私が,一般市民のリテラシー育成の話をすると,”世の中,そう簡単に変わるもんじゃない.お上べったり、水戸黄門大好きの日本人がリテラシーなんて百年早い”と,さもわかった風なことを勝ち誇ったように言う人がいます.こういう人に限って,”最新医学の進歩”なんてことを恥ずかしげも無く吹聴するんですな.アホか!世の中が簡単に変わらないと信じ込んでいる人は,自分の記憶力の悪さを誇っているに過ぎません.そんな人を置いてきぼりにして世の中はどんどん変わっていきます.郵政民営化が,あっという間に実現してしまったこと,まだ覚えています?
では,未来を考えると変わらないように見えて,結果的になぜ変わってしまうのか?それは,事象自体は変わらなくても,その事象に対する人間の認知が変わってしまうからです.人間の認知が変われば,その認知に基づく行動も当然変わる.その行動変容が多数派になれば,結果的に世の中が変わってしまうのです.ちょっと考えただけでも,こんなにわかりやすい例が身近に転がっていますよ.
医師過剰から医師不足報道への激変(医師の需給に関する検討会(第12回)長谷川敏彦委員提出資料より)
脳代謝改善剤の承認取り消し(1998年4月朝日新聞記事,トレンタールが消えた):それまでたくさんの患者さんに使っていた薬が突然処方できなくなった.
いずれの場合も,データや事実そのものがひっくり返ったわけでは決してありません.医者が半分に減ったわけではないし,薬そのものの成分が入れ替わったわけではない.変わったことと言えば,人々の受け取り方,認知です.
”節操のないマスコミがくるくる意見を変えたからだ!”なんて負け惜しみは,天に唾することになりますよ.だって,”マスコミなんて皆同じで,馬鹿の一つ覚えばかり繰り返している”って言っていたのはあなたじゃないのでしょうか?それに,ランセットが三流雑誌になったことも知らなかったでしょ?
世の中は変わらないと思っていると”IQが低い”層に層別化されて,”徹底したラーニングプロモーション”を受けちゃうかも.→参考資料
世の中が変わるかもしれないと
(2007/12)