3回目打ちたい人はお先にどうぞ
風邪のように去って行く、オミクロン様には追加接種も一切無用
無駄金を払わずにワクチン無効を立証してくれたサハラ以南のアフリカ諸国
何のことはありません。日経は「海外のほとんど全ての国が日本よりも接種率が高い。韓国だけではなく、ろくなワクチンもない中国やロシアにさえ負けて悔しくないのか!ワクチンが効くか効かないかなんてどうでもいいからにかく打て」と言っているだけです。読者を馬鹿にした、いかにも日経らしい記事ですが(参考:ワクチン原理主義は破綻した)、本当に大切な読者をそこまで馬鹿するのだろうかと思って念には念を入れて調べてみたらやっぱり本当でした。(図はクリックして拡大)
参考記事:ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ
ワクチン追加接種、欧州が先行 日本は0.5%どまり (日経新聞 2022年1月10日) 記事の図はクリックして拡大
新型コロナウイルスの感染者が急増する欧州などを中心に、ワクチンのブースター接種(追加接種)が進んでいる。当初のワクチン接種が日本より早かったのに加え、感染力の強い変異型「オミクロン型」の流行で当局が接種前倒しを急いだためだ。日本は必要なワクチンが確保できず、3回目接種完了者は0.59%にとどまる。
「チリはワクチンで最も成功している国の1つだ。4回目を始めることでこの地位を保ち、国民の健康と命を守る」。南米チリのピニェラ大統領は6日、こう強調した。チリでワクチン接種完了者は18歳以上の9割を超えた。2021年8月に3回目接種を始め、すでに追加接種者は6割近い。10日からは4回目の追加接種に着手する。チリがワクチンの接種で先行したのは、中国製薬大手シノバック・バイオテック製を積極的に活用したことが大きい。欧米の製薬会社とも契約を結んだ。
追加接種が早かったのは欧州だ。特にイスラエルは人口の半数近くが3回目を済ませ、3日には60歳以上の市民と医療関係者に4回目接種を始めた。11月末に外国人の入国を原則禁じ「時間を買った」(ベネット首相)間に、変異型の影響を分析し接種を急いだ。イスラエルはネタニヤフ前首相が米ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)と重ねて直談判し、接種に関するデータを同社に提供するのと引き換えにワクチンを大量確保した。
英政府はオミクロン型の発見直後、2回目と3回目の接種の間隔を6カ月から3カ月に短縮。感染者が1日20万〜30万人と急増しているフランスでも、間隔を5カ月から4カ月に短縮した。これまではレストランや長距離鉄道を利用する際にコロナ検査の陰性証明も使えたが、政府は新法でワクチン接種証明のみを有効とする考えだ。500万人超いる未接種者に接種を促している。
アジアで最も早い韓国は当初、2回目からの間隔を6カ月としていたが、現在は18歳以上を3カ月間隔の対象にした。7日時点の3回目接種完了者は60歳以上で80%に達した。この結果、新規感染者に占める60歳以上の割合は12月第1週の35%から1月第1週は17%に低下した。(以下略)
----------------------------------------------------------------------
(表の説明:UAE:アラブ首長国連邦。NA:データなし。韓国はデルタ株の収束とオミクロン株流行開始の境界が不明なので除いた。検査陽性者数はオミクロン株の流行開始から22年1月
10日あるいはそれに最も近い値までの累積数。接種率以外のデータはWorldometer から、接種率のデータはOur World in Dataの、Share of the
population fully vaccinated against
COVID-19 から取得した。なお、この表で検査陽性者数/人口100万と活動性感染者数/人口100万の値が非常に接近していたり、場合によってはドイツやガーナのように活動性感染者数が検査陽性者数より多くなっている原因は(私はサイトの運営者ではないので)正確にはわからないが、検査陽性者数は私がオミクロン株の流行時期をグラフ上で推定して算出しているのに対し、活動性感染者数はサイトの数字をそのまま使っていることと関係しているのではないかと考えている。たとえば、オミクロン株流行時期と考えた前に発生した患者の活動性が遷延しているとかである)
表は日経の記事を真の意味で裏付ける、つまりワクチンはオミクロン株の流行を抑制できないことを示すデータです。緑の高接種率国とピンクの低接種率国を比べると、単位人口あたりの検査陽性者数、活動性感染者数、重症者数、いずれの指標でも高接種率国の方がはるかに悪い。これは流行が始まってから慌てて接種を精力的に推進したけれども、感染の拡大の方がずっと早かったことを示しています。
ではもっと早くに3回目接種を始めていたら感染を抑制できたか?そうではないことを、ピンクの低接種率国、特に先進国からワクチンを供与してもらえず、2回目接種もままならなかったサハラ以南のアフリカ各国が示しています。2022年1月10日時点で、2回目接種率は南ア 28%、ガーナ 8%、ナイジェリア 2%。いずれの国でも、3回目接種なんてどこの国の話だという状態です。その状態で既にオミクロン株の流行を切り抜けました。といってもその流行は典型的な弱毒株=最強の感染力、正に季節性コロナウイルス感染症でした(→南ア、ガーナ、ナイジェリアの流行状況)。だから強毒株=最弱の感染力のアルファ株には95%の有効性を発揮しても、最強の感染力を持った典型的な弱毒株であるオミクロンになんかそもそもワクチンが効くわけないんです。典型的な弱毒株であるオミクロンに現行のファイザーやモデルナの強毒株用のワクチンを使うなんて愚の骨頂。金をどぶに棄てるようなものです。その意味ではこれらのアフリカ諸国は非常に賢かった。
さらに、人口100万人あたりの活動性感染者と同じく人口100万人あたりの重症者数を比較してみてください。感染爆発が起こっている緑の国々でも、活動性感染者数が4桁とか5桁になっているのに、重症者数が2桁ですよね、そうして活動性感染者1万人あたりの重症者数を見るとこれが多くて二桁、1桁のところもある。活動性感染者1万人あたりの重症者数がともにたったの4人となっているガーナ、ナイジェリアの追加接種率はゼロです。2回目接種でさえそれぞれ8%、2%。活動性感染者1万人あたりの重症者数が38人の南アの2回目接種は28%(Share of the population fully vaccinated against COVID-19、2022年1月10日現在)。ワクチンに無駄金を払わなかったアフリカの国々は、ワクチンの重症化抑制作用の嘘を見破るデータも提供してくれたのでありました。
わかっていただけたでしょうか。季節性コロナウイルス感染症に過ぎないオミクロン株には追加接種など一切無用、何をせずとも、インフルエンザよりもはるかに少ない死者数で風邪のように去って行くのです。
→ワクチン接種で世界1位なのに…イスラエル、一日感染者4000人はなぜ(中央日報日本語版2021.02.19):日本で接種が始まる2ヶ月も前、既に韓国ではワクチンの有効性に率直な疑問が呈されていた。
→ブースター接種繰り返し、免疫系に悪影響の恐れ
→ワクチン原理主義は破綻した−接種後高齢者群におけるCOVID-19による死亡率の上昇−
→バブルがはじけた日
→新コロバブルの物語
→表紙へ