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医局員の声Voice of members


杉原 亨

医療法人明徳会新都市病院泌尿器科
平成17年 東京大学卒業
平成19年 入局

 何科に進もうかと考えるときに、大部分の人は泌尿器科というのはイメージの悪さからかハナからリジェクトされて検討対象にすら上がらないのではないかと思います。なのでこれを読んでいる人はこの時点で相当、泌尿器科への親和性が高いと思います。私も学生の時は全く泌尿器科なんて考えていませんでした。5年生の終わりに外科系を1つ1ヶ月かけて回るカリキュラムがあり、定員オーバーの無さそうな(人気の無さそうな)泌尿器科を戦略的に選んでみたら、意外にも守備範囲が多彩で面白く、お、これはアリだなと思って選択した口です。怒られるかもしれませんが、泌尿器科の魅力はそのニッチさだと思います。泌尿器科は医師人口が少ないわりに(麻酔科より少ない)、対象臓器は広く、他科ではカバーできないスペシャリティが光るのでどこへ行っても重宝されます。高齢化社会ですので排尿や癌の問題はこれから増すばかりです。一学年に内科に行く人はたくさんいても、泌尿器科に行く人はあなただけではないですか?同級生からも重宝されるはず。人が少ないので手術の執刀なども早く回ってきやすい科だと思います。

 私は臨床を五年した後に、東大の公共健康医学専攻という公衆衛生の一年制の専門職大学院に入りました。泌尿器科と一見縁がないようですが、臨床は社会と切っても切れない関係があります。保険制度や年金、ふくれあがる医療費、医療訴訟、医師不足、医療崩壊、医療の質の測定と評価などなど、日々の臨床に直結する問題は山積みで、今や臨床医は病院の中で治療だけを考えていればいい時代ではありません。基礎研究とはまた違ったおもしろさがあります。このような前例がないイレギュラーな進路選択についても、教授以下、教室の諸先生方は前向きに相談に乗って下さり快く送り出してくれました。ここに来ても、泌尿器科はメジャー科と比べるとまだまだ研究されてない課題があふれていて、このニッチさが生きてきます。

 また、これは泌尿器科に限りませんが、東大は総合大学としてハードもソフトも他の大学には比べものにならないほど充実しています。単純にオンラインで検索できる文献でも他を圧倒していますし、自宅から論文検索ができるシステムが整備されています。また経済学部や法学部、工学部などといった領域にも一流の学者が揃っていて、絶えずあちこちで講演会が行われています。東大病院の職員となられたのなら、是非、病棟の仕事に閉じるのではなく、ぶらりと本郷キャンパスをうろついて催事をチェックしたり、あちこち進入してみることをお勧めします。意外な将来性が拓けるかもしれません。

 超高齢化社会を迎えるに当たり、泌尿器科を初期研修で選択して排尿管理などを学ぶのは将来何を専門科にするにしても外れにはなりません。ぜひ一度、門を叩かれることをお勧めします。