日本尿路結石症学会 第31回学術集会

会長挨拶

会長 安井 孝周

日本尿路結石症学会第 31 回学術集会を名古屋で開催させていただくにあたり、謹んでご挨拶申し上げます。

尿路結石の治療は変革の時代を迎えています。ESWLが尿路結石の治療を激変させたのは30年前です。近年、テクノロジーの発展により、手術治療は大きな変革を遂げました。パイオニアが確立した術式はエキスパートから、多くの泌尿器科医に拡がっています。しかし、尿路結石治療の目標は、手術による摘除にとどまりません。その成因の探索、再発予防までが治療といえます。

テーマは「尿路結石を科学する」としました。診断、治療、予防の発展には、経験に限らない科学が必要であり、基礎研究があわさって、新たな治療が芽吹き、花開くと考えるからです。

成因では、生活習慣病などとの共通点は多く、十分に活かされていないものの予防への応用が期待できます。手術治療では、多くの施設があらたな治療を導入し、機器、方法などの経験、データが蓄積されています。ロボット、AI、新規レーザー、超音波など、さらに進化する可能性を秘めています。診断では、画像検査のみならず、遺伝子診断、それに伴うカウンセリングなども現実的になってきました。それらの基盤となる基礎研究では、結晶学から分子生物学的研究への発展、生体内での免疫・炎症反応、生活習慣病との関連など話題には事欠きません。

新型コロナウィルス感染症は学会活動に大きく影響を及ぼしました。基礎研究、臨床研究、予防治療、手術治療をすすめるためには、しっかり議論する学術集会が大切なことを、改めて感じています。感染対策に配慮しながらも参加された先生方が存分に発表、議論できるよう会場やWebなど工夫し、鋭意開催の準備を行ってまいります。暑い名古屋を熱い議論で盛り上げていただきたいと思います。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

日本尿路結石症学会第31回学術集会
会長 安井 孝周

(名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野)