参考:→コミュニケーションの性差
承認審査、治験相談、臨床といった、科学を応用する現場では、扱う品物が言語化・構造化されているからといって、言語性コミュニケーションがあれば事足りるというわけでは決してない。それを使うのは人間なのだから、言語性・非言語性ともに、高いコミュニケーション能力が要求される。しかし、この点が正しく理解されてコミュニケーションの教育・学習が行われている場面を、どこの職場でも見たことがない。
しばしば目撃するのは、扱う品物が言語化・構造化されているなのだから、それを使う人々の間のコミュニケーションも言語化・構造化されていなければならないという、根拠のない先入観念の跳梁跋扈。一方の極には、航空会社のキャビンアテンダントを招いて接客処遇を学ぼうとするような、非言語性コミュニケーションに対する滑稽な勘違いが存在する。
現場のことは現場に聞け である。治験相談に一度でも出たことのある人なら、あれがコミュニケーションの絶好の訓練の場になることはすぐわかるだろうし、診療現場でのコミュニケーションの重要性は改めて強調する必要は無い。問題は、言語性・非言語性の相補的な関係を意識しながら、コミュニケーション能力を如何に効率的に育てていくかだろう。
医学教育では、もちろん満足すべきものではないけれど、すでに、OSCE、医療面接といった活動で、コミュニケーション能力育成が行われている。一方、PMDAではどうか?構造化が必要な部分に対応するのが精一杯というのは言い訳に過ぎない。実際に、今、現実に必要なのだから、非言語性コミュニケーション能力の育成も含めた、教育・学習の機会を設ける意義は大きい。具体的にどうするかって?私がPMDAにいた時に、たくさんの原型やヒントを残してきたつもりなんですけれどね。