会長挨拶
第40回 日本Shock学会学術集会 ごあいさつ

この度、節目となる第40回日本Shock学会学術集会の会長を担当させて頂くことになりました。日本Shock学会は、私自身最も思い入れのある学会の一つであり光栄の至りです。会期は2026年5月22日(土)、23日(日)で、米国Shock学会・国際Shock連盟合同会議(ラスベガス)の1週間前に名古屋の地で開催します。日本Shock学会は、その国際Shock連盟の一翼をなす本邦のShock学会であり、基礎研究者と臨床医がshockの病態生理に関する互いの知識や研究成果を共有・討議し、shock患者の救命に繋げることを究極の目的としています。
折しも先日、制御性T細胞(Treg)発見に対して、大阪大学の坂口志文先生がノーベル生理学・医学賞受賞とのニュースが入ってきました。日本の基礎研究は、特に免疫学領域でも、世界のCutting Edgeで走り続けています。血液分布異常性shockを来す敗血症は、そのTregの動態も病態進展に大きく関わり、近代の蘇生治療の進歩にも拘わらず、敗血症有病率上昇や入院死亡数増加が続いています。本学術集会では、イブニングセミナーで、本学感染・免疫学講座の高村祥子教授をお招きし、基礎医学領域から敗血症にもかかわる重要なテーマでのご講演で先陣を切っていただきます。
今般、AIやビッグデータを活用した診断・予後予測、あるいは新規バイオマーカーの探索など、shock研究は国内外で目覚ましい進歩を遂げています。しかし、それらを現場の医療に橋渡しし、実際に患者さんを救うためには、基礎研究と臨床現場の連携が不可欠です。そこで本学会が、その架け橋となることを願い、テーマをDynamic Interaction “基礎と臨床“としました。そして、皆様の研究活動や日々の診療に役立つ情報源となり、活発な交流の場となることを期待しています。テーマにございます通り、敗血症性shockに限らず、shockの病態に関する研究を基礎から臨床まで幅広く演題募集します。そしてポスターセッションでは、英語での発表(abstract)も国内外から受け付けます。例年通り会長賞セッションも設けますが、本学術集会より最優秀演題は、次年度の米国Shock学会で口演発表出来るだけでなく、国際Shock連盟の機関紙であるSHOCK誌に、推薦論文として投稿できるようになりました。
以上、この学術集会が、若いshock研究者達の登竜門として、基礎であれ臨床であれ自身の研究が将来、目の前の患者の救命に役立ったという実感を得られるような手助けができれば望外の喜びです。夏の訪れを感じ始める名古屋で皆様のご参加をお待ちしております。
令和7年10月
第40回 日本ショック学会学術集会 会長
愛知医科大学医学部 救急集中治療医学講座 教授
愛知医科大学病院 救命救急科 部長、高度救命救急センター長・副院長
渡邉 栄三
