この度、第6回日本HTLV-1学会学術集会を2019年8月23日(金)〜25日(日)の3日間、宮崎市(ニューウエルシティ宮崎)にて開催させていただくことになりました。
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染者は、わが国では約80-100万人、世界では1000−2000万人いるとされ、従来は西日本に多いとされていましたが、近年の調査により大都市圏で感染者が増えていることが判明しています。本ウイルス感染症は成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、HTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)、HTLV-1ぶどう膜炎の直接的な原因であり、また日和見感染症、呼吸器疾患、膠原病、皮膚疾患とも関連が疑われています。これら疾患の発症予防や治療法の確立も喫緊の課題です。さらに、母子感染による感染拡大を防ぐため、妊婦全例にHTLV-1抗体検査が行われるようになり、その検査法の確立や、陽性であった場合の医学的対応のみならず、心のケアなど社会的な側面もふくめて議論が進んでいます。また献血者の検討から年間に4000人という多数の水平感染があるのではないかとの推測がなされ、この予防に関しても大きな問題となっています。
これらの問題の解決をめざし、2013年に「一般社団法人日本HTLV-1学会」が設立され、年1回の学術集会で研究成果の発表や情報交換を重ねてまいりました。これまでの学術集会では常に300名前後のウイルス学、疫学、免疫、血液内科、神経内科、皮膚科、眼科、産婦人科、リハビリテーション、検査、看護等、多分野の専門家、また患者会の皆様の参加があり、熱い議論により着実にこの分野の進歩に貢献してきたと思われます。
令和に改元された2019年の第6回日本HTLV-1学会学術集会では、「新時代のHTLV-1感染症対策・研究・診療」というテーマのもと、基礎研究から、新規の検査法、薬物治療、学会が進めている学会登録医療機関(拠点病院)構想まで幅広い議論を行う予定としております。また吉田光昭先生には特別講演をお引き受けいただくことができました。さらに宮崎大学HTLV-1/ATL総合診療研究ファシリティーとの共催を得て、ペルー、オーストラリアからゲストスピーカーをお迎えしたミニ国際シンポジウムおよびHTLV-1感染対策・診療に関する公開シンポジウムも企画しました。今回も研究者だけでなく患者・家族の皆様にもご参加いただき、宮崎の地で広く情報を共有したいと考えております。
是非、多くの皆様のご参加をお待ちしております。
第6回日本HTLV-1学会学術集会 会長
岡山 昭彦