GREETING
次世代に繋ぐ看護技術 -伝承 進化 共創-
聖路加国際大学大学院看護学研究科 教授
学術集会長 大久保 暢子
現代の日本は、少子高齢化社会であり、人口減少と人口偏在が同時に生じている状況です。医師等の他医療専門職者は、人材が過剰供給の地域と不足の地域が認められ、医療専門職者数の地域偏在が著明となっています。今後、人口減少が加速化する日本において看護職者の地域偏在も予想できる事態となっています。医療介護サービスの需要と供給のバランスは、一層維持することが難しくなります。加えて、大規模災害や感染症、テロや戦争といった私たちの想定を超える出来事も世界規模で頻発しています。私たちが住み慣れた地域で、安心して暮らしていくためには、様々な課題を乗り越え、解決していく必要があります。
この状況のなか、私たち看護職は何をすべきでしょうか? 個々のいのちと尊厳を護ること、健康に安心して暮らすために、一人ひとりが望む生活を支援することだと思います。そのためには対象者に寄り添い、専門職としてのアセスメントと手技で看護技術を提供し、相互作用で生まれる安心や喜び・希望に繋げることが重要です。
看護技術の質の均一化、人手不足の解消には、エビデンスに基づく技術を普及させること、AIを駆使したDX化も重要かもしれません。同時に人が人に寄り添い提供される看護技術で生まれるアーティスティックな要素も忘れてはならず、次世代の看護職者に伝えたい看護の魅力でもあります。
本学術集会では、上記の背景を受けて、幸せな日本の未来のために、これまで大切にしてきた看護技術、伝えていきたい看護技術、残していかなければならない看護技術、そして変化していく看護技術などを情報共有・議論したいと考えています。そのプロセスの中で、次世代に繋ぐ看護の本質を備えた看護技術の伝承・進化・共創ができればと思います。
日本看護技術学会は、2001年に聖路加国際大学で発会式を開催してから2026年で25周年となります。
この記念すべき25周年を、発会式の場であった聖路加国際大学で開催できますことは感慨深いことです。次世代に繋ぐ看護技術の伝承・進化・共創をしながら、学術集会が無事に開催できることを願っています。
以上の主旨のもと、企画委員の先生方とともに、本学術集会の準備を進めております。学術集会のプログラムは、看護技術の伝承・進化・共創に通じる著名な研究者を招聘し、非常に興味深いキーセッションを多数準備しております。またランチョンセミナーでは、お食事を召し上がりながら大切にしたい看護技術や進化した看護技術の披露を検討しています。企業展示や特別展示では、将来を予測したベッドサイド環境や看護技術の環境を体験できる「未来ブース」を計画しています。
ぜひ職場の皆様をお誘いの上、ぜひご参加いただければ幸いです。