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【一般病院連携精神医学専門医・回答】 ≪A1≫ 日本総合病院精神医学会では、「一般病院連携精神医学専門医」の略称として「精神科リエゾン専門医」を採用しています。「リエゾン」とは「連携」を意味します。「リエゾン」は、一般病院においてチーム医療によるトータルケアをすすめていくためのキーワードです。身体の病気に伴って生じる「脳」と「こころ」の問題への対応のみならず、精神的な病気を持つ患者さんが身体の病気を併発した場合の治療対応、不幸にして自殺を企図した患者さんへの救命処置と精神的ケアなど多くの場面で、多職種による「リエゾン」が重要になります。また、精神科の救急医療や急性期医療では地域ごとに医療機関の間での「リエゾン」が非常に重要になりますし、患者さんの地域での生活を支えるためには医療以外の福祉や職域、教育機関などとの「リエゾン」も欠かせません。 このように一般医療および精神医療の最前線で、「脳」と「こころ」の専門家としてさまざまな「連携」をとりながら機能する精神科医を「精神科リエゾン専門医」と呼ぶことにしています。
≪A2≫ 身体の病気に合併した「うつ病」では、病気そのものによる脳機能への悪影響と、病気になってしまったことに由来する心理面への悪影響との両面を適切に評価する必要があります。そのうえで身体の状況や使用されている治療薬との飲み合わせなどを十分に考慮し、必要に応じて薬物療法を行いながら、並行して心理的サポートを組み合わせていきます。 その他にも多くの精神的な病気に対応していますが、従来から「うつ病」や「統合失調症」などで治療中の方が身体の病気で入院が必要になった場合、精神科の治療が途切れてしまわないように通院先の主治医と連携して治療を継続します。
≪A3≫ 外科系・内科系の医師あるいは医療従事者の方々には、「一般病院連携精神医学専門医」とは、「せん妄」治療のスペシャリストであると捉えていただくことも可能です。一般病院の医療現場で最も苦労する精神症状である「せん妄」に適切に対応することで、医療安全(さまざまなリスクの軽減など)や医療経済(在院日数の短縮など)にも貢献できます。
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(1988)Japanese Society of General Hospital Psychiatry |