ご挨拶
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第35回日本小児脂質研究会を2021年11月19日(金曜日)~20日(土曜日)にwebで開催することとなりました。テーマは、「健康な子どもから疾患を抱えて生きる子どもまで」とさせていただきました。
私たちが経験している新型コロナ禍は、小児医療に大きな影響を与えました。特に小児科外来診療において、御家族は軽い症状では子どもたちを外来に連れて来なくなりました。大きな病院は感染症をもらう怖いところと言う思いも芽生えました。その中で私たち小児科医が考えなければならないのは、「治療から予防へのシフト」だと思います。健康な子どもへのアプローチが必要で、特に高脂血症や肥満への指導が重要になります。今後は小児科医が保育園や学校へ出かけていって、Well-Child Careに関わることが、小児医療が生まれ変わるためにも重要と考えます。
一方で、先天的な代謝異常症を抱えて生きている子どもたちにとっても大変な時代になったと思います。基礎疾患があることで感染症罹患を恐れて、体調が悪くても受診しない子どもがでてしまってはいけません。そのためには、新しい治療で体調を改善させるだけではなく、在宅医療などの手段によって通院しなくてもよいようにしていくことも重要です。今までは「調子が悪かったらすぐに受診して下さいね」で済んでいたのですが、「受診しないようにするための医療」が必要な時代になったのだと思います。
新型コロナ禍を経験した小児医療の一端を、私たちの小児脂質研究が担っているのは間違いありません。健康な子どもであっても、疾患を抱えて生きる子どもであっても、安心して暮らせる社会を私たち小児科医は目指さなければなりません。
これらの問題を小児脂質という視点から共に考えていくために、多くの先生方の御参加をお待ちしております。
会長 窪田 満
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 総合診療部 統括部長