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Svea 123R

テントの中で燃やす小型携帯ストーブはキャンプ生活に必須の道具だ。とくに雪山では枯れ木を集めて焚き火もできないので、料理はすべて小型携帯ストーブの性能にかかっている。新田次郎の小説「風雪の北鎌尾根」の中では、小型携帯ストーブの当時のブランド名「ラジウス」の故障の描写が雪山遭難事件の前兆として描かれている。ストーブは絶対に故障しては困る。その性能は登山者の生死を分ける可能性すらある。ストーブは実用的に重要であるだけでなく、激しい燃焼音は行進曲のように登山者を励ましてくれる。

私は大学生の時に屋久島の原生林を歩くために軽量化を最優先して登山装備を揃えた。自炊用にEPIガスカートリッジ式ストーブを選択した。しかし山行の途中でカートリッジをバーナーヘッドから取り外したところ、カートリッジの弁にゴミでも挟まったのか?ガス漏れが起こった。ガスの臭い匂いがするカートリッジをザック入れて持ち歩く気にならない(カチカチ山の狸さんを連想してしまう)。カートリッジに穴を開けて内容物を捨てようとした。しかしカートリッジに大量にブタンが残っている状態で穴を開けたところ内部の液化ブタンが急激に気化して、その気化熱でカートリッジが凍結してうまくガスとして排出できない妙なトラブルを経験した。ガスカートリッジ内の残存量のチェックができないことも不便だと感じていた。
1982年の北海道大雪山を登った時に定山渓の避難小屋の炊事場で灯油ストーブ(Optimus No.00)を使っている登山者を見た。灯油ストーブをポンピングして点火すると迫力ある燃焼音が印象的だった。灯油は爆発の危険性がない安全性も魅力的だ。それから13年間(1983〜1996年)私は灯油ストーブ(Optimus No.00)を使い続けた。ただ残念なことに登山から遠ざかっていた(約3年間)メインテナンスを怠ったら加圧ポンプの弁がシリンダー内壁に固着して動かなくなってしまった。無理に動かそうとしたら弁が割れた。修理を代理店に依頼したら生産中止品で必要な部品がないと言う。現行のOptimus Novaは燃料タンクと燃焼ノズルが分離して軽量化に成功している新設計だ。接続ホースで燃料を送る接続部分はOリングが使われている。このゴム製のOリングは消耗品であり亀裂や摩滅が起これば燃料漏れが起きるだろう。私は燃料漏れ事故は二度と経験したくない。Optimus No.00と同じ一体型の灯油ストーブを探して日本製MANASURU 121を学生らの炊事用ストーブとして選定して蝶ヶ岳ボランティア診療班で使い続けることにした。ただし1350gのケースを含めた総重量は個人山行用の装備としては重い。TrangiaのアルコールバーナーTRB25 (110g)は軽いことはよいが炎の調節が難しいのでテントの中で使用するのは危険だ。いろいろ悩んだ末に一体型の最軽量のSvea 123R(550g)を使ってみようと考えた。


----- Svea 123Rの性能試験-----

性能試験:Svea(Optimus 123R)を使い20℃の水500mlを沸騰させる。
    結果1:沸騰までの時間:約4分
    結果2:消費したガソリンの重量:10g
最大出力の炎ならば3分程度で沸騰させることができる。しかし点火直後は炎の勢いが弱いので、今回の実験で沸騰までの所要時間が4分近くかかった。