CVEM 社団法人 日本内分泌学会分科会|日本心血管内分泌代謝学会
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CVEM:Non-Communicable Diseases (NCDs) 医学の王道―その岐路と活路

慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科
伊藤 裕

この度日本心血管内分泌代謝学会(The Society of Cardiovascular Endocrinology and Metabolism, The CVEM Society)の第8代理事長を拝命いたしました慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の伊藤 裕です。同時にご就任いただきました東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科、吉村道博副理事長とともに本学会の発展に尽力いたす所存でございます。よろしくお願い申しあげます。

1984年の心房性ナトリウム利尿ペプチドの発見を皮切りに、一酸化窒素、エンドセリン、アドレノメデュリンの同定など20世紀末は、まさに心臓血管から分泌されるホルモン発見のゴールドラッシュの時代であり、この分野で日本人研究者は金字塔を打ち立てました。こうした輝かしいレジェンドのもと、CVEMという内分泌学の新しい領域が勃興し1994, 1995年の日本内分泌学会学術集会のオフィシャルサテライトシンポジウムCardiovascular Endocrinology and Metabolismシンポジウムの開催を経て、1996年に日本心血管内分泌代謝学会が設立され、1997年、第一回大会が開かれました。2019年までに、学術集会は、23回の歴史を重ねてまいりました。

内分泌代謝の変調に伴う脳心腎血管疾患、さらには悪性腫瘍の発症進展は、Non-Communicable Diseases; NCDsと呼称され、現在医療の中心課題であります。わたしは、2003年に、肥満を起点としたメタボリックシンドロームの成因、病態、その合併症の総体―その進展の時間経過と臓器間連関を示す概念として、「メタボリックドミノ」を提唱しました。まさに、NCDsは、メタボリックドミノが示す疾患群です。そして、NCDsあるいはメタボリックドミノの全領域をCVEMは包含しています。したがって、CVEMは、まさにNCDs医療の王道であります。

新しいホルモンの研究熱と、新しい医療領域を牽引する期待の中で、CVEMは、設立当時から盛んにその活動を展開してきました。しかしながら、21世紀に入り、会員数の増加はわずかとなり、学術集会に参加する研究者も固定化、高齢化する傾向にあります。新ホルモン発見が稀となったことに加え、臨床研修、専門医制度の変革の中で、若い臨床領域の医学者は、自分の専門とする疾患を扱う学会での活動に汲々とするようになりました。CVEMは、心臓血管ホルモンを主体とし、それら液性因子の病態生理的意義を追求する姿勢を基に成り立ち、特定の疾患をターゲットとしない、領域横断的な学会であります。多くの若手医学者が、CVEMで研鑽する余裕がなくなったことが一因と考えられます。

この学会の状況を打開しようと、2015年の第19回日本心血管内分泌代謝学会学術総会は、試みとして、当該年度の循環器関連の4学会学術集会を、心血管代謝週間(CVMW)と称し、共同開催しました。循環器関連疾患にフォーカスした多くの研究者が参加し、新しい学問的、人的な交流が得られました。一方で、CVEMは日本内分泌学会の分科会の一つであり、6分科会中最大の会員数を誇ります。日本内分泌学会の中での新たな発展も考え、2018年、わたくしが会長を務めた第22回大会では、別の試みとして、通常秋に開催される大会を半年、前倒しし、春に、宮崎大学医学部内科学神経呼吸内分泌代謝学分野の中里雅光教授が会長をされた第91回日本内分泌学会学術総会と合同で開催しました。宮崎での開催にもかかわらず、内分泌学を活動の主体とする会員を中心に、CVEMとしては過去最大の演題が集まりました。このように、CVEMは、いま、あるべき姿を苦しみながら模索しています。

Quo Vadis CVEM?

CVEMの存在意義は果たしてあるのか。あるとすれば、どこへ向かえばいいのか?

この問いは、CVEM会員全員で考えるべき喫緊の課題です。この問いが喫緊なのは、最初に学会ありき、学会ファーストの発想からではなく、現代医学の更なる発展を考えるうえで喫緊なのです。

NCDsを扱うすべての学会の究極の共通目的は、言うまでもなく、病に悩む人たちの救いです。個別の疾患を治療することだけで終わりではないはずです。病に侵された人たちを癒すことこそ目指されるべきです。わたしは、優れた医学は、サイエンス(科学)とクラフト(経験)の上に生み出されるアート(美しい医学)であると考えます。美しさは、鋭いバランス感覚の上に創られます。NCDsに対する美しい医学は、NCDsを構成する自らの専門領域に対する深いサイエンスと豊富な臨床経験とともに、NCDsの総体への理解とコミットメントの姿勢を持たなければ実現しません。ここに、わたしは、CVEM独自の存在意義があると信じています。(もちろん、新しいホルモンを探し求める基礎医学者にとって、NCDs全体に対する理解は、大きな示唆を与えることは言うまでもありません。)

「内分泌至上主義」―ホルモンは、すべての疾患の理解の基本です。その信念の中で、わたしは、CVEMでは、NCDsのアートとしての医学の実現をめざし、疾患別の臨床学会では表立っては扱わない医学のアプローチを学会として前面に押し出し、フィーチャーしていくことが望まれると思います。若い医学者が、自分のホームグラウンド(?)と考える各々の臨床学会では得られない知識と感動を与えてくれると思える、斬新で魅力的な学術集会のプログラムを組み立てるべきであると考えます。例えば、ホルモンをメデイエーターとした、臓器連関、臓器間のリズム同調や、臓器のリニューアルとそのエラー、老化のメカニズムや、それらを明らかにするための新手法そのものに焦点を当てた企画なども考えられます。

この観点から、中尾一和先生、永井良三先生より、それぞれ、トランスレーショナルリサーチ領域に中尾一和賞、システムバイオロジーの研究領域に永井良三賞を提供していただいたことは、本学会の若手研究者に大きな目標となりました。このような潮流をさらに推し進めるべきです。CVEMの若手医学研究者から、彼らの新感覚で立案した、自分たちが学びたい、あるいは自らコミットしたい、と思える大胆な企画を募っていきたいと考えております。

これまでのCVEMの輝かしい歴史を築いてこられた、多くの先輩先生方のご指導を仰ぎながら、本学会の会員の皆様とともに、ONE TEAMとして、CVEMが新しい医学の在り方を問い、そして開拓する学会として発展するように、粉骨努力する所存でおります。何卒、皆様方のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

  日本心血管内分泌代謝学会事務局
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