Remenber Avandia
「リルゾールが三極でともにALSに対して承認されているのに」という思いを抱く御仁もいらっしゃるだろうが,承認はあくまで患者を幸せにする手段に過ぎないのであって,目的ではない.「『グローバル展開する期待の新薬』」ということならば,それだけの実績を示せ」がEMAのメッセージである.何もエダラボンだけが特別に不等な扱いを受けているわけではない.eteplirsenを,そしてハートシートを見るがいい.三極の中で一極だけが承認しているローカルドラッグではないか.それでも(少なくとも今は)大層な羽振りではないか.そしてPMDAだけが承認しなかったアバンディアの運命を思い出すがいい.時は誰よりも厳しい審査員である.
Radicava: Withdrawal of the marketing authorisation application
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海外医薬ニュース 2019/6/1
田辺三菱製薬のラジカット(エダラボン)は日本で脳梗塞治療薬として承認され海外でも華々しい成功が期待されたが、海外試験がフェールしたのか、この用途ではガラパゴス薬になってしまった。しかし、新用途であるALS(筋委縮性側索硬化症)では日本の臨床試験に基づき米国で承認。今度こそ日本が生んだオンリーワン薬になるかと思われたが、EUは承認申請撤回となってしまった。
EMAはALS用薬開発ガイドラインの中で、1年以上の臨床試験で死亡や永久的呼吸補助/気管切開のリスクを削減する効果を確認するよう求めている。日本の試験は半年間と短く、延命効果や呼吸能力あるいは筋力の改善効果が確認されていないため、CHMPはエビデンス不足と判断した。更に、ベースライン時点で試験薬群のほうが重症度が低い患者が多かったことや、偽薬群から試験薬にスイッチした患者では機能評価スケールの改善が見られなかったことにも疑問を持っているようだ。
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【田辺三菱製薬】ALS治療薬「ラジカヴァ」、欧州申請を取り下げ‐EMAが長期データ要求 ミクスオンライン2019年06月04日 (火)
田辺三菱製薬は5月30日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態進行を抑制する「ラジカヴァ」(一般名:エダラボン)について、欧州医薬品庁(EMA)に対する承認申請を取り下げると発表した。昨年4月に申請しEMAと協議を続けてきたが、承認には長期の追加データが必要とのEMA側の見解を覆すことができず取り下げに至った。グローバル戦略品として拡大を見込んでいるものの、欧州での展開については見直しを迫られることになった。
同剤は現在、6カ月間の投与によってALSの病態進行をプラセボ群に比べて抑えた日本人対象の第III相臨床試験の結果をもとに、日本のほか韓国、米国、カナダ、スイスで承認されている。各国での実績を背景に欧州でも同様の承認取得を期待していたが、EMAは、12カ月以上の長期プラセボ対照試験による生存期間などの比較結果が承認には必要との姿勢を変えなかった。
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