ガバペンチノイドによる行動異常

Molero Y, Larsson H, D'Onofrio BM, Sharp DJ, Fazel S. Associations between gabapentinoids and suicidal behaviour, unintentional overdoses, injuries, road traffic incidents, and violent crime: population based cohort study in Sweden. BMJ 2019;365:l2147.

米国ではオピオイドの代用品としてガバペンチノイド(ガバペンチンとプレガバリン)の適応外使用が問題となっている.その背景にはガバペンチノイドの痛みに対する有効性を誇張する論文やガイドラインの存在がある(A Clinical Overview of Off-label Use of Gabapentinoid Drugs JAMA Intern Med. 2019 Mar 25).しかし,これまでガバペンチノイドの適応外使用のリスクについては,明確なエビデンスがなかった.その意味で,スウェーデンのNational Registersに基づく今回のコホート研究は,極めて頑健なエビデンスを提供している.その結果をかいつまんで言えば,

●ガバペンチノイドは自殺,意図せぬ過量服用,外傷,交通事故,暴力を伴う犯罪のリスク上昇を伴っていた.
Gabapentinoid treatment was associated with increased hazards of;
(age adjusted hazard ratio 95% confidence interval)
Suicidal behaviour and deaths from suicide ( 1.26, 1.20 to 1.32)
Unintentional overdoses (1.24, 1.19 to 1.28)
Head/body injuries (1.22, 1.19 to 1.25)
Road traffic incidents and offences (1.13, 1.06 to 1.20).
Arrests for violent crime (1.04, 0.98 to 1.11).
●そのリスク上昇は思春期から30代前半までの年齢層で目立ち,40代半ば以降では目立たなくなっていた.
●リスク上昇はほとんどプレガバリンによるものであり,ガバペンチンでは行動異常のリスク上昇は認められなかった.

オープンアクセスになっているので,関心のある方はどうぞ.データ提示が簡潔にわかりやすく,非常に読みやすい論文になっている.

参考→ガバペンを処方すればいいじゃない!

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