「混合診療」という言葉を抹殺することによって「混合診療を解禁する」というテクニックです.これまでように混合診療原則禁止を墨守するだけでは自分たちも苦しくなるばかりだと考えた保険局医療課が,混合診療問題を中医協に丸投げするために考えた苦心の作なのでしょう.
先の,55年通知対象品目の承認前保健適応をさらに拡大すれば,ぼちぼち議論が始まっている日本版compassionate
useの保健適応までもが中医協の俎上に上がってきそうな勢いです.もしそうなれば,薬害被害者団体は本省ではなく中医協に押しかけるのでしょうか?連合の委員はそのあたりを意識下で懸念していますが,京都医師会副会長さんは「学会がデータを評価」ですって,医師会が審査を引き受けるのでなくて,「学会」に審査しろだなんてお気楽・無責任な方なんでしょ.その審査をした薬が副作用を起こせば叩かれるのはだれだと思っているのでしょうか?
ここには支払基金側委員の発言は全く載っていませんが,支払い基金が猛烈に反対すれば,財務省の意を無意識に受けた支払基金がドラッグラグを作ってきた張本人だということが明らかになります.いずれにせよ,お人好しの集団の承認審査に全てを押しつけて素知らぬふりをしてきた中医協・支払基金がどこまでやるのか,見物です.
ドラッグラグはすべて金(開発費,製薬企業の利潤,支払基金,副作用被害の補償金,生命保険会社の収支・・・)の問題であって,承認審査なんて全然関係ないという認識がひろく普及して,規制当局や製薬企業のような弱い者いじめ専業方々が,厚労省の玄関前ではなくて,中医協や支払基金に向かってくれるような世の中に,いつになったらなるのやら.
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中医協 ラグ解消へ論点、保険外併用の見直し検討( 日刊薬業 2010年10月15日
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厚生労働省保険局は15日の中医協総会で、ドラッグ・ラグ解消に向けて、保険外併用療養費制度の見直しを盛り込んだ今後の論点を示した。臨床現場で未承認薬や適応外薬が使いやすくなるよう、財源問題を含めた医療保険制度上の対応策を検討する。厚労省は今年度末までに結論を出す考え。
論点では、特に抗がん剤を想定し、患者により多くの選択肢を提供するための課題を検討すべきとしている。具体的には、保険外併用療養費制度の活用の在り方、安全性の担保や責任の所在の明確化、必要となる財源をどうするか─を検討課題に盛り込んだ。また、世界初の革新的な医療技術を日本から産み出していくために保険医療の観点でどう支援すべきかも論点に加えた。
総会では、未承認薬や適応外薬を使用しやすくするために現行制度をどう見直すかが焦点になった。現在、未承認薬や適応外薬は、高度医療評価制度の枠組みを用いれば医療保険内で使うことができる。高度医療評価制度は、国内で一定の実績がある技術を高度医療評価会議で評価し、さらに先進医療専門家会議に諮り、保険外併用療養費に当てはめる仕組み。
ただ「国内での一定の実績」が求められるため、未承認薬では活用しにくい。また高度医療の場合、申請のあった医療機関ごとに実施の可否を判断するため、保険と併用できる医療機関が限定される問題もある。厚労省は、高度医療評価制度の運用面を見直すか、新たな制度を創設するか、中医協での議論の行方を見ながら対応を決める方針。
同日の総会で診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「FDAが承認し、患者や医師が望んでいる国内未承認薬は学会がデータを評価して速やかに使えるようにすべき」と述べ、新たな枠組みを導入するよう主張。一方で、勝村久司委員(連合)は「安全性面では現在の枠組みが最善。新たな枠組みの導入には反対」と慎重論を述べ、意見が分かれた。
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