第38回日本母乳哺育学会学術集会

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会長挨拶

会長
第38回日本母乳哺育学会学術集会
会長 宮内彰人
(日本赤十字社医療センター 副院長、周産母子小児センター センター長)

 第38回日本母乳哺育学会学術集会を、日本赤十字社医療センター 周産母子小児センターが担当し、2024年9月14日(土)15日(日)の2日間の会期で、渋谷区にある日本赤十字看護大学広尾キャンパスを会場として開催することになりました。今回の学術集会のテーマは、「いまふたたび、母乳をめぐる環境を考える」としました。今から12年前の2011年に、第26回学術集会(会頭:杉本充弘先生)を当センターで担当した時のテーマ(母乳をめぐる環境を考える)を再度考察してみたいとの思いから、このテーマを考えました。後日オンデマンド配信も行う予定です。

 2020年以降、医療の現場のみならずさまざまな活動が新型コロナウイルス感染症に振り回され制約を受けてきました。そしてこのパンデミックを経て、我が国の2023年の出生数は75万8631人(推定値)、合計特殊出生率は1.20とこれまでに経験したことのないような少子化が進行しています。一方で、生殖補助医療の普及が急速に進み2021年の出生児においては、11.6人に1人が生殖補助医療による妊娠で生まれています。学術集会のテーマにある「環境」とは、このような医学的な背景にとどまらず、私たちの生きる社会や文化そして私たち自身のライフスタイルや考え方も含めたいと考えております。

 学術集会では、日本赤十字社 清家篤社長(慶應義塾大学名誉教授)に「少子高齢化と女性の労働参加」と題した特別講演を、自治医科大学医学部生理学講座 神経脳生理学部門 尾仲達史教授に「オキシトシンは愛情ホルモンか?」と題した教育講演をお願いしました。少子高齢化社会において直面する労働人口の減少の中で、女性の労働参加の重要性が増しています。仕事を続けながら妊娠・出産・育児を担う女性を社会としてどのようにとらえていくのかについて考える機会となればと思います。また愛情ホルモンと呼ばれることもあるオキシトシンですが、育児行動の中でのオキシトシンはもっと複雑な働きをしています。尾仲先生には、オキシトシンの最先端の研究について解説していただきます。

 当センターは「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」に認定されている総合周産期母子医療センターの1つであり、その経験を生かして3つのシンポジウムを企画しています。シンポジウム1「現代の女性にとっての母乳育児」では、「母国を離れて子育て-経験者として、サポーターとして-」、「ケア提供者からみた現代女性の母乳育児」、「産婦人科女性医師自身の子育て アンケート調査から」、「親・大学生の声から授乳の情報を考える」と題した講演を各シンポジストにお願いしております。シンポジウム2「早産児と母乳育児」では、新生児医療における母乳育児について「ドナーミルクの現状と将来」、「人乳由来母乳強化剤の実現にむけて」、「NICUにおける自母乳哺育の現状と向上に向けての取り組み」、「オキシリピンと早産児母乳栄養」の4つの講演をお願いしています。またシンポジウム3「母乳育児に関する医学的諸問題」では、母乳育児を行う上での医学的問題となる4つのトピック「妊産婦の高年齢化と摂食障害」、「妊娠関連乳癌」、「HTLV−1東京プログラムとHTLV−1キャリアの母乳育児支援の充実に向けた取り組み」、「妊産婦のメンタルヘルス」について理解を深める場としたいと思います。これらの講演やシンポジウムを通して、母乳を取り巻く現在の環境について、参加される皆様にとって視野を広げさまざまな角度から話し合う機会となれば幸いです。

 今回の学術集会では、例年のように一般演題から優秀賞を選ぶとともに、懇親会も計画しております。母乳育児にかかわる学会員の皆様の交流の場となることを願っております。ぜひ多くの学会員の皆様に学術集会にご参加いただければと存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

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