子宮頸がんと検診
子宮頸がんについて
・子宮頸がんの原因はHPV感染によるものです。
子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染によって起こります。このウイルスは性交渉で感染する、ありふれたウイルスです。
多くの女性が一生に一度は感染するといわれ、感染しても全員ががんになるわけではありません。また、がんの手前の「前がん病変」になっても、自然に治る場合があります。
<図4 感染から子宮頸がんへの変化>
・子宮頸がんは近年増加傾向にあり、特に20代半ばから増え始め、50歳くらいまでの、妊娠・出産適齢期や子育て世代の女性に多いがんです(図5-1、5-2)。
また早期に発見し治療することにより、完治が期待できるがんです。20歳になったら定期的に子宮頸がん検診を受け、早期に発見することが大切です。
子宮頸がん検診の方法について(細胞診(従来法と液状検体法)とHPV検査)
(1)細胞診(従来法)
細胞診の従来法では、子宮頸部を肉眼で確認しながらへらやブラシで細胞をこすりとり、採取直後にスライドガラス等に塗抹・固定し、顕微鏡で異常な形の細胞がないかどうか調べます。
(2)細胞診(液状検体法)
液状検体法は、細胞のとり方は従来法と一緒ですが、検体作成工程の一部が異なります。
細胞をとったへらやブラシごと保存液の入った容器の中で洗浄することで細胞を効率よく回収し、保存液中の細胞をスライドガラスに塗抹し、
顕微鏡で観察します。従来法とは検体作成工程の一部が、異なります。これは従来法で起こっていた、細胞の数が足りなくて正確に判定できないというトラブルを避けるために考え出されました。
(3)HPV検査
HPV検査は、いわゆる「ハイリスクHPV検査」と「HPVタイピング検査」に大別されます。
ハイリスクHPV検査は、子宮頸がんの原因となるハイリスク13-14タイプのいずれかに陽性であるかどうかが判定できます。
一方、HPVタイピング検査は複数のタイプの混合感染も含めてどのタイプに感染しているかの詳細な情報を得ることができます。
子宮頸がん検診への導入が検討されているのは、前者のハイリスクHPV検査です。このハイリスクHPV検査では、
細胞診と同じように子宮頸部から細胞をとり、ウイルスのDNAがあるかどうかを調べます。
(4)細胞診とHPV検査併用
上記の細胞診とHPV検査を同時に行い、どちらか一方でも陽性ならば、陽性と判断され、精密検査が必要になります。
HPV検査と同時に行う細胞診の方法は、従来法の場合も、液状検体法の場合もあります。
ベセスダシステムによる判定(検診結果)についての解説
子宮頸がん検診における「細胞診」では、子宮頸部からへらやブラシで細胞をこすりとって顕微鏡で検査し、細胞の変化をベセスダシステムという分類によってカテゴリー分けして報告(記述的記載で報告)します。