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理事長あいさつ
去る2006年2月2日に開催されました世話人会(現:理事会)におきまして、本学会は理事会制を採択することに決定し、私が初代の理事長に選出されました。本学会の発足から係わってきた者の一人として、大変光栄に存じますとともにその責任を重く受け止めております。
本学会は1980年に第1回下垂体腫瘍ワークショップとして産声を上げ、1991年より間脳下垂体腫瘍研究会、さらに97年から現在の日本間脳下垂体腫瘍学会と呼称しております。すなわち、発足より既に四半世紀を経過しており、この機会に学会内の制度を整備し、社会への情報発信や行政への提言等をしていこうということが趣旨であります。
本学会は、間脳下垂体腫瘍に関心の深い脳神経外科医が約8割を占めておりますが、その学問的背景を内分泌内科医、内分泌病理医、神経放射線科医などが深く広くしております。1970年代以降、間脳下垂体の内分泌学は飛躍的に発展し、それに伴い免疫組織化学をはじめとする機能的病理学、更には分子病理学が展開してまいりました。画像診断面では、70年代にはCTスキャンが、80年代にはMRIが登場し、その後それぞれの機器や撮像法の改良により微小病変の描出に貢献してきております。治療面では、経蝶形骨手術の普及、発達とともにナビゲーターや一部の施設では術中CT・MRIの導入がなされました。最近では内視鏡下の経蝶形骨手術が急速に発展してきており、近い将来手術の主流を占める勢いです。放射線治療も従来の少量分割照射から最近ではガンマナイフを主とする定位的照射法が多く用いられています。また、ブロモクリプチン以来少なくとも保険薬としては画期的な発展がなかった薬物療法も、近年オクトレオチドの徐放薬の認可とともに活気を帯び、今後はペグビソマントやいくつかのソマトスタチンレセプター作動薬の利用も期待されています。更に、成人の成長ホルモン補充療法が認可されようとしております。
以上のごとく、間脳下垂体腫瘍学は、基礎医学、臨床内分泌学、診断・治療放射線医学および脳神経外科学を中心として集学的な発展を遂げてきており、今後も大いなる展開が期待できる分野であります。私も理事長として本学会が関連する学問上、臨床上の領域の発展のために精一杯努力する所存でございます。皆様方のご支援、ご協力をお願い申し上げご挨拶とさせていただきます。
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