稲垣らが考案し大学病院で実践している糖尿病患者教育クリティカルパス

1.教育理念
 患者と家族の問題を医療チーム(専門家)も共有し、患者と家族主導でQOLの向上を達成しつつ療養行動を維持できることを、専門家がそれぞれの専門知識をもって支援する。

2.アセスメントおよびケア項目および主たる担当者
 項目は教育学的視点に基づいて設定した。認知領域は疾病や薬物療法・食事療法についての知識と問題の特定化、情意領域は家族指導と病態・状況の受容、精神・運動領域は運動・フットケア・自己血糖測定・体重測定などの習慣化が必要とされる行為として項目とした。
全体のアセスメントの主体者は看護師とし、稲垣が独自に作成した項目からなる「糖尿病とともに生活する患者の声をきく質問表」を用いて行う。質問する順番は、生活行動 → 態度・受容 → 知識および技能の順である。質問表は表 1-3 のとおりである。

3.クリティカルパスのすすめかた
1)期間
 アセスメントから結果を出すまでの期間2〜3週間(入院期間)と、その後のフォローアップ 1 ヶ月(外来受診期間)を含めるものとした。知識の習得のみならず、疾病受容や家族関係調節、行動の習慣化に必要な有益性の実感および自己効力感の獲得、自分の体験を意義づけすることで確かな知識とするために必要な期間としてこれらの期間を設定した。
2)進め方
 オープンディスカッションは、患者と医療者のディスカッションおよび医療チーム間のディスカッションの 2 種類を設定した。また初回のアセスメント面接(看護師(主に保健学専攻教員)が実施)では、ご案内用紙 (図1) を渡し、患者に対してこれまでの療養生活への取り組みに対しねぎらい、また患者と医療者の役割を明確にし、システムやスケジュールを説明し同意を得る。進め方の概要図は図2に示すとおりである。
3)ケア介入
 2 〜 3 週間で、アセスメント→教育やケア→評価を行う。アセスメント結果と教育スケジュールを患者に提示し説明する。可能であれば家族介入も行う。看護師が、家族に患者から承諾を得てアセスメント結果を開示する。そして患者家族関係と患者に対する気持ち・家族に対する気持ちを双方から聞き、それらに対する双方の意見を聞き、経験談や情報を提示し、その後の反応を把握する。

クリティカルパス チームスタッフ
 
代謝内科医師、病棟 ( 東病棟7階 ) 看護師、保健学科教員(看護師)、管理栄養士、薬剤師

引用・参考文献
 ・稲垣美智子ほか:糖尿病教育にオープンディスカッションを導入したクリティカルパスの効果.金沢大学医学部保健学科紀要, 24(2) , 2000 ,
  ・稲垣美智子ほか:糖尿病教育アウトカム指標開発のプロセス.看護研究, 37(7) , 2004 .






患者の声を聴く質問紙(図1)

糖尿病の学習をされる「  」様へのご案内(PDF/1ページ/104KB)
アセスメント1 生活行動について(PDF形式/1ページ/96KB)
アセスメント1 生活行動について 2(PDF形式/1ページ/92KB)
アセスメント2 態度・受容(PDF形式/2ページ/68KB)
アセスメント3 知識および技能(PDF形式/1ページ/52KB)
Path アセスメント結果提示用紙(PDF形式/1ページ/40KB)

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(図2)



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