食事の中のトランス酸

べたつく

H18.10/29

からっと揚がるのは油が滲み出ないから、液体にならなければベタつかない。
チョコが、手に持って溶けなくて、口溶けするには2度くらいの違いで、溶けたり溶けなかったりするように調製する必要がある。ココアバターは結晶多形現象といって17~36度まで色々な融点の性質を併せ持っている。その中で36度の物が最も安定なのを、テンパリングといって温度調節で最適な結晶に持って行く他、植物油や乳脂肪を添加して融点を調節して行く。
この様に油と云っても溶けたり流れたりする温度を調節して質感を替える工夫をしている。 その、最たるものが、マーガリンである。

ニューヨーク市がトランス型脂肪を0.5g/皿に抑える様に指示を出した。

寒い海で泳ぐ変温動物の魚は油が固まると不利になる。細胞膜の変化を起こすのでPUFA(多価不飽和脂肪酸)が多い、一方で、哺乳類は恒温動物なので、温度の変化に対して脂質膜の流動性を考慮する必要も無く、合目的に飽和脂肪酸が多くても構わない。逆に温度が高いと酸化変性し易い多価不飽和脂肪酸を多く含みすぎる訳にもいかない。
この辺を追求して行くと一番美味しい牛肉は一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が多くて、その遺伝子が風味を決めるSCDとかFASN、わざとその様に飼料を配合するとか、話が膨らんで行く。

部分水素化し、融点を上げた油が多いと、細胞膜が固くなり粘性が高くなる。それにより動脈硬化も進み易くなる。
生物も部分水素化して脂肪を代謝する。しかし、酵素反応のときはcis型が主である。バイオ水素化というと凄そうだが、牛の胃などでは細菌がcis型に水素添加する訳である。しかし、工場で加工する時や揚げ物をするときは光学異性体を選択的に作りにくいように、transとcisが、ほぼ同程度出来てしまう(野依先生のノーベル賞のお題が光学異性体の選択的な作り方[不斉触媒合成]である)
ともあれ、一見健康に良さそうと植物油は使いたいが、使うと調理に不具合、加工食品であれば輸送中に風味が替わるとなると、硬化油をつかい硬化油である以上トランス型が含まれてしまう。
加工食品をレストランやコンビニで扱うとしても、ではだれがその情報を取りまとめるのか?それが負担であるという声も出てくるが、加工食品を使わずに調理をすれば心配も少ない。
油の絶対量が少なければ、0.5g/皿は簡単に達成出来る。


食品安全委員会のファクトシートが2007-06-21に更新された。積み上げ方式で0.7g、生産量で1.3gが日本の平均。残飯の残し具合があるので、生産量からの推定はどうしても過大評価になる。最高のアイスランドは男性で6.7gというのも凄いが、あそこも長寿国。

食品安全委員会PDF

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