多細胞構築研究室
様々な組織において、細胞集団はしばしば同じ方向の極性を持ち、協調したふるまいを示します。(例:原腸陥入時の細胞の収斂伸長運動、内耳の有毛細胞など)
細胞極性制御
細胞の協調した極性化はしばしば、PCP経路と呼ばれるWnt経路によって制御されています。PCP経路による細胞極性制御は、Dishevelledタンパクが非対称に局在する点など線虫の非対称分裂機構と共通点があります。PCP経路はWnt経路でありながらWntの働きについては不明な点が多く、また極性の方向がどのように決定されるのかよくわかっていません。個々の細胞はどうやって正しい方向を知るのでしょうか?
C. elegansのほとんどの分裂する細胞は同じ前後方向の極性を持っています。分裂後βカテニンは必ず後ろの娘細胞の核に蓄積します。
例えば側面にある表皮幹細胞(seam細胞)は前後方向の極性にしたがって非対称に分裂し、前の娘細胞は他の表皮細胞と融合し、後ろの娘細胞は幹細胞になります。
私たちは、表皮幹細胞の極性の方向が四種類のWntによって冗長的に制御されていることを明らかにしています。これらのWntは幹細胞の前方あるいは後方で発現しています。
つまり、Wntが前から来ても、後ろから来ても、また近くから来ても、遠くから来ても、幹細胞は同じ方向に極性化することがわかります。細胞がどのようにWntの違い、およびその来る方向を認識して極性化するのか今後明らかにしていきます。
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