活動報告

  • 2012.10.23 宇賀
    ・10月4日(木)に京都大学の疋田貴俊先生にセミナーをしていただきました。テタヌストキシンを細胞・時期特異的に発現させることで、大脳基底核の直接経路と間接経路の機能を解明することを目指した研究のお話でした。依存症のお話もさることながら、一度獲得した行動を柔軟に切り替えるのに間接経路が重要であるというお話は、我々の研究にも一石を投じており、感銘を受けました。齧歯類における研究では、行動学的な指標が霊長類と比較して不確実なため、行動と神経活動の厳密な関係を探るのは難しいと思います。しかし、テクニカルには先鋭なものが多く、その技術をシステム神経科学的な理解に応用する試みには今後の期待が持てました。セミナー終了後は、いつもの焼鳥屋さんで疋田先生と親睦を深めました。



  • 2012.8.26 須田
    第12回生理学若手サマースクールが8月8日、9日に開催されました。テーマ「脳の時間」について、中村先生(大阪大学)、喜多村先生(東京大学)、深井先生(理化学研)、西田先生(NTTコミュニケーションズ科学基礎研)に講義して頂きました。



  • 2012.3.16 猿渡
     2012年3月9日(金)に順天堂大学10号館8階803カンファレンスルームにて東京大学大学院総合文化研究科の寺尾将彦先生に「眼球運動時における非網膜的な視覚情報処理」との演題でご講演頂きました。
     私たちは日常生活において頻繁に目を動かしています.寺尾先生は追跡眼球運動,急速眼球運動(サッカード)といった眼球運動時の視知覚を心理物理的手法で測定することにより、眼球運動に関わる皮質内信号が感覚処理にもたらしている変化を明らかにしてこられました。
     ご講演では、一つ目には追跡眼球運動時の等輝度色運動の知覚の話を、二つ目には追跡眼球運動時における仮現運動での運動対応の話をされました。被験者に追跡眼球運動を行わせた場合と固視させた場合で、知覚測定の結果を比較すると、追跡眼球運動による知覚の変化を検出することが出来ます。私たちの脳内では、網膜より入力された刺激はまず網膜を中心とした座標系で処理され、処理が進むに連れて外界の座標系が再構成されていくことが知られていますが、追跡眼球運動により生じるこれらの知覚の変化は、脳内で外界の座標系が再構成された後に起こっていることを示唆する実験結果についてご紹介がなされました。
     三つ目には,サッカードによって私たちの視空間が主観的に縮むという話でした。仮現運動での運動対応は近い刺激間で起こり易いとの性質を利用した独自の課題で、サッカード中の視覚がサッカードの方向に平行方向に空間的に縮んでいることを示す実験についてお話されました。
     我々の視覚系では、外界を捉える処理が網膜の入力のみからの計算を越えて感覚器の動きの情報を加味したより能動的な処理が行われていることを明確に示され、視知覚の神経生理学的な機構を考えていく上でも大変興味深いものでした。

  • 2012.2.17 須田
    第11回生理学若手ウィンター(サマー)スクールが2月11日、12日に開催されました。テーマ「高次脳機能研究の先端技術」について、長谷川先生(新潟大学)、田村先生(大阪大学)、南部先生(生理研)、磯村先生(玉川大学)に講義して頂きました。



    これまでの実験系で明らかにされてきた脳神経系の歴史を振り返る中で、各実験系のメリット、デメリットに触れながら、現在確立されつつある先端研究技術を分かりやすく講義して頂きました。実験目的に沿った最適な実験系を模索することが、意義ある研究を行うことは勿論、研究をより発展させる上で重要であるのだと感じました。
    また、御茶ノ水前の居酒屋「太陽」で開かれた懇親会では、学部生を含めた幅広い年代の方々が参加され、楽しい一時を過ごすことが出来ました。



  • 2012.2.1 宇賀
    日本テクノセンター企業研究者向け講演会を行いました。視覚神経生理学の基礎と応用の話をしましたが、企業の方がどのような興味を持っているのかが分かり、大変勉強になりました。
    日本視覚学会2012年冬季大会に参加しました。質感研究が増えたのが印象的でした。個人的には「立体映像の知覚,視覚疲労とその医学的視点」のシンポジウムが勉強になりました。