RSS1.0 時評 s-jis。えっ!東芝。切磋琢磨、原子力輸出


冷戦で融ける氷

2014-08-09

ロシアの地政学的リスクは高まるばかり、平和ならドネツクの炭田に超臨界石炭火力でもつくって送電すると言う説も出たかもしれないが、ロシアとウクライナ、その他の地政学的リスクは、フクシマに驚愕した東欧を再度原子力発電に接近させている。

本年3月29日、リトアニアの全政党が、挙国一致でプロジェクト推進に合意したことを受け、今回、リトアニアは日立と連携して、9月末までにPCO設立計画の詳細を立案し、プロジェクトの推進を加速することとしたものです。すでに本内容は毎月行っているBCM(バルト3カ国政府閣僚級会議=Baltic Council of Ministers)で検討が始まっており、3カ国は日立と連携して、プロジェクトの加速に向けてさらに深く協議していくこととしています。同時に、リトアニアはホスト国として、政府内にプロジェクト推進のための専従者を置くことを検討していきます。[Hitachi 2014-07-30]

万能素材、炭化ケイ素

2014-07-08

日本の次世代は炭化ケイ素に掛かっている、原子炉が停まる中、電力の効率的な変電をおこなうには不可欠だ。
現在はジルコニアで作られる燃料集合体カバー材に、SiCを適用したと東芝とイビデンが報告した。


琴欧州つかまえた

2014-07-08

ブルガリアも政権を揺るがす議論が続いていたが、原子炉設置会社を東芝系のウェスティングハウスが作ると共同通信が7月3日報じた。。すでにブルガリアBEHと東芝は、再生可能エネルギーなどの取引がある。
また、フランススエズと西カンブリア地方にあるムーアサイドにおいて、英国での軽水炉建設を進めるとプレスリリースを出した。「加圧水型原子炉「AP1000®」3基を建設する予定で、電力需要の約7%に相当する電力を供給することができると期待」とあるのだが、そんなに英国は小さかった?と逆の驚きがある。


トナカイつかまえた

2013-2-25

サンタの国からアテトナカイOlkiluoto4号機には韓国・GE-Hitachi[ESBWR]・アレバ[EPR]も応札したが、 東芝が手堅く押さえた。優先交渉権の結果が実るかは、東芝自体の交渉のみならず、トルコで露呈した様に、日本国の手を翻したような冷たさが有るか否かに掛かっている。APWRに乗り換え、アメリカに尻を押してもらうにしても、主要部材は極東で調達する以上、日本国の許認可の遅さ/棚上げによる邪魔が今後最大の「カントリーリスク」になる。


思い出、ぼろぼろ

2012-12-11

2006年に志賀浜岡号で発覚した、日立の低圧タービンの脆さ。これが、浜岡の号機や島根原発号機など、他のより出力の低いタービンにも探傷による傷が見つかっている。三菱と日立で火力が合同したが、ラグナベルデ原発と同じく三菱に投げて、日立は卒タービンした方がいいんじゃなかろうか?日立の納入したサイト


英国の水平線

2012-10-30

それでも日立は頑張る。GEも買収の一翼を担うのかと思ったら、日立製作所として買うのだという。
それでも、GEに奉加帳をお願いはするのだと思うが、東芝もWHの87%を持つような勢いで、GEから資金が引き出せるか、微妙。


リトアニアorz

2012-10-30

 ご縁が無かったリトアニア。政府の政策転換ではなく、政権交代と、国民投票での否決という、二重の審判だったから。ご縁がなかったと言うしか無い。ポーランドが継続中


トルコにもWH

2012-07-31

東芝はトルコ詣を続けているが、ABWRからAP1000への切り替えを画策している。
新設は一進一退だが、ベルギーやスペインなど老朽炉の延命が相次いでいる。陳腐化進む老朽炉より、すっきり新炉を建てて欲しいものだ。


リトアニア

2012-06-24

エネルギー依存度を下げるためには、バルト海3国として安定した電源の確保をつとめる必要のあるリトアニア。ヴィサギナスに原子炉を設置しようとしている。議会もGE-日立のABWRの導入に承認を与えた。他にもLNG基地などエネルギーのロシアへの依存を低減させる方策をこうじている。

I am happy that the Seimas has said yes to a further development of nuclear energy in Lithuania. The Seimas has also given green light to signing a Concession Contract with a strategic investor, Japan’s Hitachi Corporation. (リトアニア首相コメント)

でも、随分と内陸なんだよね。ベラルーシとラトビアの三国が交わる湖の近くで。

これが終わると、ドイツが抜けて頓挫していた、ウェールズのホライゾン計画が待っているが、ここはGEH3番手、1番手アレバにも2番手WHにも中共の会社が噛んでいるというのが、面妖
The Horizon nuclear development project, earlier shelved when German energy giants RWE and E.on dropped out, may push through after all with bids already received from the French firm Areva and China Guangdong Nuclear Power Holding Co. partnership, as well as from the duo of Toshiba-owned Westinghouse and State Nuclear Power Technology Corporation of China. A third bidder could be GE Hitachi. : 英国の原子炉はまだ生きている

韓国とトルコ

2012-02-05

ねぇ、最初はウチの案件だったじゃない。東芝も東電も、日本政府も凍っているし、ファイナンスだって眉唾だよ。戻してよ。
と、言ったか言わないかは別にして、「韓国の李明博大統領は5日、トルコのイスタンブールで同国のエルドアン首相と会談し、トルコの原子力発電所建設への協力を再開することで合意した。(共同)」


そもそも論

2011-12-28

高経年化技術評価に関する意見聴取会の第三回目を聴きに行った。「保全」という言葉がある。作った時、新品と同じ条件を保つという意味合いがある。それに対して、どれくらい壊れてきたかを判断する、劣化診断が必要になる。劣化が基準に達したら、その部分を「元の仕様に復元する」のが、経年化対策だといえば、それはその通りだろう。
しかし、ここに宿題が2つ出てくる。
ひとつは、「陳腐化」に対応するために、新しい建設当時無かったものを取り入れるか否かという応対である。
炭素鋼では肉厚が保てないのでステンレスにするのか?炭素鋼で肉厚が減るから、点検間隔を短くして肉厚の基準もきつく見直して10年ではなく5年ごとに当初仕様設計通りの部材を変えるのか?
どちらも正解だが、審議会を開くにあたり、言葉の定義付けがハッキリしていないと、委員として意見を求められても、答えが無いというのが、会議の最後に事務方に委員から言葉がぶつけられた。
高経年化対策に、陳腐化対策を大幅に見積もるなら、見直すべき点は、枚挙に暇が無くなる。あまりに陳腐化対策を推し進めるようなら、全体の整合性(温泉旅館の建て増し状態のような感じ)や採算性の面から、やはり高経年化対策をするよりも、寿命30年で立て替えようという意見に、首を振るべきだろう。

さらには、「技術枯渇」について、一言も触れられていないのが、気に掛かった。いったい、いつまで会社があると思うのだろうか?戦前の日本は46cmの大砲も星形揮発油エンジンも生産出来た。しかし、21世紀の今、それは作れない。50年運転、60年運転。やはり、無理が強かろう。最新の知見に即した原子炉を立て替え、審査で先送りせずに、その時点で最良というフローで、更新するのが、最良だろう。


GE日立ニュークリア・エナジー社とエクセロンがクリントン原子力発電所

2011-12-28

イリノイ州クリントンにあるクリントン原子力発電所において、モリブデン-99の製造に係る実用調査研究を共同で実施する
いま、心臓などの核医学検査で持ちいているアイソトープは照射ではなく、燃料棒の再処理で作っているが、その炉も年を取り、新しい炉はなかなか出来ない。
外形的にイランが20%の燃料棒を製造するといっているのも、このアイソトープ生産のためという事になっている。再処理による分離以外の方法が普遍化すれば、核拡散の抑止にも繋がる。


ポーランドとアメリカ

2011-11-07

ポーランドの電力会社Polska Grupa Energetycznaは原発のサイトを三箇所に絞った。いずれも沿岸部バルト海の水で冷やすようである。それにたいして総統閣下を産んだ国はお怒りのようです。もっとも、ファイナンスが枯れれば枝葉も伸びないかもしれない。
WHも計画参入を目指しているが、本国米東海岸でも4基のAP1000の着工が近づいている。
フロー(Fluor Corporation)とGE-Hitachiも参入を図っている。


バングラデシュとチェコ

2011-11-07

バングラデシュが、露のロスアトムとバングラのラッパー原子力発電所に加圧水型炉の納入に関する政府間協定を結んだ。
高騰する化石燃料を国境を越えて着実に入手できるとは限らない昨今、国家レベルのデフォルトがあっても原子炉の燃料はすぐには燃え尽きない。天然ガスの評価が高まっても、チェコの様にいつまでも春や夏が続かない事を思い知っている国もある。

CEZのDaniel Benes会長兼最高経営責任者(CEO)は、「原子力開発は基本的な優先事項だ。原子力を失えば、ロシアの供給するガス次第になってしまう。他に道はない。再生可能エネルギーでは需要をまかなえない」と述べた。(c)AFP/Jan Marchal

想定内

2011-10-07

ボスニア湾の奥、オウルの南西100kmほどのところピュハヨキに、新しいフィンランドの原子炉立地が内定している。候補はToshiba ABWR design and Areva’s EPR and Kerena.最後の物はアレバが半分ドイツ由来でドイツで検討していた次世代沸騰水炉なんだけど、ドイツが止めたいまとなっては:-p

想定外

2011-10-02

想定して廃炉していた訳ではないが、東海発電所(黒鉛減速ガス冷却炉)が活きていたら、どうだったんだろうか?
東海第二発電所の報告書[pdf]が上がっているが津波により非常用ディーゼルが1台浸水し、バッテリー室の一つもこちらは飲用水の配管からの漏水がドレンを通じ流れて浸水した。それでも、慎重に冷却にたどり着いたのは、福島第二と同様であるが、東海発電所の抗堪性が福島第一1号機程もあったかというのは疑問である。もちろん、英国直輸入ではないが。


円キャリー

2011-09-08

WHに出資していた、ショーグループ[pdf]が東芝に株を押し付けた。
福島も重荷、サウステキサスが倒けたのも重荷、しかし更には円キャリーが加われば、それも致し方なかろうか?
当時の相場は1米ドル=118円・米国債の利回りは4.5%前後、日米金利差から円建て社債を選んでいたとしても、返済に必要な額は為替で決まる。

Westinghouse shares. Since the acquisition, the yen-denominated debt has increased by approximately $600 million to a total of almost $1.7 billion.
円建て債務は6億ドル増えて17億ドルになった。
ショーのジェームズ・バーナード最高経営責任者(CEO)兼会長は電話会議で、東芝が約16億ドルを支払うことになると述べた。

丸紅は逃げ足が早く上手だった。流石、兄弟(嘘)。


レトロフィット

2011-07-18

そりゃ、余熱でまわす蒸気タービンで空冷式のセットを用意しとけというのは嘘じゃないけど、ESBWRのようにポンプなしで自然循環冷却をするほうが気が利いている気もする。
大切なのは系を複雑にする後付けではなく、高経年炉の更新だろう。

無動力原子炉冷却システムの提案


リトアニア

2011-07-18

フィンランドといいリトアニアといい、原子力に対する理解は高い。定量的にリスクを推し量れば、地政学的リスクを超える何も、ロシア周辺国にはないと言う事になる。
リトアニアとポーランドはお互いが上位であり、互いに侵されたと非難し合う間柄である。
その二者がGE Hitachiの炉を建設しようというのも、なかなかの皮肉だが、WHではなくリトアニアはGEを選んだ。130万kWhの炉を2020年までに運転開始というのであれば、ABWRであろう。


浜岡5号機

2011-06-18

管代表の野生の「管」は冴え渡り、故障予期していたかの様に、冷温停止作業中に、復水器から海水約400トンが流入し、そのうち5トン程度が原子炉圧力容器内にも混入した5号機[jiji]。配管と金属製ふたの溶接箇所付近が破断し05年の5号機建設時の施工ミスで、溶接不足の部分で流れが不規則になって振動が生まれ、金属疲労を起こしていたとのことであった(mainichi)。21年8月の駿河湾の地震のおり、「5号機の地下浅部に分布するS波低速度帯」がレンズの様に揺れを纏めて、3号機147gal、4号機163galに較べて、426galと大きな振動が加わっていた[静岡県pdf]。点検も経た筈だが当該箇所は健全と見なされていた。


高経年炉対策は建て替えしかない

2011-05-28

九州電力玄海原子力発電所1号機で核反応で中性子を浴び続ける原子炉内にある測定用の鋼鉄片の温度から脆化の状況が分かる「脆性遷移温度」が、2009年4月時点で従来想定を最大20-30度程度上回る98度だった。
 九電が過去測定した温度は35度(76年)、37度(80年)、56度(93年)。運転開始30年を前にした03年、国に提出した高経年化技術評価書のグラフでは、09年前後の時点での温度を誤差を含め70度前後に想定していた。九電は09年の測定結果を受け、測定値に沿った想定に上方修正したという。(西日本新聞2011年5月28日)

玄海のサイト内に建て替える必要はない、川内の3号炉を粛々と進めて、玄海1・2号炉は停めるべきだ。


サンタクロースはクリスマスに来る物だ

2011-05-27

トルコのアブドゥルラフマン・ビルギチ駐日大使が5月27日「日本の技術を信頼している。トルコは原子力エネルギーをあきらめることはない。交渉が再開され今年末までに合意すれば、(トルコが目指す)2019年までの稼働に間に合う」と話した。[Asahi]

AP1000には更に慎重な審査を米国規制当局

2011-05-21

お安くしときます、ABWRのキャンセル品があります、今なら即納できます(藁)

そんな事いってももう中国ではドンドン作っていますが、それに古い壊れかけより、新しい方がいいのと違いますか?女房とリアクターは新しい方が良いでしょ、制御は大変だけど。
NRC Chairman Gregory B. Jaczko's Statement on AP1000 Review Issues[pdf]


笞と鞭、無知と無恥

2011-04-20

罰で打つのは笞、働かせるのは鞭。

東京電力は、減る人口・頑張りすぎる省エネ・統制される価格などの諸条件から、海外からの収益を活路として考えていた。その一つサウステキサスプロジェクト(STP)が崩落した。
先立って、公明党の議員で「たくぎん」出身というヒトから、海外に投資する位なら賠償せろとかいうを刺されていた。
火力に転換するにしても、炭鉱やガス田、運ぶ海運など垂直方向への投資無しには電気は生み出せない。買うだけなら、すぐ元栓を捻られてしまうのは、石油ショックや太平洋戦争開戦の折りに接した、地政学的事実である。排ガスによる呼吸器疾患と燃料手配の2面から、原子力が推進されてきた事実を、ポピュリズムがなぎ倒してしまうのは、次の危機まで議員を続けていなくても済む気楽さ故だろう。
駄馬として東電をインフラ基盤の輸出主体として世界に追いやり、ノマドの様に収益を得させて、補償にあてるという成長戦略無しには、国民負担は嵩むばかりである。そして、放牧場の一つは、立ち枯れてしまった。

"The project is not dead," CEO David Crane said Tuesday, "but it's not moving forward at this point, and to be frank, under the current circumstances, the reality of it moving forward in the foreseeable future is not high."[STP plant expansion loses NRG as investor]
すでにシェールガスが合衆国でコンステレーションの原子炉を吹っ飛ばしたが、こんどは津波が呑み込んだ。

既存不適格の稼働中の炉を、新型炉に置き換える、減災の美風は、誰からも歓迎されないのだろうかと溜め息が出る。


身の丈を知る

2011-04-11

わずかな差は、生死を分ける。クルマの衝突でも前の椅子との1mの差が生死を分ける。福島第二が助かった理由は建屋内に非常用電源があり、健全性が保たれた他に、やはり原子炉建屋敷地の高さが12-13mあり、浸水が1号炉の裏手の2.1mをのぞくと、30-40cmで済んでいたことが考えられた。敷地が13mあり浸水が1m未満であったのはは福島第一の5・6号機にも言える。
4月10日も放射能漏れが続き、冷却が出来ていない1号機や、その他2・3・4号機は10mの高さにあり、4mの浸水を受けていた。2mから3mの高さが、健全性を保った。身の丈ほどの違いが、生死を分けた。(福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所における津波の調査結果について2011-04-09

トルコは東電=東芝との交渉継続に意欲をみせている。エルドアン首相は、福島原発の事故後も「リスクのない投資はない」と主張し、原発政策の見直しは行わない考えを示している(時事)。しかし、技術以上に、東電側の企業統治能力と資産の健全性が課題である。
東電の2020ビジョンではキャッシュフローの状況に応じて、1兆円の投資を行い、少子高齢化と産業の海外移転でシュリンクする内需からはなれて、海外事業で三分の二の経常利益獲得を狙っていた。
トルコ側は韓国との交渉で、外資が半分以上である事を求め、それを韓国が49%に留めたいとしていた事から、話し合いの相手が日本に移った経緯がある。
技術面以上に、身の丈が小さくなった東京電力の資金調達力では、トルコ側の資金負担がないと日本との交渉は成立しない。
サウステキサスプロジェクトでの、東電に期待された資金調達力も、同じ課題を背負っている。


農業水産・避難に逐われる皆様へ頭を垂れつつ

2011-04-02

ハードではなくソフトといえば、「ECCS」をオンするのに1時間あった。地震から津波最大限波到達による電源喪失まで1時間弱。「高圧系のスプレー?そんなもの起動したら、始末書だ、メディアスクラムだ」という文化から、「冷却優先」への文化の切り替えが大切。柏崎刈羽で冷却できたという成功体験も判断の基準にあったかもしれない。
GPS波浪計とレーダー。海底ケーブル津波計で津波が観測できれば、ECCSを押す指の背中も押す事ができる。
海保の「まつしま」のレーダーで15:49に津波の帯が映っている。相馬に15:50に到達し津波計の通信途絶に至って居る、それより南の双葉にはもう数分ある。減災のための基礎検討も進んでいた。これは別の自分の記事だが、判断材料が不足しているというなら補う手段は複層的に得られる。「まつしま」のレベルのレーダーは核テロ関連の海岸監視に備えてていても良かっただろうし、そもそも海上警護に当たる巡視艇がそういう襲来を「ほうれんそう」する仕組みは無かったのだろうか。
複層的情報を得る点では、「仕事中のテレビやtwitterは、職務専念義務違反ではない!」、と見方を変えるのも文化的ソフトの改修かもしれない。レーダーやGPSではなく、女川から「津波なう、保安官事務所喪失なう」でも構わなかったかもしれない。
やっぱりソフト。一番欠落しているのは、大きな地震の後の津波がくる事を想定して止めて冷やす。その安全文化につきる。KKの成功体験で止めるで満足してしまった。観測データがあっても文化が無ければ見過ごされる。
柏崎刈羽の反省[pdf]で水槽付き自衛消防車などを用意した。放水の水圧が不十分でKKの変圧器が消せなかったという反省があった筈である。しかし、近隣のダムからの水を引く事など、今度も海水冷却からなかなか卒業出来なかった事から、活かせていない事がわかった。玄海とかサイト内の真水は淡水化プラントに頼っているところも多い。これは、ソフト対応が不十分で、ハードの拡充が求められる。
APWRやABWRのつぎ2020年目標のHP-ABWRやHP-APWR[pdf]、静的格納容器冷却機能や溶融デブリ保持機能を充実させている、これこそ、いま福島で起こっている事。でもそれを待つより、APWRやABWRを着手できるところは着手すべきである、法隆寺のような経年運転より伊勢神宮と同じ遷宮が必要である。
これも、保安院などの規制当局のキャパ・協力会社のキャパが、砂地獄の様に1Fが吸い込むと、成り立たない。いろいろな方々が危惧している様に、「立ち去り」や「真水」あらたな人材の供給教育が枯れてしまう危惧も強い。


被災・避難に逐われる皆様へ頭を垂れつつ

2011-03-26

福島第一と第二については、現在も事象が継続中であり、避難された方々だけではなく、中通や会津を含めた、JA・JFの方々が、放射性降下物による営農漁労の悪影響を被り続けることも含めて、頭を垂れるほか無い

福島第一については陸続と衆目をあつめているが、第二についてはどうであったのだろうか?まず、人的被害については地震の揺れそのもので「排気筒のクレーン操縦室に閉じこめられていますが、他の作業員の確認した情報では、当該作業員の呼吸および脈が確認できない状況」であり、3月12日鵜になって午後5時13 分、タワークレーンから地上へ搬送し、午後5時17 分、死亡が確認された。押し寄せた津波は、「東電は当初、津波の高さは第1原発では10メートル、第2原発では12メートルだったとしていたが、その後、両方とも高さ14メートル程度まで津波の痕跡があるのを確認したという(共同2011-03-21)」としている。かといってサイトの標高が大きく違った訳でも津波の想定が大きく異なった訳でもない。いずれも5m強の津波しか想定していない。しかし、福島第二原子力発電所 1~4号機 は外部電源が保たれていた幸運もあり、原子力災害対策特別措置法第15条通報を必要とする圧力抑制室での100℃以上への上昇などの事象が1、2、4号炉で生じ、原子炉格納容器内の圧力を降下させる措置(放射性物質を含む空気の 一部外部への放出)の準備を行いはしたが、幸いな事に、復水補給水系で注水し、海水系統設備を石川県より空輸したポンプの交換作業を終えた、3月14日午前中より残留熱除去系を再開し、「原子炉冷温停止に向けて、原子炉冷却機能を復旧して原子炉を冷却し、1号機については3月14日午後5時から、2号機については同日午後6時から、3号機については3月12日午後0時15分から、4号機については3月16日午前7時15分から原子炉冷温停止」にこぎ着ける事が出来た(東京電力2011-03-16pdfhtml)。3号炉については残留熱除去系のモーターについても健全であった。
外部電力があったことこれが一番の要因であった。
新潟県の「設備健全性、耐震安全性に関する小委員会」では、平成21年3月27日開催の議論で、外部電源喪失時の冷温停止機能について(pdf)検討されていた。

1.冷却方法:復水器が使用できないため主蒸気逃がし安全弁を使用しながら減圧冷却するとともに原子炉隔離時冷却系ポンプ、低圧注水ポンプから原子炉へ注水する。
2.冷却時間:主蒸気逃がし安全弁による急速減圧を行うことにより、スクラム後から冷温停止(100℃以下)まで約1.5時間で冷却可能。
3.電源供給:非常用ディーゼル発電機により電源供給するが、全ての非常用炉心冷却系ポンプを必要としないため、スクラム後からディタンクのみで約25時間電源供給可能。

逃し弁の適切な時期の開放を遅らせた事、そして電気がなく手作業での開放に依らなければならなかったこと、それも圧力制御室を介して初期の放射性降下物を少なく回避しようとした事。これらが相俟って、その後の圧力制御室の破損などの事象に拡大して行ったことは可能性として考えられる。方法は判っている、しかし少量の放出を後ろ指さされた事で躊躇せざるを得なかった過去が決断を先送りにせざるを得ず、また調整を必要とした事が、第一の事後の拡大につながったとも言える。
原子炉には原子炉を。十分な容量をもった外部電源を維持するには、SMRが米国で取り組まれているが、このような孫炉を継続して運転できないか?
サブのターボ発電機を予備の残留熱除去系に繋ぐ事も考えられはしないだろうか。米英の原子力潜水艦は主機のタービンとターボ発電機に別れている。燃料プールを冷却水とする、予備の発電機で、残留熱除去系の1000万kcalから熱効率20%でも二千kWhの発電は出来る。低品位であれば、ターボでなくてもスクリューという選択やさらに熱効率は落ちるがスターリングという選択も無いではなかろう。
系を複雑にするより高台にディーゼルを置く(中部電力pdf)のも選択の一つだが、原子炉本体ではないと安全性を低く見積もった基準が適応されたり、離れた場所故に間の配電設備での不具合が重なることも考慮しないといけない。

そして、なにより福島第二は新しかった大きかった

浜岡で1・2号炉を、6号炉に置き換えようとしている様に、古い設備を経年稼働するよりも、スクラップアンドビルドを賢明に推進し、新しい知見を取り込んで行くのが、安全の確保であろう。
第一の放射性降下物がいつやむかは月単位・半年単位であり、住民感情や政治の思惑とも別に、作業にあたる事の出来る、マンパワーの制約で、他の原発の定期点検や再稼働は順次遅れて行くだろう。そうして、60Hz地域にもじわじわと電力供給の低下がみられることは否めない。まず諦めるべきなのは、敦賀1号炉ともんじゅであろう。文殊は海水注入は出来ない。1号炉に工事をするくらいなら、APWRを早期に立ち上げるべきではなかろうか。


友達は選ぼうね

2011-01-21

東芝などが加圧水炉であるAP-1000を英国に提案しているが、当然の事ながら、米国勢(Westinghouse, Shaw)と日本(東芝)だけでは話が進まない。英国からはコンサルタント企業のLaing O'RourkeがNPD UKに加わっていたが、BAEとロールスロイスも加わる事になった。潜水艦の炉はロールスロイスのものであり、ガス冷却炉だけ作っている訳でもなく、また安全基準を作る側とも「親しい」方が話が通りやすいのは何処も同じだろう。
なお、斗山も加わっており、三菱の部品は使わないらしい。


サンタクロースはフィンランドだけじゃないよ

2010-12-31

サンタクロースとして知られている聖人ニコラス(St.Nicholas)は、トルコ南部にある地中海近くのパタラ(Patara,デムレ(Demre)の付近)という街で3世紀に生まれ、ミラで逝去しました。そして彼はデムレにある教会に今も葬られています。( トルコの観光・伝統文化の総合サイト
トルコにおける原子力発電導入に関する協力について検討してまいりました。平成22年12月24日(金)、大畠経済産業大臣とユルドゥズ・トルコ・エネルギー天然資源大臣との間で、トルコにおける原子力発電導入に向けた基盤整備に関する協力の枠組を定めた合意文書に署名しました(経済産業省
私の期待と希望は、費用がロシアや韓国と協議してきた数字より高くならないことである。(ユルドゥズ・エネルギー天然資源相の来日で我が国による逆転受注の期待が高まったトルコの原子力発電事業(2010年12月27日掲載))
東芝が建設に意欲を示しているトルコ・シノップ原子力発電所の受注計画の概要が30日、判明した。原発を建設・運営する新会社を設立し、東京電力など電力各社に出資と運転協力を求める。国際協力銀行(JBIC)には、建設に必要な資金の融資を求める考えだ。(読売新聞2010-12-31)

でも、このサンタクロースが本物かは判らない。柏崎刈羽を見学したけど、AP1000じゃなくてABWRだというのだろうか?それは事前の準備とずいぶん違うが、3ヶ月かそこらで詰められるものだろうか?


宝くじは買わないとあたらないよ、トルコ

2010-10-08

 韓国が一サイト(黒海シノップ)、ロシアが一サイト(地中海メルシン)噛んでいるトルコの原発。東芝が現地大使館とユルドゥズ・エネルギー天然資源相を表敬し、黒海沿岸の原発建設に参加の意向を伝えた。(47news 2010-10-08
原子炉の形式は「P(加圧)型[pdf]」とほぼ決めているし、AP1000なのだろう取ろうとするとしても。

韓国側は40%の出資比率を検討していたが、「自国は49%未満、進出側が51%以上[Balkans.com2010-10-11]」というトルコ側の主張に交渉が難航。竣工時期をずらさないというトルコ側は年末を期限にパートナーの変更を考慮している。


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