RTD申込/ 各テーブルのご案内
企画主旨
歯科医療の技術革新、医療制度の改変、患者さんのニーズの多様化など歯科界を取巻く環境が年々厳しさを増す中で、我々は公益社団法人日本矯正歯科学会という立場で「矯正臨床」を国民の視点に合わせていかに提供すべきかを常に考慮する必要があると考えます。
日本矯正歯科学会RTD委員会
RTD開催概要
当日の開催方法については、9月末頃にお申込みいただいた方のみにご連絡いたします。
日 時 | 【第1回】テーブル1.2.3.4 10:00~11:30 |
場 所 | 現地開催 |
参加費 | 3,000円(軽食代を含む) |
申込方法
- 参加登録時にあわせてお申し込み下さい。
申込期限:2023年9月8日(金)正午まで
※満席になり次第終了致します。
各テーブルのご案内
No. | タイトル /氏名 |
---|---|
1 | 口唇口蓋裂治療における他科との連携について【満席】 山本 一郎(山本歯科医院 矯正歯科クリニック) |
2 | 保定の処方(装置の種類、期間など)について【満席】 加治 彰彦(半蔵門ファミリア矯正歯科医院) |
3 | 耳鼻咽喉科との連携―歯並びと鼻咽腔疾患【満席】 時實 千代子(ときざね矯正歯科) |
4 | 埋伏第三大臼歯の牽引と近心移動について【満席】 Un-bong Baik(Smile-With Orthodontic Clinic) |
5 | 患者と医療従事者の心身への負担軽減診療について 里見 優(さとみ矯正歯科クリニック) |
6 | 欧米諸国の歯科矯正概念・社会保障制度の検討 小澤 奏(スマイル矯正歯科クリニック) |
7 | 呼吸生理を加味した顎矯正手術の設計 【満席】 西久保 周一(神奈川歯科大学 横浜クリニック 歯科口腔外科) |
8 | 骨格性上顎前突症例における治療立案について 【満席】 近藤 俊(藤田医科大学医学部 形成外科) 岡下 慎太郎(岡下矯正歯科) |
9 | CAD/CAM矯正歯科技工と臨床応用における課題 【満席】 志村 昌俊(神奈川歯科大学 歯科診療支援学講座 歯科技工学分野) 小泉 創(神奈川歯科大学 歯科矯正学講座 歯科矯正学分野) |
10 | 成人患者のMFTにおけるポイントと難点 【満席】 北澤 真佐子(沢矯正歯科医院) |
1.口唇口蓋裂治療における他科との連携について
山本 一郎(山本歯科医院 矯正歯科クリニック)
1972年 | 大阪歯科大学卒業 |
1976年 | グラスゴー大学歯学部矯正歯科大学院修了 |
1976年 | 山本歯科医院 矯正歯科クリニック開業 |
著書や研究発表の実績:
摂食嚥下障害学(分担執筆)口唇・口蓋裂に伴う摂食嚥下障害 医学書院 2021年
施設を超えた口蓋裂チームアプローチのあり方 音声言語医学Vol.62.No.1 2021年
エレクトロパラトグラフィ(EPG)を用いた構音の遠隔治療 日本口蓋裂学会雑誌47巻1号 2022年
抄録:
口唇口蓋裂の治療は出生から成人に至るまで複数の診療科と連携をとって進める。中でも矯正治療は時間がかかり治療の中心にいる。同一の施設内に診療科があっても連携を取ることは容易ではなく、ましてや矯正歯科開業医にとって他科との連携はハードルが高くなる。瘻孔の処置、骨移植の時期、言語の問題など色々ありますが、どのような連携の取り方があるか、どんな苦労があったか参加者の実例を交えて討論したい。
2.保定の処方(装置の種類、期間など)について
加治 彰彦(半蔵門ファミリア矯正歯科医院)
1995年 | 日本大学松戸歯学部卒・一般開業医院及び矯正歯科医院勤務 |
2004年 | イエテボリ大学院卒業(矯正学専攻) |
2010年 | 日本歯科大学社会人大学院卒業(歯周病学専攻) |
著書や研究発表の実績:
Kaji A, Sekino S, Ito H, Numabe Y. Influence of a mandibular fixed orthodontic retainer on periodontal health. Aust Orthod J. 2013 May;29(1):76-85.
東京矯正歯科学会秋季セミナー(東京)「矯正歯科で行う歯周・矯正治療」 2018 年 11 月 15 日
抄録:
保定の処方は歯科医師によって様々である。なかには保定は不要と主張する歯科医師もいる。臨床では可撤式保定装置を使用しなくなり(患者または歯科医師の判断により)、再治療を受ける患者に遭遇することもある。また、舌側固定式ワイヤー保定装置に関しては、歯周病・う蝕予防の観点から、その使用に関して患者・歯科医師ともに懸念を抱く者もいる。今回のRTDでは、これら保定に関する諸問題について討論したい。
時實 千代子(ときざね矯正歯科)
1978年4月~1982年3月 | 大阪大学歯学部矯正歯科講座 |
1982年4月~1993年3月 | 滝本矯正歯科診療所 |
1993年4月~ | ときざね矯正歯科 |
著書や研究発表の実績:
「口呼吸を呈する反対咬合症例の矯正治療に伴う咽頭気道の変化」 近畿東海矯正歯科学会会誌 1982年
「骨格性反対咬合における上顎前方牽引法の臨床的評価」 近畿東海矯正歯科学会会誌 1986年
「筋機能療法を併用した骨格性開咬症例」 近畿東海矯正歯科学会会誌 1988年
抄録:
鼻咽腔疾患と歯並びは密接に関係しています。耳鼻咽喉科との連携のために、耳鼻咽喉科の先生方に「耳鼻咽喉疾患と歯並び」に関して、3か月に1回、ニューズレターを送付しています。第78~81回大会で『鼻咽腔疾患との連携』についてラウンドテーブルを行いましたが、今回、鼻咽腔疾患の方へ矯正歯科でできること、および成長期の方の睡眠時無呼吸と鼻咽腔疾患・歯並びについても討論したい。
4.埋伏第三大臼歯の牽引と近心移動について
Un-bong Baik(Smile-With Orthodontic Clinic)
1990.Feb. | Graduated from Seoul National University, Seoul, Korea |
1997.April~2002.Mar. | Postgraduate Resident course (Orthodontic) and PhD in Tohoku University, Sendai, Japan. |
2002~ Now | Head of Smile-With Orthodontic Clinic, Seoul, Korea. |
著書や研究発表の実績:
Un-bong Baik, Molar protraction: Orthodontic substitution of missing posterior teeth. pp 1-235, Create Space Inc. USA, 2013 (English)
. Protraction of mandibular second and third molars into missing first molar spaces for a patient with an anterior open bite and anterior spacing. Baik UB, Chun YS, Jung MH, Sugawara J. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2012 Jun;141(6):783-95. : AJODO Case of the month
- Orthodontic uprighting of a horizontally impacted third molar and protraction of mandibular second and third molars into the missing first molar space for a patient with posterior crossbites. Baik UB, Kim MR, Yoon KH, Kook YA, Park JH. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2017 Mar;151(3):572-582.: AJODO Case of the month.
抄録:
近年の歯科矯正用アンカースクリュー(TADs)の発達により、第一大臼歯の抜歯や小臼歯先天欠如に起因する欠損部は第二大臼歯の矯正治療による近心移動によって閉鎖することができるようになった。埋伏第三大臼歯がある場合には、これを牽引し使用する事も可能である。演者が行った400症例の同様の治療のうち、120症例は埋伏第三大臼歯であった。
これらを分析した結果は、case report やoriginal articleとして 11編の論文として発表し、そのうちの9編はSCIに収載されています。
また、2編はそれぞれ、2012年6月、2017年3月にAJODOのCase of the Month に選ばれ、他の一つは2019年8月のCase of the Issueにも選ばれています。演者はこれらのテーマで、“Molar protraction”という本を上梓し、他の本では2つのチャプターの執筆に関わっています。このRTDでは、第三大臼歯とその近心移動について、ケースプレゼンテーションと研究について討論したい。
5.患者と医療従事者の心身への負担軽減診療について
里見 優(さとみ矯正歯科クリニック)
1988年 | 鶴見大学大学院博士過程修了 |
2008年 | 鶴見大学歯学部非常勤講師 |
2011年 | 日本矯正歯科学会臨床指導医 |
著書や研究発表の実績:
「やさしくわかるMFT」日本口腔筋機能療法学会編 わかば出版 2014年
「各種矯正装置の特徴と使い方」 株式会社ヒョーロンパブリッシャーズ 2017年 編著
「実践 早期治療」 クインテセンス出版株式会社 2018年 監著
抄録:
医師および歯科医師の精神状況についての意識調査」(2007)では「4人に1人が鬱状態」との報告がある。高名な矯正治療の先人は「責任を患者さんに返してあげなさい。さもないとDr.が倒れてしまう。」と教えている。トップダウン的な「治療する」という言葉を「共に歩む」「支援」に変えるには、 NBM(患者の経験)にそくした診療体系を取ることが重要となり、ひいては医療従事者の心身への負担軽減にも繋がると考え、皆様と討論したい。
6.欧米諸国の歯科矯正概念・社会保障制度の検討
小澤 奏(スマイル矯正歯科クリニック)
1987年 | 鶴見大学歯学部卒業 |
1988年 | 広島大学歯学部歯科矯正学教室入局.研究生,医員,助手,文部省在外研究員を経て, |
2001年 | スマイル矯正歯科クリニック 院長 |
著書や研究発表の実績:
A molar distalization method using micro-implant anchorage available for lingual orthodontic system WIOC 2010年
Reconsideration of the TMJ condylar position during internal derangement: Comparison between condylar position on tomogram and degree of disk displacement on MRI. J Craniomandib Pract, 1999
Diagnostic accuracy of sagittal condylar movement patterns for identifying internal derangement of the TMJ, J Orofacial Pain, 1997
抄録:
医療は極めて文化性が高く、国や地域、時代により内容は大きく異なる。歯科矯正の公衆衛生上の問題は西洋では早くから指摘され、社会経済文化的概念を統合した社会モデルとして実践されてきた。わが国では、その社会的意義(高橋1947)の指摘はあったが、制度的実践は限られ、国民から多くの指摘がなされている。社会経済的障壁による歯科矯正医療へのアクセスや口腔の健康格差、公平な歯科矯正医療のあり方について討論したい。
7.呼吸生理を加味した顎矯正手術の設計
西久保 周一(神奈川歯科大学 横浜クリニック 歯科口腔外科)
1997年 | 神奈川歯科大学歯学部卒業 |
2018年 | 日本大学歯学部口腔外科学第1講座 |
2022年 | 神奈川歯科大学臨床科学系口腔外科学講座高度先進口腔外科学分野 診療科教授 |
著書や研究発表の実績:
Shouhei Ogisawa, Shuichi Nishikubo,et al: The changes in oral volume and hyoid bone position after maxillomandibular advancement and genioglossus advancement for patients with obstructive sleep apnea, Sleep and Breathing, doi: 10.1007/s11325-022-02600-7, 2022. など
抄録:
アジア人における閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)は、顎変形症が原因となることが多い。我々は日頃より多くの顎変形症患者の治療に携わる中で、OSA患者もしくはその予備軍に出会うことも多い。OSAはその病態が発症してしまうと完治が難しい疾患の一つであり、その予備軍患者を拾い上げ、そして治療を行うかが重要なことと考える。今回はO SA患者の顎骨的特徴、スクリーニング方法、手術療法について討論したい。
8.骨格性上顎前突症例における治療立案について
近藤 俊(藤田医科大学医学部 形成外科)、岡下 慎太郎(岡下矯正歯科)
2001年3月 | 朝日大学大学院・歯学部歯学科 修了 |
2014年2月 | 藤田保健衛生大学医学部 形成外科学講座(矯正歯科・小児歯科 部門)講師 |
2018年10月 | 藤田医科大学医学部 形成外科学講座(矯正歯科・小児歯科 部門)講師 |
著書や研究発表の実績:
「審美性を考慮した頭蓋骨縫合早期癒合症の矯正治療」 第40回日本頭蓋顎顔面外科学会 2022年
「ガミースマイルと下顎後退を伴う骨格性上顎前突症の2症例」 第77回東海形成外科学会 2022年
「ガミースマイルを伴う骨格性上顎前突症の2症例」 第66回日本形成外科学会 2023年
抄録:
骨格性上顎前突症例においては上顎骨の過前突や下顎後退症、あるいはその両方が組み合わさる場合などがあり、治療立案に苦慮することが多いのではないでしょうか。また咬合が改善されても上顎骨の移動様式により、思わぬ外鼻変形に頭を悩ませることも少なくありません。多様な治療計画が考えられる骨格性上顎前突症例において、これまで私が行ってきた治療例を提示することで皆様と討論したい。
9.CAD/CAM矯正歯科技工と臨床応用における課題
志村 昌俊(神奈川歯科大学 歯科診療支援学講座 歯科技工学分野)、小泉 創(神奈川歯科大学 歯科矯正学講座 歯科矯正学分野)
志村 昌俊: | |
2015年 | 新横浜歯科技工士専門学校 卒業 |
2021年 | 神奈川歯科大学歯科診療支援学講座 助手 |
小泉 創: | |
2006年 | 神奈川歯科大学 卒業 |
2011年 | 神奈川歯科大学歯科矯正学講座 助教 |
2023年 | 神奈川歯科大学歯科矯正学講座 講師 |
著書や研究発表の実績:
A metal retainer manufactured by 3D printing. Orthodontic Waves, 2020.
金属積層造形を用いた上顎大臼歯遠心移動装置の作製. 日本デジタル歯科学会, 2022.
歯科用3Dプリンターを用いた歯科矯正装置製作. 日本デジタル歯科学会, 2023.
抄録:
矯正歯科技工に対するCAD/CAMの応用は、主にメタルベースの粉末焼結方式あるいはレジンベースの光造形方式による積層造形が用いられている。近年、積層造形用メタル粉末材料に続き、矯正歯科用医療機器(クラスⅡ)に承認されたレジン材料も登場しCAD/CAM矯正歯科装置の普及と発展は今後急速に進むことが予想される。歯科用CADソフト及び歯科用3Dプリンターを用いた矯正歯科技工のワークフローおよび臨床応用における課題について討論したい。
10.成人患者のMFTにおけるポイントと難点
北澤 真佐子(沢矯正歯科医院)
1979年 | 歯友会歯科技術専門学校(現明倫短期大学)歯科衛生士科卒業 沢矯正歯科医院勤務 現在に至る |
1997年より | Mr.&Mrs.ZickefooseMFT講習会インストラクター |
2002年 | 日本口腔筋機能療法研究会(現日本口腔筋機能療法学会)入会 広報委員会委員 |
著書や研究発表の実績:
MFTの活用〜当院における基本のMFT指導と障がい者への応用〜」日本矯正歯科学会 2013年
「矯正治療は笑顔とともに〜当院におけるスマイルトレーニングの実際〜」甲北信越矯正歯科学会雑誌 2019
抄録:
成人患者に口腔筋機能療法(MFT)を行う上で、モチベーションの高さや理解力に助けられることが多い一方で、機能や形態の改善に時間を要したり、変化が確認できなかったり、過度な期待に難しさ を実感している。今後も多くなる成人患者のMFTについて、工夫や改善点について討論したい。