エリザベス・ホームズ
セラノスTheranos(therapeutics, diagnosisを掛け合わせた造語だそうな)のCEO、エリザベス・ホームズは逃げ切ったようだ。
SEC、Theranosを「巧妙大規模な詐欺」として告発――エリザベス・ホームズは制裁受諾
SECと手打ちしたからには刑事訴追は無しってことで、50万ドルぐらい、彼女にとってはどうにでもなる、はした金だろう。これまでの経緯については『ジョブズになり損ねた女:DNA検査の寵児、エリザベス・ホームズの墜落』がよくまとまっているが、なあに、ホームズがやったことは、土橋鑑定同様のイカサマであることがわかりさえすれば、記事を読むには及ばない。
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「疑惑の」米医療ベンチャーCEOの罪と大嘘、当局の訴状で明らかに Forbes JAPAN 2018/3/15
米医療ベンチャー、セラノスの創業者で最高経営責任者(CEO)のエリザベス・ホームズ(34)は、われわれの誰もが考えていた以上に弁の立つ詐欺師だった。
米証券取引委員会(SEC)は3月14日、一時は保有資産が10億ドルを超える「ビリオネア」にもなったホームズを、およそ7億ドル(約742億円)を不正に調達したことによる詐欺罪などで提訴した。ホームズは、指先から採取したわずか一滴の血液でさまざまな検査ができるとして、自社の技術を売り込んでいた。
提訴を受け、ホームズはすでにSECに和解を申し入れている。所有する自社の約1890万株を返却するとともに、同社取締役会の議決権を放棄。さらに、罰金50万ドルを支払う。また、ホームズには向こう10年間、公開会社の経営に関与することが禁止される──ただ、それでもホームズは今後も引き続き、セラノスのCEOの立場にとどまる考えだという。
塗り重ねたうそ
米ウォール・ストリート・ジャーナルの調査報道記者、ジョン・カレイルーが最初に明らかにしたセラノスの詐欺行為は、これまで考えられていた以上に悪質なものだったようだ。フォーブスは2016年、セラノスの売上高は同社が外部に信じ込ませていた金額をはるかに下回っていたことを確認。ホームズの名を長者番付リストから削除している。
SECの訴状に示されているのは、以下の事実だ──セラノスが自社の売上高を1億ドルと発表した年、実際の売上高はわずか10万ドルだった。また、ホームズとその右腕とされてきたサニー・バルワニは、米国防総省が負傷兵後送用のヘリコプターにセラノスの技術を導入していると触れ回っていたが、それは全くのうそだった。
SECが訴状の中で「ファーマシーA」と記している会社(明らかに、米ドラッグストア大手ウォルグリ−ンを指す)に対しては、次のような行動を取っていた。
他社製の機器を購入して検査を実施
ホームズは2010年、自社が開発したとする血液検査装置についてファーマシーAの経営幹部らに説明。同年末までにほぼ全ての血液検査を数滴の血液で行うことができるようになると主張し、それを証明するものだという文書を提示した。
ファーマシーAの経営幹部らはその翌年、セラノスの装置は米食品医薬品局(FDA)の認可を得る必要があるのではないかと指摘。ホームズにその考えを伝えたが、彼女のうそがどれほど大きなものであるかを見抜くことはできなかった。
ファーマシーAは2013年から、セラノスの小型検査機器「ミニラボ」の利用を開始することになった。だが、その時期になっても実のところ、装置は完成していなかった。ホームズとバルワニはこのころ、他社の機器を使用して指先から採取した血液サンプルの分析を行うよう自社のエンジニアらに指示。だが、その検査方法は当局の承認を得たものではなかった。セラノスはこうした状況について、ファーマシーAの幹部らに一切説明していなかった。
セラノスとホームズはこの時期、フォーブスやウォール・ストリート・ジャーナル、フォーチュン誌をはじめとするメデイア向けに、繰り返し声明を発表。実際には存在しない「ミニラボ」の機能について、大げさな内容を公表していた。また、セラノスは自社で作成したにもかかわらず、協力していた製薬会社が書いたように見える複数の報告書を投資家らに配布していた。
「悪質」なカリスマ性
投資家らに対するセラノスの売り込みは、ホームズのカリスマ性に大きく依存していた。ステージ上で2回、彼女にインタビューしたことがある筆者が断言できるのは、彼女には特異な能力があるということだ。話す相手に、「自分はその場にいる中で最も重要な人物だ」と思い込ませることができる。
エリザベス・ホームズは、テクノロジーに革命を起こす者として自らを誇示した。だが、結局のところ彼女は、それとはまるで程遠い人物だった。
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