開催概要
名称 | 第42回札幌国際がんシンポジウム |
---|---|
日時 | 2024年6月6日(木)〜8日(土) |
会場 | グランドメルキュール札幌大通公園(旧ロイトン札幌) |
テーマ | Deciphering Clonal Cancer Evolution toward Precision Cancer Medicine "がんのクローン進化の理解と、それに基づく高精度医療の実現" |
共催 | 公益財団法人札幌がんセミナー、国立がん研究センター |
代表世話人 | 中釜 斉(国立研究開発法人国立がん研究センター) |
世話人 | 高阪 真路(国立がん研究センター 研究所) 角南 久仁子(国立がん研究センター 中央病院) 坂田(柳元) 麻実子(筑波大学) 片岡 圭亮(慶應義塾大学) 後藤 典子(金沢大学) 小山 正平(大阪大学) Marc Ladanyi (Memorial Sloan Kettering Cancer Center, USA) |
テーマ | Deciphering Clonal Cancer Evolution toward Precision Cancer Medicine |
参加登録締切 | 2024年5月31日(金) |
参加費 | 無料 |
事務局 | 国立がん研究センター 5-1-1 Tsukiji, Chuo-ku, Tokyo, 104-0045 Japan Telephone: +81-3-3542-2511 Email: 42sics@jtbcom.co.jp |
Deciphering Clonal Cancer Evolution toward Precision Cancer Medicine
"がんのクローン進化の理解と、それに基づく高精度医療の実現"
国立がん研究センター 中釜 斉
がんは様々な要因により細胞に誘発されるゲノム及びエピゲノム変化が多段階的に蓄積することにより発生する。がんはクローン進化を遂げながら、極めて多様な細胞の集団から構成されていることも明らかにされている。がんゲノム変異の多様性の理解のもと、現在日本では個々のゲノム情報に基づいた個別化された治療法を提供する「遺伝子パネル検査」が国民皆保険の枠組みの中で保険診療として進められている。しかしながら、治療抵抗性がんの存在や薬剤寛容性がん細胞(DTP)の出現など、個々人に最適な高精度医療(Precision Cancer Medicine)を実現するには未だ課題も多い。最近の研究成果として、がん細胞は遺伝子変異による新たな性質の獲得だけでなく、クロマチンの構造変化によるエピゲノム異常やスプライシング異常、RNAの塩基修飾異常、液-液相分離異常といったより複雑で多様な分子機構により多様性や可塑性を獲得していることが分かってきた。さらに、がん細胞自体が有する複雑性に加えて、免疫細胞を含むがん微小環境細胞との相互作用もがん固有の特性の獲得に重要な役割を果たしている。がんのクローン進化において、変異を有する細胞のクローナルな増殖は通常の検査で検出可能な時期よりもかなり早い段階で生じていることが想定されている。細胞老化やクローン性造血といった現象も、がん発生・進展過程の適切な理解に基づいた高精度な医療介入という観点において検討すべき重要なテーマとなってくる。
本国際シンポジウムでは、がんの発生・進展過程の分子基盤を理解し、今後のがん研究およびがん対策における科学的、あるいは医療実装上の課題について深く議論できる場になることを期待したい。