運営委員長あいさつ

2019年7月の日本小児肝臓研究会運営委員会におきまして新たに運営委員長に選出していただきました虫明聡太郎です。伝統ある当研究会メンバーの一人として、当研究会のさらなる発展と患者さんたちのために鋭意努力いたします。

小児の肝疾患は、新生児から成人期に至るまでを含め、発生、代謝、栄養、免疫、感染、腫瘍など、成人領域とは異なって多岐に亘る疾患と病態を対象としています。一方、それぞれの疾患は希少であるために、高いエビデンスに基づいた情報によって個別の医療機関や医師が対応することは困難な領域であると言えます。したがって、一つ一つの症例や知見を積み重ねていくこと、さらに個々の症例から病態や病因を究明する努力を重ねることが大切であります。

小児領域では、ウイルス肝炎(特にB型肝炎)、新生児・乳児の胆汁うっ滞性肝疾患、乳幼児の急性肝不全、胆道閉鎖症の術後合併症など肝線維化を背景とする様々な病態、肝移植後の合併症など、病態が未解明であったり、より良い治療法の確立が望まれる多くの疾患があります。日本小児肝臓研究会は、小児肝疾患診療に携わる日本全国の医療機関と医師が経験と知識を共有する場を提供するとともに、疾患や病態の集積や解明、さらに治療法の開発にかかわる研究活動を支援することによって、小児肝臓病学の発展に寄与していけるよう尽力して参ります。

令和2年1月

日本小児肝臓研究会運営委員長 虫明 聡太郎