<2015年10月掲載>
帝京大学で学んだこと、現在の職に役にたっていること
帝京大学大学院公衆衛生学研究科公衆衛生学専攻 専門職学位課程2期1年コース修了
JICAラオス国母子保健人材開発プロジェクト 業務調整/組織連携担当 曽根 和枝 さん
「サバイディー!」こんな挨拶で現在の私の一日が始まります。ここは東南アジアの内陸国ラオス、帝京大学SPHを卒業後2人の幼児を連れて赴任し、プロジェクトの業務調整/組織連携担当として業務を行っています。ラオス保健省の教育研究局の一角にプロジェクト事務所を構えており、日本人3名とラオス人2人の常駐スタッフがラオスの保健省職員と一緒に課題に取り組む毎日です。プロジェクトはラオスで深刻な問題を抱える保健人材、特に看護人材の育成を質の面から向上支援する内容で、システム整備、教育改善、システムや規定類の看護サービスへの具現化に取り組んでいます。具体的には、看護業務範囲ガイドラインや学校管理ガイドラインの策定と改定、ラオスの看護師がもとめられる資質である「看護コンピテンシー」の策定、コンピテンシーに基づいた上級看護師カリキュラムとシラバスの開発、教育施設のサポーティブスーパービジョン導入、モデル病棟における看護過程の導入と他病院への展開支援、などを行っています。また、ラオスには国家試験とそれに伴う免許制度がなく、国家試験免許制度によって医療専門職自身とその教育の質を担保する仕組みが存在していません。2015年末から開始される予定のASEAN経済共同体における専門職相互認証協定(Mutual Recognition Arrangement; MRA)において国家試験免許制度の整備が求められており、プロジェクトはこの制度構築への支援も同時に行っています。私の担当は主に、全体の業務計画と予算の調整、ラオス側との活動調整とアレンジ、進捗管理などを行っています。これらの業務を遂行するために、プロジェクト全体を把握し様々な側面からの情報を集約しながら進捗マネジメントを行っていく必要があり、帝京大学SPH在学中に学んだ知識やスキルをフル動員しながら毎日の業務を行っています。プロジェクトの計画の詳細を検討する際世界の特に周辺国の動きや技術レベルを参照したり、プロジェクトにおいて実行する各種調査の限界と最低限担保すべき要素の検討、サーベイのデータ分析や結果を導き利用する方法など、SPHで学ぶ以前の自分自身では十分に身についていませんでしたが、現在ではより確信をもって業務に臨めるようになりました。
帝京SPHに入学するにあたり自分自身の目的としていたのは、自分自身が現場で得た知識や経験を発信する手段を獲得し、個人の経験を共有できるようになること、また共有された他者の経験を自分自身も利用し、より信頼性の高い問題解決ができるようになること、でした。現在の仕事において、これらのスキルと知識が確実に向上していることを日々感じています。1年コースで2人の子供の育児をしながらの就学は簡単だったとは言えません。特にすべての教科での学びを集約させて取り組む課題研究は苦労をしました。その苦労をしてでもチャレンジして良かったと心から実感しています。
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