第123回東京脂質談話会
日時 : 平成17年7月27日(水)18時〜19時
会場 : 東京大学医学部1号館3階 微生物学セミナー室 S311
演者 : Professor Jerold Chun, MD, PhD (Department of Molecular Biology, Helen L. Dorris Child and Adolescent Neruopsychiatric Disorder Institute, The Scripps Reserch Institute)
演題 : Physiological and pathophysiological roles of lysophospholipid signaling
要旨 : Lysophospholipids have been shown in recent years to be signaling molecules that bring about diverse effects through cognate G-protein coupled receptors. There are now at least 9 receptors that mediate effects of LPA or S1P, and a range of approaches has been directed at determining the physiological and pathophysiological roles of this lipid signaling system, including pharmacological and genetic strategies. I will discuss examples of lysophospholipid signaling that have clear medical relevance, from neural and non-neural models. Neural models include neuropathic pain, multiple sclerosis and effects on neural stem/progenitor cells. Non-neural phenomena include a wide range of organ systems, and a recent study demonstrating linkage between implantation and fertility via the third LPA receptor, LPA3, will be discussed.
第110回東京脂質談話会
日時 : 平成14年1月16日(水)18時〜19時
会場 : 東京大学医学部1号館3階 微生物学セミナー室 S311
演者 : 山内 敏正 先生(東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科)
演題 : 脂肪細胞による糖・脂質代謝の調節メカニズム
要旨 : 肥満がインスリン抵抗性を基盤として糖尿病、高脂血症、高血圧といった生活習慣病を惹起することはよく知られているが、肥満がインスリン抵抗性を惹起するメカニズムは不明であった。我々は先ず脂肪細胞の大きさ、サイズの制御において核内受容体型転写因子PPARγとその転写共役因子CBPが極めて重要な役割を果たしていることを見出すと共に、脂肪細胞の肥大がインスリン抵抗性と強く結びついていることを見出した。次にその分子メカニズムとして肥大した脂肪細胞では脂肪酸燃焼を促進するアディポネクチンのようなインスリン感受性ホルモンの分泌が減少し、インスリン抵抗性惹起分子の分泌が増加していることを明らかにした。さらに脂肪組織が欠損した脂肪萎縮の状態ではインスリン感受性ホルモンが枯渇し、インスリン抵抗性が惹起されること、すなわちPPARγ活性・脂肪組織量・脂肪細胞サイズとインスリン抵抗性の関係はU字型を呈することを報告した。
References
T. Yamauchi et al. Nature Medicine 7:941-945, 2001
T. Yamauchi et al. J. Clin. Invest. 108:1001-1013, 2001
T. Yamauchi et al. J. Biol. Chem. 276:41245-41254, 2001
T. Yamauchi et al. Nature Genetics in press, 2002
第109回東京脂質談話会
日時 : 平成13年10月17日(水)18時〜19時
会場 : 東京大学医学部1号館3階 微生物学セミナー室 S311
演者 : 佐々木 雄彦 先生(東京都臨床医学総合研究所 薬理研究部門)
演題 : ホスホイノシチド代謝酵素の生理機能 -ノックアウトマウスを用いた解析-
要旨 : Phosphoinositide 3-kinase (PI3K)は、ホスホイノシチドの3位の水酸基をリン酸化しPI(3,4,5)P3を産生する脂質キナーゼである。なかでもClass I に分類されるPI3Kは細胞膜受容体刺激に伴い活性化され,多様な細胞機能の制御に関与する。我々は最近,PI3Kγの欠損マウスを作製・解析した。その結果,このPI3Kアイソザイム固有の機能や種々の病態との関連が明らかになった。当日は,PI3Kγとホスホイノシチドシグナリングの細胞遊走制御,発がんへの関与について考察し,我々が作製・解析を進めている他のホスホイノシチド代謝酵素(PTEN, SHIP1, 2)欠損マウスの表現型についても言及したい。
References
T. Sasaki et al. Science 287: 1040-1046 (2000)
T. Sasaki et al. Nature 406: 897-902 (2000)