働の作業補助ロボットを欧州で販売 日経新聞 2015/2/16
医療・介護用装着型ロボットなどを手掛けるサイバーダインは16日、建設や物流など重労働の現場で働く作業員が、腰痛になるリスクを防ぐ装着型ロボット
「作業支援用HAL」を3月から欧州で販売すると発表した。腰の負担を軽くする装着型ロボットを海外で販売するのは初めて。まずドイツで販売し、欧州全域
に広げる計画だ。
作業支援用HALは3キログラムと軽量で腰にベルトで装着して使う。物を持ち上げるときに脳から出る微弱な電気信号を腰に張っ
たセンサーで検知すると、腰のあたりにあるモーターが回転し、太ももとおなかに巻いたベルトで持ち上げる力を補助する。持ち上げる力の25~40%を補助
する。
同日、欧州連合(EU)の安全規格の適合表示(CEマーク)を取得したのを受け、販売が可能になった。第1弾として3月にドイツの病院に
数台出荷する。日本では昨秋、大林組が建設現場に5台を導入している。3月までに物流や製造、建設分野に100台程度を出荷する予定だ。
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