ワクチンを巡る三角関係:専門家と役人と政治家と
引導を渡されるのは
何よりも重要なのは、人間がこんなにも、愚かになれるということです。藤肥孝幸 映画「ヒトラー〜最後の12日間〜」

1976年アメリカ合衆国の場合:政治家の頭に銃を突きつけた「公衆衛生専門家」

しかし、公衆衛生当局では「100万人が死亡する可能性がある」「流行はジェット機並みにやってくる」「3カ月以内に国民全員にワクチン接種をしなければならない」といった前のめりの意見が主流になっていく。「確率はゼロではない」が「あり得る」「あるだろう」と伝言ゲームのように変化し、否定的意見はほとんど検討されずに大統領に報告された。それもワクチン製造に要する時間を考慮すると、「決断は1週間以内に」という状況だった。大統領の側近は専門家の進言を「頭に突きつけられた銃」と述懐している。「大惨事が予想されたのに何もしなかった」との批判を考えると、政治的には選択肢がないに等しかった。井上 亮 史上最大のワクチン事業 〜その挫折と教訓〜1976年、米で新型インフル流行の恐怖 日経新聞 2020年6月15日)より抜粋


2022年イスラエルの場合
4回目接種朝令暮改を強行した「リーダーシップ」←失敗を失敗で糊塗する愚を繰り返している
    新型コロナの世界的大流行が始まった時,ユヴァル・ノア・ハラリ(ヘブライ大学歴史学部教授を務める生粋のイスラエル人)が「TIME」に論考を寄稿してから2年近くが経とうとしています(人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を 柴田裕之訳 Web河出 2020.3.24)。私はその原題「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」にあった「leadership」という言葉を柴田氏が訳出しなかった意味を考えていました。何しろその論考は当時の合衆国大統領の指導力を批判する内容だったからです。
    翻訳する際に削除するとしたら余程の理由があったはず。もしやその言葉が,柴田氏にあのおぞましい人物を連想させたからではないか?と想像していました。それが新型コロナワクチン接種が進むにつれ(Impfen Macht Frei),まんざら下衆の勘繰りでもなかったかなと思うようになりました。よりによって首相がワクチン依存症とは。しかしその経歴を知ってなるほどと思うのは私だけ(入植地が地盤のベネット新首相の下でイスラエルはさらに右傾化へ)。

When officials launched the limited second-booster program last week, they said they were waiting for more data before making it more widely available. But within days, Prime Minister Naftali Bennett said the additional booster shot would be available to anyone 60 or older whose last dose was at least four months ago.
(池田仮訳:先週イスラエル保健省が4回目接種の限定的なプログラムを発表した際,プログラムを拡大するためにはさらにデータが必要だとしていました。ところが数日もしないうちにナフタリ・ベネット首相は「3回目接種から4ヶ月以上経った60歳以上の全ての人が対象となる」と発表しました)(Israel now offering fourth covid shot to anyone 60 and older. Washington Post January 3, 2022) 

史上最悪の反ユダヤ主義者も薬物依存症でした(High Hitler: how Nazi drug abuse steered the course of history. The Guardian 2016/9/25)。とんだ歴史の皮肉もあったものです。そのイスラエルでは目下オミクロンの感染爆発が起こっています(イスラエルにおける検査陽性者数の推移)。3回目接種世界一達成の熱、実はワクチン依存症による熱、醒めやらぬうちに。

追加接種に引導ただコロに効くわけないことぐらい初めからわかっていたはずだ!!
と言っていたら早速,イスラエル首相に反発する研究成果がイスラエル国内から出てきました(オミクロン予防「4回接種でも不十分」 イスラエル研究 日経新聞 2022年1月18日)。でもそんなこと,わざわざイスラエルの研究者に言われなくたって,世界中の誰だって,3回目だろうと4回目だろうと,全て無駄だったことが,クリック一つでわかるのに(イスラエルにおける検査陽性者数の推移)。そしてCOVID-19による死者数892/100万(日本の6倍!)のイスラエルのデルタ,オミクロンの流行波形は,未だに2回目接種率2.3%!,1回目3.5%(2022/1/18現在)でCOVID-19による死者数たったの15/100万(日本の1/10!)のナイジェリアにおける,デルタ,オミクロンの波形と同様です(ナイジェリアにおける検査陽性者の推移)。接種率以外でナイジェリアがイスラエルと違う点はたった1つ。ナイジェリアの方がもうオミクロンの流行も終わっているってこと。オミクロンの元祖南アフリカと同様にね(南アフリカにおける検査陽性者の推移)。
    ワクチンを打とうと打つまいと、たった一つ、副作用の苦しみを除いては、何も変わりがなかったのです。イスラエルでも、ナイジェリアでも、そして日本でも。一方、事実は一つなのに各国民の態度は全く違います。イスラエル人は呆然とする。ナイジェリア人は笑い飛ばす。日本人は怒りに震えます。日本でその怒りを込めた引導が渡されるのはワクチンではありません。打ちたくないと言う人にワクチンを強要した人間です。

韓国中央日報に学ぶ
ベネット首相が「リーダーシップ」を発揮するまでは、あのワクチン最強硬派のイスラエル保健省でさえ、4回目接種にはむしろ消極的だったことが韓国中央日報でも報じられています(「やり過ぎはむしろ逆効果」…4次接種しようとしていたイスラエルの挫折 中央日報 2021.12.27)。注目すべきは、政府つまり官邸お抱えの専門家諮問委員会、保健省、在野の医師、それぞれ立場の異なる専門家達が異なる意見を表明し、それをイスラエルメディアが伝えていることです。そんなイスラエルの事情を韓国メディアで初めて知る我々日本人にとって、とてもためになる記事が中央日報には満載されています。下記はほんの一部

ワクチン接種で世界1位なのに…イスラエル、一日感染者4000人はなぜ(中央日報日本語版2021.02.19):日本で接種が始まる2ヶ月も前に既に韓国ではワクチンの有効性に疑問が呈されていたことがわかります。

韓国慶北医大教授「日本の感染者数急減、K防疫の致命的誤り見せる」(中央日報日本語版2021.11.25):御用学者に迎合せず、真の意味で市民の幸せのために発言する科学者の鏡。これは本来日本の専門家が担う役割だったのです。なのに彼らは何と見事な醜態を市民の面前で繰り広げてくれたことか。以下抜粋ですが、日本の「専門家」の皆様は、是非全文をお読みになってください。そうすれば、国民に対するせめてものお詫びの印にイ・ドクヒ教授に爪の垢を送っていただくようお願いの手紙を書きたくなるでしょう。

イ教授は「もし最初から完全に相反する防疫政策を持った韓国と日本が緊密な共助体制で流行状況を比較分析していたならば、パンデミック状況で防疫とはそれほどすごい役割をするものではないとの事実を早くから看破できただろう」と繰り返し主張した。

イ教授は「日本の感染者数急減は韓国防疫の大前提、すなわち『無症状であっても絶対にかかってはならない感染症』という仮定に致命的な誤りがあることを見せてくれる。(韓国は)矛盾であふれた防疫を2年近く経験している」と指摘した。

イ教授は「韓国ではこれまで学習されたウイルスに対する恐怖があり受け入れるのが容易でない人たちも多いだろう。K防疫の弊害は、新型コロナウイルスに対して国が先導して誇張された恐怖を助長し、これを防疫の成果として積極的に活用したという点」と述べた。

その上で「これまで防疫当局は無条件でワクチン接種率さえ高めればすべての問題を解決できるかのように国民を誤って導いてきたが,この難局から抜け出すにはブレイクスルー感染であれ何であれ自然感染を経験する人が増えなければならない。いまからでも動線追跡する疫学調査と無症状者・軽症患者を対象にしたPCR検査を中止すべき」と付け加えた。

池田注:この記事が出たのが、2021年11月25日。日本でオミクロンの流行が始まる1ヶ月も前だったということをお忘れなく。

ブースターは免疫系に悪影響  :効果無く被験者にリスクを与えるだけのワクチン
3回目打ちたい人はお先にどうぞ
新コロバブルの物語
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