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未診断患者に対するゲノム(全遺伝情報)解析とは?
「遺伝」という言葉は、「親の体質が子に伝わること」を言います。遺伝は基本的な部分で人の体や性格の形成に重要な役割を果たしています。「遺伝を決定する小単位」は「遺伝子」で、人間の場合、2万個以上が働いていますが、その本体は「DNA」という物質です。
「DNA」は,一つの細胞の中で約30億の文字情報から成り、それら幾つかまとまって遺伝子というかたまりに分かれます。このDNAの集まりである遺伝情報を総称して「ゲノム」と言います。遺伝子の第一の重要な役割は精密な「人体の設計図」であるという点です。第2の重要な役割は「種の保存」です。人体を形作る60兆個の細胞では頻繁に遺伝子の変化が起きていますが、そのほとんどは病気との関わりがありません。遺伝子の変化のうちごく一部の変化のみが病気を引き起こし、遺伝する病気として気が付かれるのだと思われます。
今回のプロジェクトは、最先端の分析機器を使ってゲノムを幅広く調べることで、従来の医学的検査で診断のついていない患者さんの診断の手がかりにしようとする研究です。患者さんからは、約19cc(小児の場合は10cc前後)の採血をさせていただきます。
本研究に参加を希望される患者さんは、直接大阪大学医学部附属病院・各専門外来に受診とともにお問い合わせいただくか、大阪大学医学部附属病院 IRUD相談窓口(遺伝子診療部内)にご相談ください。
Q&A
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- 患者・家族に受診費用のほかに検査費用の負担はありますか。
- 現在のところ、ゲノム(全遺伝情報)解析に対する検査費用に関しては研究費で支払いますので、患者さん・御家族に負担はありません。受診の際の所定の受診料や他の検査費用はご負担いただきます。
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- 希望すれば、必ず検査を受けられますか。
- 研究費に限りがありますので、同胞例や、多系統に症状が及ぶ患者さんを優先させていただいております。
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- 結果の報告にどのくらいの期間がかかりますか。
- 多数の遺伝子を調べるため、結果について慎重な判断を要します。数か月以上かかることがあります。
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- 検査の陽性率はどのくらいでしょうか。
- 既知疾患の原因遺伝子の大部分を網羅する検査ですが、未診断症例における陽性率は、海外の報告で25~30%程度とされています。国内の施設でも同程度と言われています。
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- 両親の採血は必要でしょうか。
- 原則として、患者さんの遺伝子の解析結果の判定のために、患者さんとご両親の採血が必要となります。
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- 遺伝カウンセリングを受けることはできますか。
- ご自身やご家族の病気のことや研究内容に関して、不安や相談したいことがある場合、専門家による遺伝カウンセリングを受けることができます。診療担当医にご相談下さい。
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- 不明な点についての問い合わせ先はどこでしょうか。
- 大阪大学医学部附属病院 IRUD相談窓口(遺伝子診療部内)にお問い合わせください。
なお、医療的な内容に関するお問い合わせにはお答えできません。