アビガン事件の構図
西のクロロキンvs 東のアビガン:「強いリーダー」が初(うぶ)なお医者様達を食い物にする構図-
承認されたってへいちゃらさ.だってアビガンを勧めるような破廉恥なお医者様はお断りすればいいんだから
自分の命は自分で守ろう!!
アビガンの添付文書にも審査報告書にも、自分の家族には(たとえそれが自分の老親に対してであっても)絶対使いたくないと思わせる記述の 数々があります。あなたが万が一にでもアビガンの「観察介入研究」に関わるのならば、その点を確認の覚悟した上で、関与することを強くお勧めしま す。

イレッサ事件再び
そりゃ珍しいだろうよ.市民団体にとって,こんなに美味しいカモネギはないやね.介入研究と観察研究の区別もつかない点も,どこかの素人同様じゃねえか.それが何の反省もなく,のこのこ出てきやがって,恥知らずどもが.お若い方々,よーく御覧あれ.こうしてイレッサ事件は起こったんだ.この種の記銘力障害は,どんな感度の良い認知症スケールでも絶対に検出できない.全く同じ事をアビガンでも繰り返そうとしているのが何よりの証拠だ.臨床研究無法地帯
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アビガン投与、現場の医師判断で 県医師会が「福岡県方式」検討(西日本新聞 2020/5/1)
福岡県医師会は30日、福岡市で記者会見を開き、新型コロナウイルスの治療薬として期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」の投与について、現場レベルの医師の判断で決められる態勢を構築する方針を明らかにした。県と協議中といい、県医師会は「国の許可が得られれば『福岡県方式』の5月中のスタートを目指したい」としている。全国的にも珍しいという。(中略) 厚生労働省によると、アビガン投与には、国が支援する研究機関が行う観察研究などに参加する方法がある。通常は、各病院が観察研究の参加手続きを行う必要があるが、「福岡県方式」では、県医師会が一括して実施する。
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ハイリスク患者へ「アビガン」などの早期投与 日本医師会が要望 (ABEMA TIMES 2020.04.28)
 新型コロナウイルスの治療薬・ワクチン開発が進められる中、アビガンの早期投与によって症状の改善がみられた事例が報告されている。また、政府がアビガンの備蓄を増やしている状況を鑑み、「投与禁忌または副作用、基礎疾患治療のための服薬中の他剤との相互作用などを十分に注意することを前提とし、備蓄されているアビガンを活用して、入院初期のハイリスク者に対する投与を推進していただきたい」とした。(日本医師会 横倉義武会長 記者会見 2020.04.28)
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現場で奮闘しながら「コロナの特効薬」の開発に関わっていらっしゃる先生方には,以下は不愉快な言説にしか聞こえないかもしれませんが, 良薬は口に苦しと申します.ここには大切なことが書いてあるとお考えください.明日どころか,「今日は我が身」と思し召せ.どうか,上記の日医の会長と同じレベルに落ちないでください.もちろん、ここを読む前に、第二のサリドマイドを読んでくださいね。

ディオバン「事件」の本質ノバルティスに騙された初(うぶ)なお医者様達
「ディオバン事件」という言葉を知ってはいても,その本質を(真の意味で)理解している方はお医者様の中でもごく一部です.なぜ,そう断言できるかというと,もし大多数のお医者様がディオバン事件の本質を理解していれば,一国の首相が記者会見で特定の医薬品を推奨するような異常事態は出現しなかったはずだからです.
 ディオバン事件の本質は,ノバルティスがバルサルタンの販促(具体的には適応外使用の推進)のためにお医者様達を利用したことにあります.しかしお医者様なら誰でもいいという訳ではありませんでした.具体的にはJikei Heart Study, Kyoto Heart Study,その他刑事訴追の対象にこそならなかったものの,巨額の「奨学寄付金」をもらってバルサルタンのもろもろのseeding trialsを推進したお医者様達.そんな研究倫理の「け」の字も知らない,それどころか添付文書も読めないお医者様達を,ノバルティスは「絶好のカモ」として利用したのです.

アビガンに対する企業の態度:まともな企業なら承認申請していなかった
アビガンは本来ならば承認申請すべきではなかった薬です.それは添付文書を見ただけでわかりますアビガンの承認効能効果は「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症」。つまりアビガンの効能効果は、この世の中に未だ出現していないが、これから出現する「かもしれない」病気に限って認められているのです。知っていましたか?
●知らなかった。でもそれがどうして問題なの?と思った人は、続けて以下を読んでください。
●添付文書がなんだ。そんなのいつでも読める。俺は医者なんだ。薬の専門家なんだ。お前みたいな素人の御託なんかもうたくさんだ。と思った人は、もちろん続けて読む必要はありません。

申請効能効果は季節性インフルエンザだった
アビガンの審査報告書は読みましたか?読んでいないでしょうね。でも、それを責めるつもりは毛頭ありません。何しろ177ページもあるんですから。でもダウンロードだけならできますよね?そうしたら、7ページを見てください。そこには、[申請時効能・効果] A 型又はB型インフルエンザウイルス感染症 とあります。これで「あーっ」と思って、口と目が大きく開いた人は、もうこのページを読む必要はありませんから、余裕があれば審査報告書を読み進めるなり、忙しければ添付文書の臨床試験の項を見るなりしてください。(もちろん以下を読んでくれてもかまいませんが) そうでない人は以下を読み進めてください。
 申請効能効果には、申請者の最も大切な願いが込められています。何年にわたる開発の努力は全てこのためでした。もちろん治験も季節性インフルエンザを対象に行われたのです。ところが、認められたのは、季節性インフルエンザではありませんでした。来る年も来る年も、インフルエンザには使ってもらえない。いつ襲ってくるかもわからない。それはもしかしたら、再審査期間の8年が過ぎて後発品が出てきた後にやってくるかもしれない。そんなふうに待ちぼうけを食らいながら無駄な時を過ごしてきた。それがアビガンなのです。当然、この承認効能効果に対しては全く臨床試験が行われていません。

富士フイルムの焦り
中国の科学技術省は、富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルスの治療に有効だと発表しました。この報道を受け、一時、富士フイルムHDの株価が急騰しましたが、翌日には急反落します。中国ではアビガンの物質特許が切れており、製法特許も強くないと判断されたためです。つまり、中国でアビガンの後発薬(ジェネリック薬)が売れても、富士フイルムには一銭も入ってきません。富士フイルムは2008年に富山化学(当時)の買収によって医療用医薬品事業に本格参入しましたが、古森会長は2017年にメディア取材に対して「医薬品+再生医療は赤字」とコメントしています。以上のことから、医薬品事業については参入当初のもくろみが外れたといっていいでしょう。(富士フイルム「アビガン」で透ける難路の医薬品事業 日経新聞 2020/3/27

市民団体の動向彼らはいつでも後出しじゃんけん
   添付文書でも、審査報告書でも、これだけ重大な問題が明記されているア ビガンを、敢えて患者さんに処方しようとする感覚が私には全く理解できません。私は自分の家族には(たとえそれが自分の父親に対してであっても)アビガン だけは絶対使いたくないと思っています。そんな薬を患者さんに処方する医師が訴えられる裁判では、私はもちろん原告側に立って意見書を書きます。現在までの所、薬害関係の市民団体にはアビガンを巡る動きは見られません(*)。だからといって、今後アビガンについて市民団体は行動を起こさないだろうと考えるのは間違った楽観です。(*2020/5/1 薬害オンブズパーソン会議が「アビガンに関する意見書(新型コロナウイルス感染症に関して)」を厚生労働省に提出
 市民団体は、(ワクチンではない)治療用既承認医薬品の既知の副作用についてproactiveに動くことはありませんスモン、血友病HIV/AIDS、イレッサ、彼らの行動はいつでも通常「後出しじゃんけん」です。いずれの例でも、承認後・市販後の副作用被害の顕在化を確認して初めて、規制当局や企業に対して賠償訴訟を起こしました。スモン、イレッサでは、リスク・ベネフィットバランスを弁えない医師達による当該薬剤の乱用に起因した副作用被害の顕在化であったにもかかわらず、医師達を訴えませんでしたが、これはあくまで訴訟戦略に過ぎません。血友病HIV/AIDSでは安部 英氏が刑事訴追を受けています。アビガンでは「副作用の数々が添付文書で明らかであったにもかかわらず,適応外使用という名の人体実験を行った」皆さんも訴えてくる可能性を踏まえて行動してください。

「強いリーダー」の利益相反は開示されている
「COVID-19との戦い」に集中するあまり,それ以外の社会の動きに無関心になっていませんか?また,(たとえ医師免許がなくても)実質的な開発主導者が抱える重大な利益相反に無関心になっていませんか?これも知らなかったでは済まされません.下記のように堂々と開示されているのですから.「この非常時に」という魔法の呪文のおかげで,利益相反に関する感覚も昭和の頃に逆戻りしていませんか?
アビガン インフルエンザ治療薬 富士フィルム 日本医師連盟 製薬産業政治連盟
「大変な一年だった」 神奈川で企業経営者らとゴルフ 日本経済新聞 2019/12/30
Business Journal(2017/1/17)
安倍首相、医療現場でのアビガン使用「できる限り拡大」―緊急事態宣言で記者会見(日本医事新報  2020-04-08)

Q & A
●倫理委員会を通しているから問題ないだろ?
やだなあ,だから言ってるでしょう.ディオバン「事件」の本質を理解してくださいって!!そういう問いが出てくること自体,ディオバン事件を理解していない,何よりの証拠です.Jikei Heartも, Kyoto Heartも,両方ともしっかり倫理委員会を通っているからこそ,Lancetや European Heart Journalみたいな,似非トップジャーナルにアクセプトされたんじゃないですか.えっ?だったら,アビガンの論文はNEJMに載せればいいじゃん ですって.絶対ダメ!あんな誇大広告代理店

●医者は自動的に免責になるだろ.スモンだってイレッサだって訴えられたのは国と会社だけで,乱用した医者には一切お咎めなしだったじゃないか.
何が自動的に免責だ.臍が茶を沸かすぜ.なんでそんなに楽観論になれるんだよ,このタコ!全然わかってねえんだな 適応外処方なんだぜ.医賠責も効かなければ,副作用被害救済制度も適用されない万が一の時の備えが,その万が一の時に使えねえんだ.こんな間抜けな話がどこにある!! このタコ!!イレッサと,アビガンの決定的な違いは,イレッサの間質性肺炎は市販後に明らかになったのに対し,アビガンの催奇形性は申請時に既に明らかで,添文書にも最大限の注意喚起がなされているからだ.つまり処方した医者に一義的責任がある.てめえが引き出されるお白州が,記者会見であれ,法廷であれ,「これほど明確に添付文書にも審査報告書にも書かれていることを,知らなかったとは言わせない」 そう攻撃されて,どうやって反論するんだよ?このタコ!!上等だよ。お手並み拝見と行こうじゃねえか.

●厚労省が守ってくれるんじゃないの?
無理です.東京地検特捜部に対してディオバン事件を刑事告発したのが,どこだったかをもう忘れてしまったのだとしたら,それは重篤な記銘力障害の何よりの証拠です.ましてや上記のようなばりばりの利益相反が一般公開されている「能天気な強いリーダー」と心中するほど,役人はバカではありません.

●もし,裁判になったって大丈夫。ディオバンを見てみろ。医者は検察の犬になって逃げ切ったじゃないか。
ディオバン事件では確かにお医者様達は共同正犯とならずに済みました.しかしそれは特捜検事がGCPが何の略かも知らなかったぐらい,臨床開発に無知だったからです.今は違います.検察官に対する医学・科学教育は着々と進んでいます.そして彼らはディオバン事件でボロ負けしたリベンジの機会を虎視眈々と狙っています.後ろには検察史上最強の用心棒も控えています.裁判まで待つ理由がありません.逃げるなら今です.ぐずぐずしていれば,それだけ戦犯としての罪状もどんどん重くなっていきます.それにねえ,そもそもアビガン裁判は民事の損害賠償訴訟として始まるんですよ。ディオバン「事件」でぼろ負けした特捜も,アビガンみたいに筋の悪い「事件」に手を出すわけないじゃないですか。民事だったら,アビガンを使ったお医者さんが座るのは被告席。原告席に座るのは私です。

海外にも輸出するぐらいだから大丈夫
外務省は海外の要請に応えるのが仕事。それ以上の仕事はしないし責任もない。いざとなったら被告人席に座るのは富士フィルムの会長・社長と厚労省の担当者。
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「アビガン」80カ国近くから要請 茂木外相「ものすごく関心高い」(産経新聞 2020/4/30)
茂木敏充外相は30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症の治療薬として効果が期待される国産の新型インフルエンザ薬「アビガン」について、80カ国近くから提供要請を受けていることを明らかにした。政府は希望する国々に無償提供を行っており、30日時点で39カ国への供与を調整済みとした。
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承認されたってへいちゃらさ.だってアビガンを勧めるような破廉恥なお医者様はお断りすればいいんだから
自分の命は自分で守ろう!!
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