リビング・ウィルと事前指示書 -書き方と例文-        









  











 



参考:
厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」














    アドバンス・ケア・プランニング (ACP) とは

          

アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning :ACP)とは、患者さん本人と家族が医療者や介護提供者などと一緒に、現在の病気だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えて、あらかじめ、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うことや、意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味しています。

この話し合いは、たとえば入院のたびごとに、繰り返し行われ、その都度、文書として残します。

リビング・ウィルや事前指示書は、病気のあるなしにかかわらず、いつかは理性的判断ができなくなることがあることを想定し、自分自身の人生の終末期には、このようにして欲しいと希望を述べておく書類ですから、特定の医療施設や介護施設を想定しているものではありません。

一方、アドバンス・ケア・プランニングにより作成される文書は、本人が、家族を交えつつ、当該の医療者や介護提供者と話し合う結果作成される書類であり、当該医療施設や介護施設にとっての事前指示書に該当します。 当然のことながら、患者本人のリビング・ウィルをこの文書の中に織りこむことができますので、作成したリビング・ウィルを施設側にお渡しください。

オーストラリアでは、Advance Care Directive (事前ケア指示書)という名称で、弁護士や裁判所を介することなく、患者が医療者と話し合うことにより、予め想定できることはリビング・ウィルで意思表明しつつ、自らが決定できなくなるときに備えて、代理人を定めておくことができる法律が施行されています。

わが国でも、厚生労働省が、射水市民病院呼吸器取り外し事件後の2004年に初出し、2018年に4度目の改訂版を出した「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」において、アドバンス・ケア・プランニングの概念が導入されており、心身の状態の変化等に応じて本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針を、繰り返し話し合うことと、本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載しています。

このガイドラインは法律ではありませんが、アドバンス・ケア・プランニングの過程において作られた書類は、当該の医療・介護施設に対しては、リビング・ウィルや事前指示書としての効力を発揮し、本人の意思は十分尊重されるようになりました。

また、医療・介護側も、このガイドラインに沿って、本人の意思にしたがって終末期医療に対応するのであれば、たとえ法律はなくても、問題はおきないといってよいでしょう。