会長挨拶
令和5,6年度 低温生物工学会 会長 |
2023年(令和5年)6月に開催されました第68回低温生物工学会年会の総会において承認を受け、竹澤大輔前会長の後を継いで、会長に就任することとなりました枝重圭祐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
低温生物工学会は、1959年に前身である「凍結及び乾燥研究会」として発足以来、62年に渡って凍結と乾燥に関わるさまざまな現象を、物理学、化学、生物学、生化学、農学、医学、薬学、機械工学など諸分野で活躍する研究者が基礎及び応用的側面から取り組む最新の研究成果を発表し、異分野間の研究者と交流を深める場として発展してきました。近年は特に、応用分野で著しい発展を遂げる再生医療やタンパク質製剤保存のための技術開発、細胞の超低温保存、食材の機能評価、基礎分野では熱測定やイメージング、氷核活性物質や不凍タンパク質、低温応答的な遺伝子の解析など、多岐にわたる分野の発表が行われています。
毎年開催される低温生物工学会大会は第68回を迎えました。ハイブリッド型で開催され、セミナーと研究報告において活発な議論が行われたことを大変心強く思います。私達役員は年会の滞りない運営と研究者間の交流のために尽力してまいりましたが、今後も引き続きより良い学会運営のために努力して行く所存です。加えて、低温生物工学会奨励賞や年会ベストプレゼンテーション賞の授与を通して、若手研究者の育成にも努めて参りたいと思います。
年2回発行される学会誌「低温生物工学会誌」(Cryobiology and Cryotechnology)は69巻を数えます。原著論文、セミナー総説、および研究報告を掲載していますが、そのすべてが2名以上の査読を経て受理された記事となっています。また、低温生物工学会誌に掲載された論文は2015年よりJ-STAGEに搭載されています。前身の「凍結及び乾燥研究会会誌(1〜39巻)」の記事を含め、ほとんどの記事をオープンアクセスで読むことができ、学会員はもちろんのこと、国内の関連分野の研究者、および海外の研究者の方々にも幅広くご利用いただいております。
低温生物工学会は、今後も幅広い研究者が参加する異分野横断的な学問分野を発展させ、社会が要請する技術基盤の構築とその基礎となる科学的知見の創出に貢献して参ります。本学会が益々発展するよう、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。