第8回日本HTLV-1学会学術集会 会長 国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター センター長 浜口 功 |
この度、第8回日本HTLV-1学会学術集会を令和4年11月4日(金)〜6日(日)に一橋大学一橋講堂にて開催させていただくことになりました。新型コロナの影響で、ご参加の皆様にご不便をおかけしますことをお詫びいたします。また、こうした状況においても、会員及び関係各位の皆様の多大なご協力により、対面の学術集会の開催にこぎ着けられたことを心より感謝いたします。
HTLV-1の発見以来、多くの先輩方の研究により、ATL、HTLV-1関連慢性疾患、HTLV-1感染症の理解は大きく進みました。また、ATL、HTLV-1関連慢性疾患への治療は、近年さまざまな薬剤の開発により、治療戦略の幅が格段に広がっています。一方、日本のHTLV-1感染者の数は、AMED研究班の直近の報告では65.8万人という推定値が出されました。2005~2006年調査時の108万人に比べると大幅に減ったことになりますが、いまだに多くの感染者が存在しており、対策が求められます。今回の学術集会では、疾患の病態把握から、薬剤のシーズの発見と開発、臨床応用を目指した試験結果等について、報告がなされます。また、HTLV-1感染についても、毎年数千人の新規感染者が生じていると推測され、殊に若年層での水平感染増が懸念される状況です。HTLV-1感染のメカニズム、感染予防や感染者支援に関して、研究者、医療関係者からさまざまな活動が発表されます。
表紙・ポスターのイメージ図は微笑ましい母児の写真ですが、別の見方では、HTLV-1感染対策として人工栄養を行なわざるを得ない状況を示しています。HTLV-1を理解し、HTLV-1を撲滅するためには、ウイルスの挙動、感染者のおかれた状況、関連疾患発症への対策まで、多くの分野から英知を集め、克服するための不断の努力が必要です。第8回日本HTLV-1学会学術集会では、HTLV-1感染及び関連疾患の「現状と対策」のup-dateを意識し、情報の整理が進むようプログラムを構成いたしました。参加された皆様のそれぞれの活動のお役に立てば、望外の喜びです。
今回の学術集会では、これまでと異なり、第1日目の午後に開会の挨拶を行い、通常の学術集会のプログラムを始めます。第1日目より、皆様のご参加をお願いします。また、ポスターフラッシュトークを復活させ、ポスター討論の時間の確保を図り、ポスター発表の充実を図って参りたいと思います。第2日目の懇親会は残念ながら、今年も中止いたします。第3日目には閉会後、世界HTLVデーの催しを同会場で開催し、世界のHTLV対策に貢献できることを願っています。お時間がある方は是非ご参加ください。
コロナ禍で皆様にはご負担をおかけしますが、昨年と同じくハイブリッドという新しい試みも取り入れながら、実りある学術集会を皆様と作り上げることができればと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。