高分子キニノゲン欠損症
【高分子キニノゲン欠損とは】
先天的に高分子キニノゲンが欠損・低下している遺伝性疾患です


【遺伝形式】
常染色体劣性遺伝形式です


【臨床症状】
因子活性が著明に低下している症例でも、出血傾向を呈することはありません。高分子キニノゲンは内因系凝固反応の開始において重要な役割を果たしているため、その欠損低下ではAPTTが延長します。しかし全く出血傾向は呈しません


【検査所見】
  • PT正常、APTT延長

  • 延長したAPTTは補正試験で補正される
    ループスアンチコアグラントおよび後天性血友病の鑑別のために施行してください。凝固時間が測定できる施設では特別な試薬がなくともAPTTの試薬さえあれば施行可能です。

  • 高分子キニノゲン値は低下していると考えられますが、保険診療では検査ができません。このため通常は確定診断には至りません。

  • 他の内因系凝固因子活性は正常

【鑑別疾患】
  • 血友病A血友病B凝固第XI因子欠損症凝固第XII因子欠損症、その他の因子欠損症
    治療法が異なるので鑑別は必要です。各凝固因子の測定が必要です。です。

  • ループスアンチコアグラント
    APTT延長延長が認められます。一般に出血傾向は呈さず、血栓傾向を呈することが多い病態ですが、時に出血傾向を呈する場合もあります。検査では補正試験で補正されないAPTT延長を認めます。無症状の症例も多く術前検査で偶然見つかる場合も多くあります。先天性凝固第XII欠損症では多くの症例では無症状ですが、本病態では血栓傾向と術前検査などでAPTT延長を認める場合は血友病を含む因子欠損症かループスアンチコアグラントなのかの鑑別は重要です。

  • 後天性血友病
    凝固第VIII因子に対する自己抗体が出現する病態です。一般に強い出血傾向を呈し、検査では補正試験で補正されないAPTT延長を認めます。

【治療】
出血傾向は呈しませんので、手術などの観血的手技施行時も、治療介入の必要性はありません。凝固第XII因子欠損症プレカリクレイン欠損症と同様に、検査値異常はありますが、治療介入する必要のない疾患です。