医局員の声Voice of members
亀井 潤 都立駒込病院泌尿器科 |
泌尿器科はおそらく学生や研修医にとってあまり注目を浴びるような人気の科ではないかもしれません。私は学生の頃から泌尿器科はどうも「食わず嫌い」されてしまい最初から興味の対象外にされることが多くなかなか友達には理解されませんでしたが、扱える領域も意外と広く、知れば知るほど他の科に決して劣ることのない楽しさとやりがいが十分に得られる世界だと思います。
昨年初期研修医を終えて現在入局一年目ですが、私の場合、出身大学の医局という理由で入局したことになります。最近は後期研修に力を入れている病院も少なくないので、十分な症例経験を積み実力をつけることはもちろん入局しなくても実現可能だったとは思いますが、単一の病院で得られる経験にはどうしても限界や偏りがあります。東大は関連病院や医局員が多く、一人前になるまでは一~二年サイクルという短期間で複数の病院をローテーションできるので、得られる経験の偏りを減らせますし、その結果より多くの先生から指導を受けることができる点で、入局という選択を選びました。また、これは実際に入局して実感したことですが、最近は例年同期入局者が多く、さらに学年の近い先輩を含めて仲がよいため、縦のつながりだけでなく横のつながりも強く同世代の泌尿器科医の情報をたくさん聞けるのも、医局に所属するメリットだと実感しています。
そして、現在は大学病院に勤務しています。大学病院は、事務的な仕事が少なくなく、新人が手術や直接的な診療に専念するには、一般病院よりも弱くなってしまうところも否めません。しかし、一般病院では得られないアカデミックな環境が整っていて、学術的な考え方を学ぶことができる点は、大学病院でなければ得られないことだと思います。今の医局は若手でも学会発表や症例報告、論文発表をすることを積極的に推奨しているので、大学では新人でも希望すればどんどん発表の機会を得ることができます。さらに余力があれば、上級医とテーマを相談して臨床的な研究を自分で進めることも可能です。学術的な視点を持つことは臨床の現場で個々の患者さんを診る時の自分の視点を広げることに繋がるので、早いうちにこういった経験ができることは大学に所属することで得られる最大のメリットなのではないかと思います。もうすぐ、大学病院を離れ関連の一般病院に異動し、専門医を取得するまでは自分が興味を持ったことの臨床研究も進めながら、臨床経験を積んでいこうと思います。