今回の中国滞在は北京中心なので、北京中医薬大の梁助教授に仲介いただき2DKの賃貸マンションに1ヶ月住んでみた。家賃に電気・ガス・水道・電話代を含め、3000元(約45000円)でおつりが来たと思う。アジア運動村に近い北郊外ゆえ都心まで小一時間かかるがバス便も多く、大型スーパーが付近にあり、生活に不自由はない。部屋にはバス・シャワー・ベッド・冷蔵庫・洗濯機から、電話・クーラーまで生活用品すべてが完備している。ネットも電話回線で一ヶ月30元ほどでつなげた。ここは韓国慶煕大の友人・車教授が直前まで住んでいたので、彼から寝具等を譲り受け、食器と調理用具は梁氏から借りたの で、きわめて順調に暮らすことができた。
最初の一週間は妻・長女がモンゴル旅行を希望したので、梁氏にも同行してもらい、四人でフフホトから大草原の観光旅行をした。妻と娘が帰国後に上記マンションに入居し、しばらく北京で訪書や講演をした後、各地にでかけた。まず再びフフホトに行って内蒙古図書館で一週間の調査。そこから瀋陽に飛んで中国医科大学図書館、ついで南京図書館、広州の中山大学図書館、そして北京に戻るという大旅行だった。
今回の訪書は第一目的が現存するモンゴル刊写古医籍、第二が中国にある明・趙開美版『仲景全書』だった。モンゴル関係では収穫があったが、南京と広州の『仲景全書』調査は徒労に終わった。南京には私たちの修士を終了後、二松学舎大の博士課程に進学し、南京大学に留学中の木村君がいる。そこで彼にたのんで南京大学のゲストハウスに泊まり、調査にでかけた。8月27日、南京図書館では旧知の南京中医薬大医古文教研室の沈教授と落ち合い、所蔵の『仲景全書』を閲覧したが、すべて和刻の『仲景全書』でまず落胆。
広州では中山医科大学に清初刊らしい『仲景全書』が所蔵されると目録にある。ところが同大は中山大学に近年合併され、蔵書は広州から列車で数時間の珠海にある新キャンパス図書館に移されたという。しかし古医籍は広州の中山大図書館にあるかもしれない、という情報を一縷の望みにでかけた。だが全蔵書はやはり珠海の新図書館に移動しており、梱包が解かれて閲覧可能になるのは2006年ということが9月1日、中山大図書館に行ってやっと分かった。これにも落胆するしかなかった が、百年を越す中山大学図書館所蔵古典籍の片鱗を知ることが出来たのは幸いだった。
およそ昔と違ったのは、航空券の購入やホテル宿泊が簡単かつ安くなったこと。航空券は航空会社の窓口でも空いている便ほどディスカウントされる。搭乗直前に空港内の旅行会社で買った広州→北京便は40%の値引きで、まさにホクホク。宿泊も空港からタクシーでまず目的図書館に行き、ついで付近の適当なホテルへの飛び込みで問題なかった。外人だからとボラれることもなく、瀋陽ではディスカウントの部屋に入れたり、広州では大学横にあった海運関係機関の招待所に飛び込んだが、すんなりとクーラー付の大きな部屋に150元ほどで泊まれた。
→8月2日-4日:内モンゴルの大草原観光と食事
→8月11日:北京・中国中医研究院で講演
→8月11日:北京・中国中医研究院図書館
→8月14日:北京・中国科学院図書館
→8月18-25日:フフホト・内蒙古図書館
→8月27-28日:瀋陽・中国医科大学図書館