連載コラム 仙台に来る前に知っておきたい学会場周辺のトリビア
その5 マンホールの蓋が気になる仙台市民
仙台市の下水道整備は東京・大阪に次いで全国で3番目に古く、建設当時のままのれんが造りの下水道が定禅寺通りの地下にあり現在も使われています。今回はこの地下道とマンホールの蓋にまつわるこぼれ話です。
井坂幸太郎さんは東北大学卒業生で仙台在住の作家で、2008年に本屋大賞や山本周五郎賞などを受賞した『ゴールデンスランバー』は代表作の一つです。この物語はすべて仙台が舞台で、主人公が仙台市内を縦横に逃げ回って話が展開する娯楽サスペンスです。映画にもなっていますので、仙台各地にロケ地があります。物語の最後のほうで、ちょうど映画「第三の男」と同じように、主人公は勾当台(こうとうだい)公園のマンホールから地下の下水道に入り、定禅寺通りの地下の水洞窟を通って広瀬川河畔の崖に開いた排水口まで逃走し、広瀬川に出た所で救出されます。映画の撮影で使われたレンガ造りの水洞窟は仙台国際センターの川向にある西公園で見学可能です(写真上、写真左)。普通のマンホールは重くて持ち上げられませんが、逃走を助ける人たちがマンホールの蓋をプラスチック製の軽いものに代えておいたというのがミソなのです。
『ジョジョの奇妙な冒険』の原作者である荒木飛呂彦さんも仙台出身です。そのためか、最新作の舞台は「S市杜王町」という名前ですが、読めばすぐにそれが仙台であることがわかります。毎夏、仙台では「ジョジョ展」が開催され多数のファンが詰めかけますが、ジョジョ展開催期間中は東北一の繁華街「一番町」も「杜王町商店街」に様変わりします(写真下左)。特に今年は開催中の企画の一つとして、市内の仙台市水道局のマンホールのうち9か所の蓋に『ジョジョの奇妙な冒険』のキャラが描かれました(写真下右)。ジョジョ展開催中、街中でその下水道マンホール探しをして巡る市民やファンをたくさん見かけました。
文責 八重樫