プラスミン
【プラスミンとは】
プラスミンによるフィブリン分解
 
フィブリン分解する場合には
一ヶ所だけ結合している場合もあります
 
プラスミンはセリンプロテアーゼの一つで、前駆体であるプラスミノゲンのArg561-Val562の間が組織プラスミノゲンアクチベータやウロキナーゼによって切断され、生成(活性化)されたものです。
プラスミノゲンはいくつかのドメインからなっていますが、N-terminal peptide (NTP)がないLys-プラスミノゲンが活性化されやすいため、5つのクリングルドメイン及び活性中心があるセリンプロテアーゼドメインからなるLys-プラスミノゲンがプラスミンの主な構成と考えられています
クリングルドメインにはリジン結合部位(lysine binding site; LBS)と呼ばれる部位が存在し、この部位を介してプラスミンはフィブリン上のリジン残基と結合します。プラスミノゲンにはLBSが5つあり、第1クリングルドメインに2カ所、第2、第3、及び第4クリングルドメインにそれぞれ1カ所あります。この中で第1クリングルドメインにあるLBSがリジンに対する親和性が高く、フィブリン上のリジン残基と結合します。また第3もしくは第4クリングルドメインのLBSを介してフィブリンと結合します。このように少なくとも2つのポイントで、プラスミンはフィブリンと結合することができます。このため一つのリジン残基と結合したまま、別のLBSがフィブリンのリジン残基へと移動することで、プラスミンはフィブリン表面上をフィブリンから遊離することなく移動することができます。さらにプラスミンがフィブリンを分解すると、その断端に新たなリジン残基が形成されます。この新たなリジン残基をプラスミンは新たな足場とすることができるため、プラスミンは足場を形成しつつフィブリン表面を移動しながら分解していきます。

【プラスミンの不活化機構】
セリンプロテアーゼであるプラスミンはセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)であるα2-アンチプラスミンによって不活化されます。α2-アンチプラスミンによるプラスミンの不活化はに段階の反応で、まずプラスミンのクリングルドメインとα2-アンチプラスミンのプラスミン結合部位が結合し、続いて、プラスミンの活性中心とα2-アンチプラスミンの阻害部位が他のセリンプロテアーゼとセルピンと同様に中間体を形成し、プラスミンの活性を不可逆的に不活化します。このプラスミンとα2-アンチプラスミンの複合体がPAP(plasmin-antiplasmin complex)です。PICとも呼ばれる場合もありますが、これは商標名です。
プラスミンがフィブリン上に存在している場合は、反応の第一段階が起こりにくため、α2-アンチプラスミンによるプラスミンの阻害は起こりにくいと考えられます。一方で、プラスミンがフィブリンから流離すると、速やかにα2-アンチプラスミンによる第一段階の反応が起こり、続いて第二段階が速やかに起こります。
またα2-アンチプラスミンは、凝固第XIII因子の作用で不安定フィブリンが安定化フィブリンに変換する段階で、同じ凝固第XIII因子の作用で安定化フィブリンに取り込まれます。この凝固第XIII因子が作用する部位はプラスミンのクリングルドメインとの結合部位ともプロテアーゼ阻害部位とも異なるため、フィブリン内に取り込まれた状態でもα2-アンチプラスミンのプラスミンの阻害能は保たれています。このためプラスミンはフィブリン表面上でフィブリンを分解している過程でα2-アンチプラスミンによる不活化を受けます。