第5回日本視野学会学術集会 会期/2016年5月14日(土)ー15日(日) 会場/神戸国際会議場 会長/中村 誠(神戸大学医学部 眼科学教室)

学術集会会長挨拶

「視野検査のレゾンデートル(raison d'etre)」

第5回日本視野学会学術集会
会長 中村 誠(神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野 教授)

日本視野学会が、専門別研究会から独立し、単独の学術集会を行うようになり、今回で5回目となります。黎明期の手探り状態から大盛況の第4回金沢まで、日本視野学会学術集会は、回を重ねるごとに着実に発展、充実してきました。これも松本長太理事長、岩瀬愛子先生をはじめ、理事、名誉会員、評議員の先生方の多大なるご尽力の賜物です。そんな中、視野の専門家でもない私が第5回学術集会の会長を務めさせて頂くことになりました。第4回までの勢いに水をささないよう、しっかりと準備を進めたいと思います。

さて、今回の学術集会のテーマを「視野検査のレゾンデートル」といたしました。耳慣れない言葉かと思いますが、レゾンデートル(raison d'etre)とは「存在意義」という意味です。日本語ですと少々堅苦しいので、横文字にしました。フランス語ですが、英語で用いても通じるようです。近年のOCTを中心としたimaging技術の急速な進歩により、構造変化の解析に革命が起こりました。学会に出向けば、網膜疾患では網膜や黄斑の構造が戻ればそれでよい、緑内障ではpreperimetric glaucomaなる怪しげな言葉が跋扈し、視野検査など要らないよ、という声が漏れ聞こえてきます。しかし、それで本当によいのでしょうか。眼を患う人にとり、重要なことは眼の中の形ではなく、見え方です。視野こそ命のはずです。ここでいう「視野」は、単に静的視野における閾値を意味するのではなく、より包括的な「視機能」を考えますが、本当に「視野」検査は軽んじられるべき「時代の遺物」なのでしょうか。もちろん、そんなことはありえない!

ということで、「視野検査のレゾンデートル」と相成りました。ポスターの意匠は、視野検査を蹂躙しようとする昨今の暴風雨に耐え、屹然と浮上する視野の山を、OCTのGCCのようにも見える太陽が、部分的な相関関係を暗示するように照らし出すイメージです。

JPSレクチャーは私淑します愛知淑徳大学の柏井聡教授にお願いいたしました。視野の臨床と研究に関して、柏井先生独特の切り口でお話を頂けるものと今から楽しみです。シンポジウムのテーマに、「視機能検査のレゾンデートル」、「視覚障害認定基準と自動車免許」、「視覚情報処理から考える視野」を予定しております。またJPSコーチングセミナーでは「今さら聞けない視野検査のABC」と題し、閾値検査・閾値上検査、静的視野検査・動的視野検査の注意点などを勉強して頂けたらと思っています。また例年通り、公益性と教育性を重視した共催セミナーと共催シンポジウムも予定しています。

医師、視能訓練士を始め多くの皆様に、是非足を運んで頂き、学術集会のみならず、神戸の街並み・文化、そしてスイーツをはじめとする食をご堪能頂ければと思います。

第5回日本視野学会学術集会のレゾンデートル、それは参加者の皆様です。

See you in Kobe!

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