連載コラム 仙台に来る前に知っておきたい学会場周辺のトリビア
その2 伊達政宗の初代銅像
伊達政宗の銅像と言えば青葉城址にある騎馬像が有名です。仙台を紹介する場面でよく使われていますが、実はこの銅像が二代目のものであることは仙台市民にもあまり知られていません。
古い話ですが、太平洋戦争では戦局の悪化に伴い武器生産に必要な金属資源が極度に不足しました。それを補うために国は金属類回収令を制定し、官民が所有する金属類を強制的に回収しました。戦前を知る年配の方からときどきうかがうことですが、多くの神社仏閣の鐘楼や全国各地の小学校には必ずあった二宮金次郎像などが戦中に回収されたという話はこの時の政策によるものでしょう。初代の政宗の騎馬像もこの難を逃れることは許されず実際に回収されてしまいました。市民からは初代政宗像は失われたものと当然考えられていましたが、戦後しばらくしてから塩釜市内で胸より上の部分のみが残されているのが偶然発見されました。それが巡り巡って仙台市博物館の庭に運ばれ、現在は伊達政宗胸像として見ることができます(写真)。ちなみに、仙台城址には初代騎馬像の載っていた台座のみが残っていましたが、その台座の上に現在の二代目の騎馬像が設置されて現在に至っています。
仙台市博物館は学会場の仙台国際センターから道路を挟んで向かい側になりますので、セッションの合間にでも見学され、青葉山の麓にある初代と青葉山の頂上にある二代を比べてみてはいかがでしょうか。
文責 八重樫