日本老年泌尿器科学会

理事長挨拶

理事長

2021年5月より本間之夫(日本赤十字社医療センター院長)前理事長の後任として、日本老年泌尿器科学会理事長を拝命しました高橋 悟と申します。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

急速に超高齢社会に移行する本邦だけでなく、人口の高齢化は世界的に進んでいます。高齢社会における医学的課題として泌尿器科疾患はとても重要です。この重要性を先見して、1989年5月に本学会の前身である老人泌尿器科研究会が設立されました。名称に敢えて「老人」を用いたのは「老人」には経験や知恵があり尊敬に値するというニュアンスと「老年」や「高齢」などより全人的な響きがあるためと、創立者のお一人である阿曽佳郎先生(東京大学泌尿器科名誉教授)から伺っております。そして2004年より現在の「日本老年泌尿器科学会」に名称変更し、設立の精神を引き継ぎながら今日に至っています。

本学会の目的は「高齢者および障害を持つ人々の生活の質を改善すべく、広く泌尿器科学に関係する研究を行い、もって国民の健康に貢献すること」です。この目的達成のために医師だけでなく、看護・介護職に携わる多くの会員で構成されているのが本学会の特徴です。会員(2021年6月現在、1,253名)の半数以上はこれらの職域の方々で、理事、監事、評議員をはじめ、3つの委員会で委員長・委員としてご活躍です。

今日急速に超高齢社会に移行する本邦では本学会の役割は益々大きくなっています。 高齢者の排尿(排泄)障害の治療・管理が最重要テーマであることは今後も変わりませんが、これからは医学会全体の課題であるフレイル・サルコペニア対策との協調、多職種による治療・管理の推進が一層必要と考えます。また高齢者における泌尿器がん治療も重要なテーマです。すなわちがん治療の視点だけでなく、高齢患者を全人的に治療・ケアする姿勢が求められています。本邦は世界に先駆けて高齢社会が抱える排泄管理や医療の課題を経験しています。今こそ、一人でも多くの高齢者に「快適で尊厳ある排尿・排泄」と「過不足のない最適な泌尿器疾患の治療」を提供できる仕組みや手段を確立するよう学会として努めて参ります。またその成果を積極的に世界に発信していきたいと思います。

本学会に対する皆様方のご理解とご支援をお願い申し上げます。

日本老年泌尿器科学会 理事長
高橋 悟
日本大学医学部泌尿器科学系主任教授
日本大学医学部附属板橋病院長

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