本会設立の目的

 本学会は悪性腫瘍,脳血管疾患,心疾患,糖尿病,精神疾患など五大疾患などの慢性疾患患者をもつ患者に対し,看護の重要な機能であるセルフケアへの支援を,実践的,学術的に発展させ体系化することを目的としています。セルフケアおよびオレムーアンダーウッドのセルフケアモデルにおける看護介入技法を集約させ,学術的に整理しながら専門職・研究者としてのセルフケアの看護介入技法をより明確にするために本学会は設立されました

 さらにハイリスクや入退院を繰り返したり病棟での対応が困難なケア困難患者へのセルフケア看護介入ならびに震災支援における看護職へのセルフケアプログラムの実践・研究から,PAS セルフケアセラピイ(Psychoanalytic Systems Self-Care Therapy,PAS-SCT,小谷・宇佐美,2018)が開発されました。これはケア困難患者のセルフケアの意図的過程を促進するために無意識・前意識の衝動・欲求に焦点をあてながら介入してセルフケアを促進し,同時に家族を含む集団,組織システムへの介入を展開する理論と技法です。患者個人だけではなく,患者・家族・治療チーム・コミュニテイなど地域を含めた病院内外の組織への働きかけを同時に行うことでセルフケアを改善する理論と技法です。つまり「個人−家族・組織—社会」に展開する「生物−心理−社会」連鎖アプローチの技法体系です。

 本学会は,オレムのセルフケア,オレムーアンダーウッドのセルフケアプログラム,PASセルフケアセラピイに関する事例研究,実践研究,介入研究と評価研究を蓄積し,健康状態に応じた慢性疾患患者のセルフケアへの看護介入に関するエビデンスを構築していくことを目指しています。そしてセルフケアからPASセルフケアセラピイまでの研究を発展させ,セルフケアに関する看護介入理論と介入技法の明確化,成果,汎用性を示し,経済的評価を得ることを目的としています。
  さらにジェネラリストとしての看護職,高度実践看護師の実践能力を強化し,質の高い看護を提供することを目的としています。